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2016.06.09

ジュエリーから中世イタリアを見る「メディチ家の至宝」展

ルネサンス時代のイタリア。アルファ ロメオの本拠地ミラノには、アルファ ロメオに所縁のあるヴィスコンティ家や、スフォルツァ家が君臨し、芸術を熱心に擁護していた。そのころ、同じくルネサンスの中心地であるフィレンツェは、メディチ家が統治し、多くのルネサンス芸術を収めたウフィツィ美術館がつくられた。今回、東京都庭園美術館では「メディチ家の至宝」と題し、ウフィツィ美術館に所蔵されている、メディチ家にちなんだ貴重なジュエリーや名画を数多く展示している。

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ヨナス・ファルク ミケーレ・カストルッチ グアルティエーリ・ディ・アンニバレ・チェッキ ジュリオ・パリージの下絵に基づく
《コジモ2世・デ・メディチのエクス・ヴォート(奉納品)》
1617-1624年 ピエトレ・ドゥーレ(貴石モザイク) 金 多色七宝 ダイヤモンド 鍍金ブロンズ フィレンツェ ウフィツィ美術館(銀器博物館)蔵 ⓒFirenze, Gallerie degli Uffizi-Museo degli Argenti

イタリア屈指の名家「メディチ家」

イタリアの名家というと、みなさんはどういった名前を思い浮かべるだろうか。パルマ公国のファルネーゼ家、ミラノ公国のヴィスコンティ家やスフォルツァ家、イタリア王国のサヴォイア家など、長い歴史の中で様々な名家名門が存在していた。

今回の展覧会は、その中でもひと際有名なフィレンツェのメディチ家に関するものだ。メディチ家は15世紀から18世紀の300年間にわたりフィレンツェに君臨していた。もともとは高貴な家系の出ではなかったが、銀行家として頭角を現し、14世紀末に財を成すとフィレンツェの有力者となり、1532年にフィレンツェ公、1569年にはトスカーナ大公となり名実ともにフィレンツェの君主となった。

その間、メディチ家は一貫して芸術を熱心に擁護し、ボッティチェリやミケランジェロなどのルネサンスに欠かすことのできない芸術家のパトロンとして重要な文化的役割を果たしていたのである。
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大ロレンツォことロレンツォ・イル・マニフィコ。「芸術家の性格と君主の魂を持つ」と言われ、フィレンツェ・ルネサンスの黄金期を支えた。
ルイジ・フィアミンゴ(?)
1550年頃 油彩/板 フィレンツェ ウフィツィ美術館(銀器博物館)蔵 ⓒ Firenze, Gallerie degli Uffizi-Museo degli Argenti

ジュエリーからメディチ家に思いを馳せる

「メディチ家の至宝」展は、日本とイタリア間の国交樹立150周年を記念して、フィレンツェのウフィツィ美術館に所蔵されている宮廷画家による肖像画や、メディチ家を華々しく彩ったルネサンス・ジュエリーが一堂に展示されている。真珠を身に着けて来場すると観覧料がディスカウントされるという、興味深いドレスコードを実施している当展覧会。ジュエリーはメディチ家にとってどのような意味があったのだろうか。
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金をベースに真珠と多くの宝石が嵌め込まれているペンダント。
フランドルの金工家
《セイレーンがついたペンダント》
1570-1580年頃 金 多色七宝 26個のルビー 7個の真珠 5個のダイヤモンド フィレンツェ ウフィツィ美術館(銀器博物館)蔵 ⓒFirenze, Gallerie degli Uffizi-Museo degli Argenti

商人出身のメディチ家は、君主となったことで権力者として絶対的なイメージを創る必要があった。当時、ジュエリーで飾ることは高貴な家系である証と見なされ、宮廷画家たちも計算し尽くされたジュエリーや衣装を肖像画の中に描き込むことで高貴さを表現していた。マリア・デ・メディチの肖像画はその完成形のひとつと言えるだろう。髪飾り、首飾り、耳飾りのセットは真珠と宝石がふんだんに配置されながらも清楚にまとめられていて、貴婦人然とした雰囲気を漂わせている。
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4か国語を操る才媛だったマリア・デ・メディチ。17歳の若さで亡くなった。
ブロンズィーノ
《マリア・ディ・コジモ1世・デ・メディチの肖像》
1551年 油彩/板 フィレンツェ ウフィツィ美術館(彫刻絵画美術館)蔵 ⓒA. Quattrone

マリアの妹、イザベッラ・デ・メディチの肖像画にも権力の象徴であるジュエリーが描き込まれている。髪飾り、首飾り、ベルトなど真珠をはじめ、ルビー、サファイアが散りばめられ、16世紀に流行した豪奢な装飾で彩られている。
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夫の手にかかって悲劇的な死をとげたイザベッラ・デ・メディチ。
ブロンズィーノの工房
《イザベッラ・デ・メディチの肖像》
1558年頃 油彩/板 フィレンツェ ウフィツィ美術館(パラティーナ美術館)蔵 © Firenze, Gallerie degli Uffizi-Galleria Palatina

また、写真でお見せできず残念だが、300個以上もの真珠を散りばめ、35カラットという大粒のダイヤを戴いた冠をかぶるフランス王妃、マリア・デ・メディチの肖像画など、息を飲むような作品が多数展示されている。

メディチ家直系最後の女性、アンナ・マリア・ルイーザ・デ・メディチは、これらの貴重な芸術遺産を散逸させないため、1737年に「パット・ディ・ファミーリア(家族協約)」に署名し、フィレンツェからコレクションが持ち出されるのを防いだ。現代に生きる私たちは、彼女のおかげでこれらの素晴らしいジュエリーや名画を鑑賞することができるのだ。
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夫からアンナに贈られたゆりかごの金細工。世継ぎ誕生の祈りが込められていた。
オランダ(アムステルダム)の金工家
《赤ん坊を入れたゆりかご》
1695年頃 金 七宝 2個のバロック真珠 28個のダイヤモンド 20の真珠 真珠を縫いとめた青い絹 銘(裏面、2つの脚の間に)「AVGROR EVENIET」 フィレンツェ ウフィツィ美術館(銀器博物館)蔵 ⓒ Firenze, Gallerie degli Uffizi-Museo degli Argenti

このようにメディチ家に伝わるジュエリーや肖像画に描き込まれたジュエリーは、権力者一族に生まれたメディチ家の女性たちの喜びや悲しみを後世に伝える遺品となっている。「メディチ家の至宝」展。またとないこの機会に、ぜひ東京都庭園美術館まで足を運び、ジュエリーを通してイタリア・ルネサンスの歴史に思いを馳せてみてはいかがだろうか。

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メディチ家の至宝―ルネサンスのジュエリーと名画
会期:2016年4月22日− 7月5日
会場:東京都庭園美術館
時間:10:00–18:00 (入館は閉館の30分前まで)
観覧料:一般:1,400円
    大学生(専修・各種専門学校含む):1,120円
    中・高校生・65歳以上:700円
ドレスコード割引「真珠 (Pearl)」:
真珠(人造物可)を身に着けると、100円引きで観覧することができる

取材・文 奥野和博

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