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2015.08.20

ミラノのアルファ ロメオ歴史博物館がリニューアルオープン

2009年に惜しまれながら休館したアルファ ロメオ歴史博物館が今年6月24日、アルファ ロメオ創業105周年を機にリニューアルオープンした。新しいミュージアムは輝かしい栄光を纏った名車たちが展示されているだけでなく、ブランド変遷の文脈を伝える情報発信地としての機能が強められた。

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アルファ ロメオの創業105周年を記念して、イタリア・ミラノのアルファ ロメオ歴史博物館がリニューアルオープンした。2009年にアレーゼ工場の閉鎖に伴って惜しまれて休館して以来、再開の明確な日程は発表されていなかった。施設の老朽化も閉鎖の理由のひとつだったから、きっと立派な博物館が新設される日が来るとは信じていたが、2年、3年と時間が経つうちに、ファンとしてはいつまた珠玉の名車を目の当たりにできるのか案じる気持ちが募った。

それだけにこの6月に「La macchina del tempo – Museo storico Alfa Romeo」の名で、歴史博物館が再開したという知らせを聞いたときは、胸が躍る思いだった。しかも、その内容は待った甲斐あり、と期待させるものだ。

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博物館の再開は、アルファ ロメオ ブランドの新たなフェーズへの移行という大きな計画を象徴する事業として進められた。2013年の終わり、伝統あるアレーゼの地に建築家のベネデット・カメラナ氏を招いて計画はスタートした。氏はトリノのオリンピック村やユベントス博物館を手がけた実績を持つ人物であり、環境や伝統を活かしたインスタレーションでも知られている。

新しくオープンした博物館は、自動車産業の継続性を表すTimeline(時系列)、スタイルとデザインを合わせたBeauty(美しさ)、テクノロジーと軽さの結実であるSpeed(スピード)といったテーマごとに、フロアが分かれている。この空間には、旧博物館の中に佇んでいた往年の名車たちが、輝かしい栄光を纏った姿に蘇って展示されている。まだ、社名を「A.L.F.A」と名乗っていた時代の名車「6C 1750 グランスポルト」は、タツィオ・ヌヴォラーリのドライブで伝説のレースとして名高いミッレ・ミリアで勝利をおさめたマシンだ。カロッツェリア・トゥーリングによるコーチワークが美しい「8C」は、現代のスポーツカーにつながる系譜の源流にあたる。伝説のドライバーであるファン・マヌエル・ファンジオが駆ってF1グランプリを勝利した「アルフェッタ159」も並ぶ。さらに、戦後のアルファ ロメオを象徴するジュリエッタシリーズ、名車の誉れ高い「33 TT 12」など、数え上げたら紙幅が尽きてしまいそうだ。

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さらに細かく紹介していこう。2階に位置するTimelineでは、アルファ ロメオの発展を象徴する19のモデルが展示されている。ここではマルチメディアパネルによるディスプレイとインタラクティブなスマート・ステーションを通して、それぞれの歴史を詳しく知ることができる。「Quelli dell’Alfa Romeo」と名付けられた展示では、工場の作業員、メカニック、テストドライバー、デザイナー、エンジニア、オフィスワーカーといった様々な職種がかかわることでアルファ ロメオが発展したことが語られている。

その下のフロアには、Beautyをテーマにした展示が用意される。時代ごとに9つの重要なサンプルを集めた「I maestri dello stile(スタイルの匠)」、1930-40年代にカロッツェリア・トゥーリングがボディを手がけて、「スーパーレッジェーラ」の名で呼ばれた名車を展示する「La scuola italiana(イタリア派)」など、イタリアの自動車史に広がりを持たせるコーチビルダーに関する展示がなされている。その中央には「Alfa Romeo nel cinema(映画に登場したアルファ ロメオ)」が配置されており、さらに1950-60年代の経済成長と当時のイタリアのスタイルを表現した「Il Fenomeno Giulietta(ジュリエッタ現象)」と「Giulia: disegnata dal vento(風がデザインしたジュリア)」が紹介されている。

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さらに地下まで足を進めると、アルファ ロメオの歴史の中で最も重要なレースシーンを象徴する「Speed(スピード)」の展示が。2つの世界大戦の間に行われたレースのスターたちを集めたマルチメディア空間の「Nasce la leggenda(伝説の誕生)」、F1への参戦を記念する「Progetto 33」、「Le corse nel DNA(レースはアルファ ロメオのDNAに刻み込まれている)」など、アルファ ロメオ・ファンなら誰もが知るキラ星のような存在に出会うことができる。

最後に用意された「Tempio delle vittorie(勝利の殿堂)」では、アルファ ロメオの歴史に残る10の優勝を音と画像と映像を使って表した360度のAR(=Augmented Reality/現実拡張)によって、アルファ ロメオ感を堪能できる。

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数年前、休館したミュージアムに交渉して、撮影させてもらったことがある。こうして新しいミュージアムの魅力に触れると、そのときの記憶が鮮明に蘇ってくる。旧ミュージアムが開設したのは1976年終わり。当時、常設ミュージアムとして本社があるアレーゼに作られたのは、アルファ ロメオがヒストリーを非常な重要なものとして捉えているからだった。

生まれ変わったミュージアムは、旧博物館が持っていた近代建築の面影も残すが、設立当時の思想も今に受け継がれているのがうれしい。ここは単なる自動車の展示にとどまらず、ブランドのDNAとその普遍的な輝き、そしてモータースポーツでの勝利にこだわり一貫して技術革新を続けてきたことを今に伝える、アルファ ロメオとファンにとっての聖地のような場所だ。

なお、旧博物館が予約した来場者にのみ入場が許されたが、新たにオープンした「La macchina del tempo – Museo storico Alfa Romeo」は一般公開される。しかも、木曜日は夜22:00まで公開されているから、アルファ ロメオ・ファンであれば、ぜひ訪れることをお勧めしたい。

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