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2016.09.09

イタリアと日本の伝統芸能が共演『ジャパン・オルフェオ』開催 宝生和英、藤間勘十郎、沼尻竜典、福島康晴独占インタビュー 後編

日伊の古楽の名手たちが演じる新歌劇『ジャパン・オルフェオ』。その中心人物に話をうかがう機会を得た。前編に続き、後編では舞台を演じる役者と、合唱団を率いるメンバーのインタビューをお届けする。まず登場いただくのは、日本舞踊家の藤間勘十郎さんだ。

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「歩み寄らず、自分たちのやってきたものに自信を持って表現します」<日本舞踊家:藤間勘十郎>

「バッカスの巫女」を演じる藤間勘十郎さんは、8代目宗家藤間流の家元。子供の頃から舞台やテレビに出演し、NHK大河ドラマ『独眼竜政宗』では伊達政宗の幼少期「梵天丸(ぼんてんまる)」を演じた。舞踊家として活躍する傍ら、歌舞伎舞踊の振付や、若手俳優の指導・育成にも努める。


「バッカスの巫女」を演じる藤間勘十郎さん

―今回の『ジャパン・オルフェオ』のように、異分野とのコラボレーションを行うときの心意気を教えてください。
「一緒にものをつくる時、相手に歩み寄ってはいけない。自分たちのやってきたものに自信を持って表現する。これは能楽師である父、梅若玄祥(梅若六郎家当代)の教えですが、まずは自分がこうあるべしというのをしっかり持ち続けます。そのうえで相手がどういうことをなさるかをよく見て、なるほど、それならこういう風にやってみようというのを、日本舞踊の枠の中で表現します」

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―今回は愛がテーマの作品ですが、日伊共作の作品のなかで、それをどのように表現しますか?
「日本の昔の女性は慎ましやかで、感情を露にしませんでしたので、そのような役が多いです。ですからイタリア流に感情を表に出すというのは難しいですね。今まで培ってきたものとは違いますので、ひと味加えなければならないと感じています。ただ、我々の芸能には、女性が突然鬼に変身したり、蛇になったり、妖怪に化けたりというのはありますので、そういう表現をうまく取り入れて、二面性を出していければと思います」

「無謀でありエキサイティング」<補筆作曲・音楽監修:沼尻竜典>
「おもしろい舞台になると思います」<合唱指揮・テノール:福島康晴>

補筆作曲を手掛けた沼尻竜典さんは、東京フィルハーモニー交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団などを経て、世界で活躍する指揮者・作曲家。一方、イタリアで6年間滞在し演奏を行った経験を持つ福島康晴さんは今回、合唱の指揮とテノールを担当する。

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補筆作曲を手掛けた沼尻竜典さん(右)と合唱指揮・テノールを担当する福島康晴さん(左)

―今回の作品では、日本とイタリアの伝統芸能が融合します。“和”のみと、“洋”が織り交ざるコラボ作品では、どのようなところに違いがありますか?
沼尻 「ぜんぶが違いますよ。邦楽の世界には楽譜がない。洋楽は楽譜を中心に進める。そこからして違います」
福島 「まだいまの段階では想像しかできず、われわれもどうなるのかわかりません。嵐の前の静けさみたいな状態です」

―そうした性質の異なる音楽に、融合する瞬間というのは生まれるのでしょうか?
沼尻 「そうですね。どこかでピンと来る瞬間というのは訪れると思います。それぞれの分野の専門家が演じ、それをコーディネイトする人たちがいますので。だた、誰の中にも理想型はあっても、完成型はまだない。それを無謀というのか、エキサイティングというのかはわかりません。でもコラボレーションとはそういうものです」


沼尻竜典さん

―今回、沼尻さんは、物語のクライマックスとなる第5幕を作曲されています。ここは、1607年の譜面では悲劇的な終わり方をしていて、その後書き換えられた“幻のパート”と言われていますが、その部分について教えてください。
沼尻 「本当のクライマックスは能楽で、私はそこに至るまでの音楽を作りました。バロック音楽のアカペラによるコーラスに、能楽の音楽がシンクロしていく、という感じです。そこに踊りをどう組み合わせるか、というのはこれからの課題です」
福島 「ぼくが直感したのは、沼尻さんはある種の狂気みたいなものを表現していらっしゃるな、と。妙にハイテンションというか、呪術的な女性の雰囲気が出ているので、これはおもしろいことになるなと想像しています」

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福島康晴さん

各界のそうそうたる顔ぶれが出揃う『ジャパン・オルフェオ』。伝統を継承する方々が、これまで共演するはずもなかった人たちと、ひとつの舞台を作り上げる。そこには性質の異なるものがぶつかり合う面白さと、新たな調和が生まれるエモーショナルな瞬間に出会えそうだ。誰も結論を知らない東洋と西洋芸術の出会いの行方に期待したい。

イタリアと日本の伝統芸能が共演『ジャパン・オルフェオ』開催 宝生和英、藤間勘十郎、沼尻竜典、福島康晴独占インタビュー 前編

『ジャパン・オルフェオ』公式サイト

席・チケットの問合せ

ヴォートル・チケットセンター
03-5355-1280(平日10:00~18:00)
チケットぴあ
イープラス
テンポプリモ
03-5810-7772(平日10:00~18:00)
チケットかながわ(鎌倉公演のみ)
0570-015-415(10:00~18:00)
東京芸術劇場ボックスオフィス(東京公演のみ)
0570-010-296(休館日を除く10:00~19:00)

■は両会場の公演とも販売するプレイガイド。
□は片方の公演のみ販売するプレイガイドです。
*未就学児の入場はご遠慮ください。

写真 荒川正幸
文 曽宮岳大

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