モータージャーナリスト菰田 潔氏による試乗インプレッション

IQ/EQ GIULIA 試乗インプレッション
(パフォーマンス編)
IQ/EQ GIULIA 試乗インプレッション
(スタイリング編)

Alfa Romeoが昔に戻ったのが嬉しい。これは新しいGiuliaを ドライブした筆者の第一印象だ。とは言っても古くなったわけではない。モーターレーシングの世界でAlfa Romeoが大活躍した時代は、革新的なテクノロジーを採用し高性能を誇っていた。さらにラテンの血統だからこそできる官能的な部分も併せ持つという二刀流の魅力を備えていた。

テクノロジーを「IQ」と表現し、官能的なところを「EQ」というなら、ここしばらくは「EQ」が主体になり、それがラテン系と称されるようになっていた。しかし本当のAlfa Romeoはこの「IQ」と「EQ」の両方を兼ね備えたブランドだった。新しいGiuliaは正にそこに戻ったのだ。

クルマは白物家電ではない。それは官能的な部分を持っているからだ。エクステリアデザインにしろ、エンジンのエキゾーストノートにしても、そこに官能的な部分がなければ楽しくない。何年経っても味があるデザインは古さを感じないし、愛着が出て永く大事に使おうとする。これが「EQ」だ。しかしこの官能だけではライバルに叶わない。日常の使用では「IQ」の要素も大事なのだ。

Giuliaは徹底的に走りを追求しようとしたと思われるパートがいくつもある。その一つは前後の重量バランスだ。タイヤの性能を最大限に引き出そうとすると4つのタイヤにかかる荷重を同じにすることがポイントになる。ちょっと難しい説明になるが、タイヤのグリップ力は上から掛かってくる重さ、つまり荷重によって変化する。荷重が重くなるとタイヤのグリップも増えて行くが、重くなるほどその効率は悪くなっていく。だから前後の荷重配分が大きく異なると、4輪トータルのグリップ力の最大値は低下してしまうのだ。新しいGiuliaは前後軸が50%、50%という重量バランスで創られているが、FRベースだから左右も50%、50%になっている。つまり1つのタイヤが25%ずつの重さを担当しているということだ。

Photo:Giulia Super

トランスミッションはトルクコンバータ式の8速タイプである。そしてそのセレクターレバーは最新式の電子シフトになっている。電子シフトはPRNDというセレクトを、電気信号を送ってシフトするものだ。ステアリングホイールの裏側のコラムからパドルが左右に出ていて、ドライバーがマニュアルシフトをすることができるが、センターコンソール中央のセレクターレバーを横に倒して前後に動かすことでマニュアル操作も可能だ。多くのドライバーが電子シフトで驚くのは、ギヤが入った状態でエンジン・オフにすれば自動的にPレンジに戻るということだ。最初は違和感があるかもしれないが、これを使い慣れるととても便利なシステムなのだ。

アクセルペダルは吊り下げ式ではなく、オルガンタイプになった。コストより優先するのはドライバーの右足での扱いやすさだ。フロアから生えたように見えるオルガン式アクセルペダルは、細かいコントロールもしやすいし、長距離ドライブでも足の疲労が少ない。フロアに近いところを押せば重たいし、ペダルの上の方を足で押せば軽く反応してくれるという便利さがいい。

ウインカーレバーも新しい。操作してウインカーが作動中でもレバーは元のニュートラルな位置に戻るのだ。ウインカーを点けたままでエンジン・オフにしても、再始動したときにはウインカーは点いていないのだ。レバーが元の位置に戻っているからできる技だ。

Photo:Giulia Super

走り出す前にはシートベルトの装着を忘れてはならない。Bピラーからシートベルトのショルダーベルトが伸びてくるが、このBピラーのショルダーアンカーの位置を動かすことができないのも新しい考え方だ。シートの高さ調整が付いているから、それで頭の位置を正しく合わせればショルダーベルトの位置は正しくなるからだ。シートの位置を正しく合わせることで視界も広がり、よりアグレッシブな走りも、より安全な走りもできるようになる。

エンジンも新しくなっていて、2リッター直列4気筒ターボのチューニング違いが2機種、2.9リッターV型6気筒ターボが1機種用意されている。Giulia Superは2リッターターボエンジンから330Nmを発揮する。このエンジンはトルクと馬力が一番小さいベースエンジンになっているが、最大トルクは330Nmにもなるから必要充分な力を発揮する。Giulia Veloceは400Nmで、V6はなんと600Nmというトルクを発生できる。NAエンジンに換算すると排気量1リッター当たり100Nmが最大トルクだから、いかに凄いかがわかるだろう。官能的なエキゾーストノートは運転席でも聞こえるから、特にワインディングロードでの楽しさは別格である。

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Photo: 1. Giulia Super / 2. 〜 4. Giulia Veloce

エクステリアデザインはまずAlfa Romeoらしいグリルが特徴的だ。立体的な造形の中にバランスの取れた美しさが目立つ。フロントオーバーハングがとても短く、最初から重量バランスを取ることを狙った機能的なデザインであることが判る。角がなく丸みを帯びたデザインは「EQ」のことだけを考えて創ったわけではないことは、空気抵抗係数Cd=0.23という数字から機能的にも優れていることが容易に想像がつく。

ワインディングロードを走っているときはもちろん、実は市街地走行しているときにもドライバーとクルマの一体感を常に感じることができるのがGiuliaなのだ。コーナーでステアしたときに左右のタイヤの位置がすごく広い感じがする。クルマは安定しているし、ドライバーの意思がダイレクトにクルマに伝わるのが判るから楽しいのだ。SUVやミニバンでは味わうことのできない低重心のハンドリングの気持ち良さをこのGiuliaで感じ取ることができるだろう。

これぞ正に「IQ」と「EQ」の融合である。

※「IQ/EQ」とはFCAジャパンが2017年初頭より導入・提唱している、日本におけるAlfa Romeoブランドのコミュニケーションテーマである。

PROFILE

菰田 潔 こもだ きよし

20歳で自動車レース活動開始。タイヤのテストドライバーを経て、1984年3月からモータージャーナリストに転向。
自動車の試乗記事を執筆し、雑誌やWEBメディアへ寄稿している。
その他に安全運転、スポーツドライビング、エコドライブなどの指導も長年行っている。
日本自動車ジャーナリスト協会 会長
日本カー・オブ・ザ・イヤー 選考委員
JAF交通安全・環境委員会 委員
BMW Driving Experienceのチーフインストラクター
BMW M Fascination Nordschleife(ニュルブルクリンクのトレーニングのインストラクター)
などの肩書も持つ。

GIULIA LINEUP

GIULIA ボディカラー:アルファ レッド

独創のデザインと革新技術の粋が生んだ、珠玉のプレミアムセダン。

GIULIA

4,460,000

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GIULIA SUPER ボディカラー:モンテカルロ ブルー

上質と洗練を極めた快適空間に、芳醇なイタリアの美意識が息づく。

GIULIA SUPER

※写真のボディカラー(モンテカルロ ブルー)は、別途オプション費用86,400円がかかります。

5,430,000

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GIULIA VELOCE ボディカラー:ミザーノ ブルー

伝統の走り、その真髄を継承するスポーティモデル。

GIULIA VELOCE

※写真のボディカラー(ミザーノ ブルー)は、別途オプション費用86,400円がかかります。

5,870,000円(右ハンドル/後輪駆動)
5,970,000円(左ハンドル/4輪駆動)

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GIULIA QUADRIFOGLIO ボディーカラー:トロフェオ ホワイト

知性と感性の完璧な融合。 究極のハイパフォーマンスマシン。

GIULIA QUADRIFOGLIO

※写真のボディカラー(トロフェオ ホワイト)は、別途オプション費用324,000円がかかります。
※輸送費および予備検査代として別途108,000円がかかります。

11,320,000

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