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2013.12.18

イタリアが誇るスパークリング「プロセッコ」「フランチャコルタ」「ランブルスコ」

イタリアでスパークリングワインといえば、「発泡性の」という意味を持つSpumante(スプマンテ)と総称される。日本ではシャンパーニュ地方で造られるシャンパンがスパークリングの代表格というイメージがあるが、今回ご紹介するプロセッコ、フランチャコルタ、ランブルスコは、イタリアの風土が生み出す良質な味わいとイタリア人の思い入れが濃縮されたこだわりの逸品ばかり。忘年会や新年会など、華やかなシーンを祝うアルフィスタの食卓にぜひ取り入れてほしい「イタリアの魅力」満載だ。

まずは、プロセッコ。2010年、とくに良質な産地として知られるヴェネト州のコネリアーノとヴァルドッビアーデネ地区の葡萄からできるプロセッコが、イタリアの格付け最高ランクDOCGに昇格。周辺地域もDOCとして格上げされた。それとともに、これまで葡萄の品種名としても用いられてきた「プロセッコ」の名はワイン名としてのみ用いられることに(以後、プロセッコの葡萄品種はグレラという名称で呼ばれている)。

つまり、現在プロセッコと名乗れるのはDOCGもしくはDOC認定地域で造られたワインだけなのだ。プロセッコ=原産地呼称という関係性を明確にすることで、イタリアが誇るプロセッコの品質を守り、消費者と生産者双方を保護できる仕組みが確立されたわけだ。ボトルの中で二次発酵を行うことで酵母由来の香りが加わるシャンパーニュなどに比べ、大きなタンクで二次発酵させるプロセッコは、葡萄の持ち味が十分に活かされ、フルーティなアロマが楽しめる。手頃な値段も特徴だ。

さて、まずご紹介したいのは、三大プロセッコのひとつとして知られる「ルッジェーリ」。DOCG地区であるヴァルドッビアーデネの標高の高い丘陵地で育った優秀な葡萄を選別し、醸造においても真摯に繊細に取り組むワイナリーである。

ルッジェーリの「Giustino B Prosecco Valdobbiadene Speriore Extra Dry」2,580円。洋梨のような甘く優しいアロマ、きめ細かい泡がクリーミーに広がる。
「ジュスティーノB」は創業者のジュスティーノ・ビゾル氏がワイン造りを始めて50年目に当たる1995年にリリースされたフラッグシップ的な存在。2009年ヴィンテージにおいてGambero Rosso(ガンベロロッソ)の評価本「ヴィニ・ディ・イタリア」で最高評価の「トレ・ビッキエリ」を獲得。その後も、2010,2011年と3年連続で選出された。ヴィニ・ディ・イタリアは、ロバート・パーカーなどと並ぶ権威ある評価本であるゆえ、トレ・ビッキエリを獲得するのは言うまでもなく大変なことだ。ましてや3年連続の栄誉に輝いたことは特筆に値する。

 


ルッジェーリと並ぶ三大プロセッコのひとつ、ニーノ フランコの「Primo Franco Valdobbiadene Prosecco Superiore」2,370円。花のような香りと繊細な果実味がじつに印象的。アントニオ・フランコが1919年にワイナリーを創業し、息子のニーノ、孫プリモへと代々受け継がれてきた味わいだ。現当主のプリモは醸造所の設備や葡萄の栽培法に手を加えながら、ほかのワインをすべてやめて、プロセッコの生産に専念。勤勉な彼はエノロジスト(醸造栽培家)の資格も取得。独自のやり方でこの地域のワイン全体の品質を高めることにも貢献している。

 


もうひとつの三大プロセッコ、アダミ。「Prosecco di Valdobbiadene Superiore Vigneto Giardino Dry」(2,650円)はイタリアで開催されたサミットG8のワーキングランチに採用された。好条件の畑から収穫した葡萄を通常より高い気圧下でプレスすることで、長時間楽しめるボディの強い味わいに。高名なスプマンテ専門誌「ベーレスプマンテ」で最高評価を3年連続で獲得したことでも知られる。同様の評価を受けているのは1万円台の超高級スプマンテばかりとあって、すばらしいコストパフォーマンスを評価する「アクイスト・アッテント」に輝いたことも要注目。

 

プロセッコの葡萄品種「グレラ」は、言うまでもないがピノ・ノワールやシャルドネとは方向性が違う。グレラだけが持つ最大の特徴はどこにあるか。それは、果実由来の白桃のような、可憐な花のような香り。その特徴を最大限に活かして造られるプロセッコは、フレッシュなフルーツの甘味と香りを堪能しながらアペリティーヴォを楽しむのにふさわしいスパークリングだ。「特別な記念日に」と気合いを入れて飲むのではなく、さわやかな甘味と香りを気軽に、日常的に。こんな楽しみ方はシャルドネには表現できない個性。非常にイタリアらしい、といえるかもしれない。


ワイナリー設立以来、DOCGよりも厳しい収量制限を設けながら高品質のワインを醸し、国内外で高く評価されているレ ベルトレの「Cartizze Prosecco Valdobbiadene Superiore Dry」2,940円。Cartizzeとは、DOCG認定地域の中でも最も条件に恵まれているとして高く評価される区画。最良のミクロクリマ(局地的気候)と豊かな土壌を誇るカルティッツェはプロセッコ生産者にとって奇跡ともいわれる憧れの土地であり、新たに購入することはもはや不可能に近い。レ ベルトレはここに1.3haを所有し、華やかなアロマと繊細でクリーミーな口当たり、心地よい甘さを持つ贅沢な味わいのプロセッコを造り続けている。

 

続いて、ロンバルディア州フランチャコルタで造られるイタリアの代表的な瓶内二次発酵スパークリング、フランチャコルタ。1995 年、瓶内二次発酵のみで造られるワインとしては初めてDOCGに認定され、シャンパンにも劣らない品質が高く評価されている。

フランチャコルタの産地はやせて水はけのよい土地で、農作物には向かないとされてきた。唯一の例外が葡萄で、16世紀から高級ワインが造られていたという。発泡ワインの歴史は比較的浅く、1950年代。当初からシャンパンのような仕上がりを目指し、瓶内二次発酵方式を採用、大小さまざまな造り手たちの努力によってフランチャコルタの品質が確立されていった。柑橘類やパイナップルを思わせるフルーティなアロマ、心地よい果実味とミネラルのほどよいバランス。同じシャンパーニュ方式ではあるが、シャンパンよりもチャーミングで明るい印象を抱かせ、イタリアらしい魅力がある。


フランチャコルタのエリアの中でも最高の立地条件とされるエルブスコに畑を所有するヴェッツォーリの「Franciacorta Saten NV」4,290円。フランチャコルタは残糖値によってドサージュゼロ(完全な辛口)からデミセック(甘口)までカテゴライズされるが、このSaten(サテン)は白葡萄のみで造られ絹のようななめらかな喉越しが特徴。テロワール本来のすばらしさはもちろんパーフェクトなのだが、ヴェッツォーリは畑作りからすべて自分たちの手で管理し、丹念に育て上げた葡萄の品質に絶対的な自信を持っている。だからこそ、最高峰のフランチャコルタが生み出されるのだ。

 

イタリアのワイン界には毎年新しい高品質なワインが登場しているが、今回紹介するヴェッツォーリはマスメディアではまださほど有名になっていないワイナリー。先ほどのプロセッコの部分で登場した権威的なワインガイド「ヴィニ・ディ・イタリア」でも最高賞を与えられたのだが、ヴェッツォーリはそれを辞退したという。無論、前代未聞の衝撃だ。「トレ・ビッキエリなんかをもらったら、大事なお客様にワインを確保できなくなってしまう」というのが辞退の理由。ワイン好きの魂をくすぐるエピソードではないだろうか。そんなヴェッツォーリが造るこだわりのフランチャコルタは一流のソムリエや目利きの人たちの間で非常に安定した人気を誇る。

もうひとつは、フランチャコルタの名声を築き上げたとされるマウリツィオ・ザネッラ率いる「カ デル ボスコ」。始まりは、マウリツィオの母が週末の別荘地としてフランチャコルタの中心部に土地を購入したこと。当時はまだ葡萄もなく、カ デル ボスコ(森の家)と名付けられた。その後フランスでワイン造りを学んだマウリツィオは1970年代当時のイタリアではタブー視されていたさまざまな栽培醸造方法を積極的に取り入れ、フランチャコルタ産ワインの品質と知名度を世界レベルにまで押し上げた。


瓶内二次発酵、長期熟成で造られる最高峰のフランチャコルタの名声を世界的なものとしたカ デル ボスコ。「Franciacorta Brut Cuvee Prestige NV」(3,290円)は、収穫ロットごとに醸造され、最高級ヴィンテージのリゼルヴァとアッサンブラージュ。28ヵ月の熟成を経てリリースされる、透明感とフレッシュな酸味が特徴の逸品である。品質保持のためすべてのボトルをUVカットシートで包むこだわりよう。30年にわたる経験と情熱、「魅了させる味わい」への探究心の集大成として生まれたカ デル ボスコの新しい顔だ。

 

プロセッコもそうだがこのフランチャコルタもDOCG認定の呼称なので、その名を名乗るだけで原産地の領域や生産方式などを明示できることになる。そのため、ほかの発泡性ワインに義務づけられている「Spumante」の表記がフランチャコルタには不要となる。これは造り手にとって誇りでもあるという。「ほかのスプマンテと一緒にしてほしくない」そんな自負が感じられ、飲み手にとってもまた爽快だ。


最後はこちら、エミリオ・ロマーニャ州で造られる天然微発泡の赤、ランブルスコ。プロセッコやフランチャコルタに比べると「お手軽な赤いスパークリング」というイメージが強いかもしれないが、今回ご紹介するキアルリは1860年創業、エミリオ地方で最も古いランブルスコの造り手として知られる老舗ワイナリーだ。


老舗ワイナリーキアルリの「Premium Lambrusco Vecchia Modena」1,890円。輝くような明るいルビー色、フレッシュな果実の香りが存分に楽しめる。ほどよい酸味のあるバランスのよいボディで、食中酒として生ハムやチーズ、パスタなどに合わせるのもおすすめ。

 

1900年のパリ万博に出品した際、味わいはもちろん、ボトル、ラベル、コルクに至るまで質の高さを認められ、「Mention Honorable」を受賞。「ヴェッキアモデナ」は当時のボトルデザインをそのまま活かし、プレミアムランブルスコとして今に伝わる。2010年にはトレ・ビッキエリを受賞し、2013年にはイタリアソムリエ協会が発行する「ドゥエミラヴィーニ」でも最高賞チンクエグラッポリを獲得するなど、ランブルスコ史上初となる快挙を続々成し遂げている。名実ともに最高峰のランブルスコだ。

フルートグラスに立ち上る細やかな泡を眺め、香りや口当たり、風味、喉ごしをじっくりと味わう。イタリアから届くこだわりのスパークリングで、その時間を存分に楽しんでみてはいかがだろう。

*イタリアワイン&食材専門店 TUSCANYトスカニー

撮影 SHIge KIDOUE
取材・文 山根かおり

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