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2014.12.26

アルファロメオに乗る。それは情熱と喜びを燃料に走ること。(第7回)

ふと走りたい衝動に駆られるのが、アルファロメオ

ほんの数日前、正月休みの影響で締切が早くなったり重なり合ったりする怒濤の年末進行の原稿をやっつけることに成功し、ようやく自己的ヒキコモリ生活から脱却。1日ポッカリ空いたのでダラダラ過ごそうと思っていたのですが、ふと「今年も最後かなぁ……」と思ったら急にソワソワした気分になって、結局、行ってきちゃいました……走り納め。ちょうど別の仕事でジュリエッタを預かっていたこともあって、いつもの試乗コースまで走りにいきたいなぁという気持ちがムクムクと湧き出してきたのでした。

まるで免許を手に入れたばかりの若者みたいで気恥ずかしいところもあるのですが、アルファ ロメオというのはそういう気分にさせるところのあるクルマのようです。というのも相棒としてアルファ166を手に入れてから、ふと走りたい気分になって夜中の首都高速を2〜3周回って名機アルファV6ユニットのサウンドを堪能したり、下道を使って低速域から中速域までの意外に気持ちいいトルクの出方に癒されながら都内を横断して帰ってきたり、そんなふうに時間を過ごすことが明らかに増えたからです。用事をすませるために出掛けたときにわざわざ回り道をして帰ってくることなんて、もはや日常茶飯事です。

若かった頃にはとにかく何でもいいから走りたい一心で、そのうえ暇だけはたっぷりありましたから、思い立ったらタンクが空になりそうになるまで夢中で走っていたような、そんな覚えがあります。けれど、僕の周りの人達も異口同音、いつの間にかそういうことはしなくなっちゃうものなのですね。特に僕の場合はクルマに乗ることが仕事の大半を占めていたこともあって、「なにも今この忙しいときに走らなくたって……」と、手元の仕事をクリアすることに意識を向けちゃっていたようなところもあったかも知れません。

少なくとも、166を手に入れる前に3台続けて某ドイツ車に乗っていた頃には、いざ走りだすとドライビングを楽しんでいる感覚を得られるところはありましたが、こんなふうに急に思い立って走りにいきたくなるような衝動はあまり湧いてこなかった気がします。

ドイツ車はドライバーの要求を冷静に正確にこなし、目的を完璧に満たすことを第一義としたようなクルマ作り。イタリア車はドライバーの欲求を情熱的に受け止め、楽しさや気持ちよさに置き換えることを第一義としたようなクルマ作り。ちょっと大雑把な括り方ではありますが、そんなふうな違いがあるといえるでしょう。その意味ではアルファ ロメオ、イタリア車代表といえる存在です。

僕の166では主としてエンジンのテイスト、ジュリエッタやミトでは主としてハンドリングの面で感じること多々なのですが、クルマと対話しているような感覚が強いことも、気持ちが駆り立てられる要因のひとつなのでしょう。単なる無機物に接してるようには思えない瞬間というのがあるのです。

アルファ ロメオって、そういうクルマなのでしょうね。

全身で“走る楽しさ”へとけしかけてくるジュリエッタ

そんなこんなで僕は東京を出て西に向かい、長いコーナーの続くワインディングロードとタイトなコーナーの続くワインディングロードのふたつをジュリエッタで走ってきたわけですが、モノ書き失格な語彙の少なさを露呈させちゃうようだけど、やっぱ楽しいなー、というひと言に尽きる感じでした。しかも今回が初めてというわけではなく、ジュリエッタで同じコースを走ったことは過去に何度もあるのに、またあらためて同じようなことを感じたわけです。

それはいったいなぜなんだろう──? ということを、実はこれまであまり考えたことがありませんでした。

往復の道のりは、当然ながら高速道路を使います。ここではゆっくりと流したいならAlfa Romeo D.N.A.システムを「Natural」モードに入れておけば、しなやかに路面の凹凸をいなしていくシャシーのひとつの美点を感じながら快適に移動できますし、燃料消費も抑えることができるわけです。「Dynamic」モードをチョイスすれば、スロットルペダルの踏み込み加減ひとつでほとんど思うがままにペースをコントロールできますし、強く踏み込んでいけば追い越し車線を延々リードし続けることも楽々できるわけです。なにせパフォーマンスとしては200km/hを優に超える実力の持ち主でもあるからね。でも、僕は最高速信奉者ではないので、個人的にはそこに楽しさのようなものはあまり感じません。

けれどワインディングロードに入っていくと、気持ちの高揚感が一気に膨れあがる感じになるのです。前に進みたい気持ちとシンクロするように加速していくときのエンジンの逞しい感触、そして1.4リッターにしては勇ましく快いサウンド。タフなブレーキ。そうしたモノがあってこそではあるのですが、何せコーナーを曲がることがとても気持ちいいのです。もちろん適切なブレーキングは必要ですが、コーナーの入り口でスッとノーズが内側を刺していくときの素直さと素早さ。姿勢をグッと低く沈めたままスパーッと走り抜けていくようなフィール。4つのタイヤが突っ張ることもなく路面をヒタリととらえ続けていくような、しなやかな安定感。それらのひとつひとつが快感に直結してるかのような、そんな感じなのです。

そして、速い。シャシーのキレの良さが総合的な速さを作り上げる最も大きな柱になっていて、そこには「いったいどこまで攻め込めるのだろう……?」と感じられるくらいの奥深さがありますから、様子をうかがいながらどんどん深いところに入っていきたくなるし、またそれをエンジンの活発さやミッションの反応の良さといった様々なものが総力をあげてけしかけてくる感じ。それがストレートにクルマを駆る楽しさとして感じられるのです。エレガントな姿をしているくせに、ジュリエッタ、ちょっと親しくなるとかなりダイナミックな一面があることが解って、だいぶ刺激的なのです。しかもそれは、つきあいが深くなればなるほど強く伝わってくるような……。

例えば同じセグメントにいるドイツ生まれのライバル辺りにも、同じくらいの速さを提供してくれるクルマは幾つかあるわけです。それらはもしかしたら、純粋な速さやドライバーの操作に対する正確さという点ではジュリエッタより優っているところがあるのかも知れません。けれど、そうしたマシンとしての精緻さや優秀性を感じ取ることに喜びを見出し、テクノロジーがテクノロジーとして確実に機能していることに満足感を得、それらが生み出すクールな興奮をともなう楽しさを感じることはありますが、ジュリエッタが与えてくれるエモーショナルな喜びとは、それはずいぶん異なっているようにも思います。

クルマの性能を追求するために攻めるのか、クルマの楽しさを追求するために攻めるのか──。どちらが良くてどちらがダメということでは全然なくて、要はどちらが好きなのかということなのでしょうけど、ワインディングロードを走りたくなる理由ひとつとってみても決定的に違うところがあるということですね。

ともあれ、ルックス的にはちっとも汗臭さが似合わないジュリエッタではありますが、おかげで僕は(寒い季節なので気持ちの中で)とってもいい汗をかくことができました。なんだかスポーツクラブで軽く身体を動かしたあとみたいな爽快感でした。

……なんてことを書いていたら、プレスリリースが届きました。1月9日から11日にかけて幕張メッセで開催される“東京オートサロン”に、アルファ ロメオとKEN OKUYAMA DESIGNが共同でブースを出展し、そこで両社がコラボレートしたモデルがお披露目されるとのことです。Ken Okuyamaさんはかのピニンファリーナで腕を振るった、世界的にその名を知られるデザイナー。イタリア産のスーパーカーやラグジュアリーサルーンの流れの中に名作と呼ばれるクルマ達を残してきた経歴のある方です。果たして奥山さんとアルファ ロメオのコラボ・モデルとは何なのか? 奥山さんの独自ブランドの既に発表されている2台やアルファ ロメオ4Cを含めて計6台が展示されるそうですが、他にどんなモデルが登場するのか、想像が膨らみますね。幕張メッセの北ホールにある展示ホール10。僕も初日に訪ねてみようかと思っています。



嶋田 智之

1964年生まれ。ヤミ鍋系自動車雑誌『Tipo』の編集長を長く務め、スーパーカー系雑誌『ROSSO』の総編集長を1年間担当した後、独立。クルマとヒトを柱に、2011年からフリーランスのライター、エディターとして活動を開始。自動車専門誌、一般誌、Webなどに寄稿するとともに、イベントなどではトークショーのゲストとしてクルマの楽しさをときにマニアックに、ときにわかりやすく語る。走らせたことのある車種の多さでは業界でも屈指の存在であり、また欧州を中心とした海外取材の経験も豊富。現在の愛車はアルファ ロメオ166。

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