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2015.05.01

イタリアンレザーとアルファ ロメオのレザーシート

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 イタリアの靴を履くと、まるで自分の皮膚のように足に馴染む。そんな経験を持つ人は、少なくないだろう。ドイツ製のものは堅く堅牢ではあるものの、こと心地よさという点では圧倒的にイタリア製の柔らかな革に軍配があがる。もちろん、あくまで経験からそう感じていたに過ぎないのだけれど、ある日、ふと思い出したように懇意のイタリア人フォトグラファーにその話をしてみた。すると、なるほどと納得する答えが返ってきた。
「イタリアのレザーが柔らかくて、フィットするのは、イタリア人が仔牛を食べるからさ。でも、ドイツでは成牛を食べるから、堅い革靴に足をあわせることになるんだ」
 いかにもイタリアの伊達男といった甘いマスクとは裏腹に、ちょっと皮肉なところもある彼らしい答えだけれども、言い得て妙でもある。実際、イタリア料理に、ボローニャ風カツレツやオッソブッコといった仔牛を使ったメニューが多いのは、ご存知の通りだ。
 話が少々それたが、イタリアのレザーがしっとりと柔らかく、包み込むような感触であることは、イタリア人の食生活と綿密に関係しているといわれれば、確かにそうかもしれない。そもそも、アルファ ロメオの本拠地であるミラノが属するロンバルディア州は、古くからクラフツマンシップが発達している地域である。例えば、高級靴の産地として名高いパラビアーゴという町に行けばずらりと靴工房が並んでいるし、かの名器ストラディバリウスを生んだバイオリンの町、クレモナもロンバルディア州に属している。同時に工業も盛んなエリアであるだけに、先陣から受け継いだ知識や経験を重んじながらも、最新のテクノロジーの息吹を吹き込もうというムーブメントが起こるのも当然だろう。
 アルファ ロメオのインテリアにも、ロンバルディア州のクラフツマンシップが息づいている。ドアを開けて伝統的な手法に沿ってなめされた柔らかなレザーで作られたドライバーズ・シートに滑り込むと、上質な生地で仕立てられた上着を羽織ったときのように身体に馴染む。街中を走っているときも座り心地がよいが、なんといってもワインディングロードでスポーティに走らせるときに身体を包むようにサポートしてくれる。
 件のイタリア人フォトグラファーは、「アルファ ロメオは、エクステリアの美しさとエンジン音に対価を払うクルマだ」とよく言っている。加えて私自身は、エクストラを支払ってでも上質なインテリアを手に入れるべきだと思っている。もちろん、アルファ ロメオにしても、上質なレザーの手触りを手に入れるにはそれなりの費用がかかるわけだけれど、クルマに乗っている間ずっと、触れたり、目に入る部分だけに譲れない。自らの目で見て手で触れるところには特に、本物にこだわりたいからだ。