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2016.10.20

ムラーノ島に伝わる高度な職人技とモダンデザインを融合 ヴェネツィアングラスの「カルロ モレッティ」

ヴェネツィアングラスを生業とする家に生まれたカルロとジョヴァンニのモレッティ兄弟がムラーノ島のファクトリーを拠点に築いたブランド「carlo moretti(カルロ モレッティ)」。世界中にコレクターを抱える、その唯一無二の魅力に迫る。

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高いデザイン性でヴェネツィチアングラスのトップブランドに

1958年に創業したヴェネツィアングラスのブランド、カルロ モレッティ。伝統にのっとった高度な技術とモダンアートのようなデザインを組み合わせた作風で、世界中のファンを魅了している。

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ガラス作品の可能性と独自性を求め、カルロ モレッティを設立したカルロとジョヴァンニ。ムラーノ島の職人を結集し、伝統技術に新しい感性とアートを組み合わせることで、独自の作品を創造した/写真提供カルロ モレッティ

約1000年にわたって受け継がれているヴェネツィアングラス(イタリアではvetro di Murano「=ムラーノ島のガラス」と呼ばれる)。かつて、ヴェネツィア共和国がすべてのガラス職人とその家族をムラーノ島に強制移住させてまで守ろうとした高度な技術は、今なおこの地に生き続けている。しかし、時代の波は否応なく押し寄せ、世界を魅了するムラーノ島のマエストロは年々減っているという。だからこそ、ヴェネツィアングラスの世界に新風を送り込んだカルロ モレッティの存在は大きいといえるだろう。

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ヴェネツィア、ミラノ、ムラーノ、オーストリアに続く5店舗目の旗艦店が東京・銀座にオープン。これまで、イタリアからわざわざ商品を持ち帰っていた日本在住のカルロ モレッティファンをはじめ、海外からも多くの顧客が訪れる。

ムラーノクリスタルから創り出される驚異の装飾

ヴェネツィアングラスは、鉛を含まないソーダ石灰を原料とする。ボヘミアングラスや日本の江戸切子などは繊細なカッティングが特徴だが、ヴェネツィアングラスは美しい色合いと装飾性が魅力。さまざまなカラーは、ソーダ石灰に鉱物などを混ぜることで表現するという。

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ソーダ石灰に砂や鉱物を加えた「ムラーノクリスタル」が、カルロ モレッティの真骨頂。透明なクリスタル、カラークリスタル、不透明なカラーガラスという3つのレイヤーを違うタイミングで重ねていく高度な技法で、大胆な色使いとデザインを実現/写真提供カルロ モレッティ

ムラーノ職人の装飾技術の高さは、古くから注目されてきた。基本的な製法は吹きガラスだが、空中で吹くことにより極薄に仕上げたり、グラスを細く伸ばしてその上にさまざまなモチーフの装飾を重ねて施したりと、驚嘆すべきテクニックを駆使してきた。カルロ モレッティは、その高度な技術に優れたデザイン性を付加した「日常使いできるアートピース」なのだ。

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世界中にコレクターを抱えるcalici(カリチ/53,000円〜)。一度に吹ける形状ではないため1つのグラスを5つのパーツに分け、各々を別の職人が作ってつなげていく。2015年から6種33セットのみの限定製造となり、ますます希少に。限定品は完売。写真は、これまでのコレクションから。

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伝統と革新を見事に表現した圧巻のコレクションだが、棚に並べて飾っておくのはもったいない。日々、愛用することでその魅力は余すところなく花開くだろう。

ひとつひとつ風合いが異なる、世界にひとつのマエストロ作品

大量生産されるガラス製品では決して表現できないカルロ モレッティの奥行き感のある美しさは、職人の手作りだからこそ実現するもの。同じ色を使い、同じデザイン画をもとにしたとしても、完成品は色味、大きさ、形、柄のバランス、気泡の入り方などに違いが生まれ、ひとつとして同じものはない。それゆえに、じっくり見比べて選び抜く楽しみもあるのだ。

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少しゆがみのある楕円のグラス、bora(ボーラ/各19,000円)。54のバリエーションがある。「アドリア海の北風」を意味する名の通り、風に吹かれて傾いたような形がユニーク。モレッティ兄弟が抱いた夢のひとつ「世界中のダイニングテーブルを輝かせる」ために生まれた。

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24のバリエーションがあるle diverse(ディヴェルセ/18,000円)。小ぶりなサイズといい、ほどよい深さのある形状といい、日常使いにぴったり。フルーツを入れてもヨーグルトやアイスクリームを入れても、もちろん惣菜を入れても映えそうだ。

数量限定の小さな名品「i piccoli」がコレクター魂をくすぐる

カルロ モレッティの各種グラスや食器は、贈答品として購入する人も多いという。なるほど、どの柄、どの色を選んだとしても、独自の作風と味わいが感じられるので、贈った人も贈られた人も満足するに違いない。逆に「人から贈られるより、自分で選びたい」と思わせる作品もある。それが「i piccoli(ピッコリ)」シリーズだ。

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i piccoli(各68,000円)が並ぶ一角。近くで眺めたり、少し離れて見比べたり。美術館で作品を鑑賞するように楽しめる。美術館と違うのは、気に入った作品を購入できること。自分の感性を刺激する逸品と出逢いたい。

i piccoliは「小ぶりでも存在感のある作品を」と願ったモレッティ兄弟が生み出した、小さいながらも価値の高い作品群。すべてが数量限定で、ひとつひとつにエディションナンバーが刻まれている。手作業による精緻かつ味わい深い装飾が際立ち、コレクターも数多い。

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ブラックをテーマにしたネロシリーズのフラワーベースも、i piccoliのひとつ。スタイリッシュで置く場所を選ばない。左から2番目の小ぶりな一輪挿しはsabbie(サビエ/15,000円)。

日常使いできるカジュアルな食器から、コレクターズアイテムとしても知られるフルートグラスやフラワーベース、オブジェまで、さまざまなアイテムを取り揃えたカルロ モレッティ東京。膨大なコレクションの中から「これだ」と思うものに出逢えたら、ぜひ入手したい。なぜならそれは、今を逃すと二度と手にすることのできない一期一会かもしれないのだから。

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優しいフォルムが印象的な一輪挿し「single flower」(35,000円)。

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カルロ モレッティ東京
東京都中央区銀座5-1-8 銀座MSビル1F
03-3569-0120
火〜土 11:00-19:30
日・祝 11:00-18:30
月曜日定休

撮影 SHIge KIDOUE
取材・文 山根かおり
matricaria