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2015.10.29

ヴィンテージアルファ ロメオが集結! ラ・フェスタ・ミッレミリア2015

今からおよそ90年前にイタリアで始まった伝説のロードレース、ミッレミリア。その由緒正しいレースの流れを受け継ぐ公道ラリー「ラ・フェスタ・ミッレミリア」が10月16日から19日にかけて関東・甲信越エリアで開催された。アルファ ロメオは1930-1960年代のヴィンテージモデル8台が出場。その模様をお伝えする。

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ミッレミリア(Mille Miglia)とは、イタリア語で“1000マイル”。その名のとおりイタリア全土を1000マイル(約1600km)にわたって走る伝説のロードレース(公道レース)である。1927年から57年の間に、第二次大戦による中断を挟んで24回開かれたが、アルファ ロメオはそのうち半分の12回に勝利。戦前に限れば13回のうち11勝と圧倒的な強さを誇った。そんなレースだったミッレミリアだが、戦後になると交通事情の悪化に加え、57年に起きた観客を巻き込んでの死亡事故が決定的要因となり、30年の歴史に幕を下ろしたのだった。

151027_Alfa_02緑に囲まれたパドックから参道を抜けて、セレモニアルスタートが行なわれる原宿駅前の神宮橋に向かう1961年アルファ ロメオ ジュリエッタ スパイダー。前後バンパーを取り外し、ウインドシールドはレーシングスクリーンに交換している。

それから20年を経た1977年、ミッレミリアは復活した。ただしかつてのようなスピードを競うロードレースではなく、あらかじめ設定されたタイムに対して、いかに正確に走れるかを競うレギュラリティラリーとしてである。参加資格が与えられている車両は、57年までのロードレースに参戦したモデルとその同型車で、必然的にクラシックカーラリーとなった。参加者にはロードレース時代の最速記録を持つ“無冠の帝王”ことスターリング・モスら往年の名ドライバーも名を連ねるなどして、イベントに華やかさとステイタスを与えた。以後今日に至るまで、規模・格式ともに世界中のクラシックカーラリーの総本山的存在となっている。

151027_Alfa_03神宮を出てから最初のチェックポイントである代官山蔦屋書店の駐車場に、2台のジュリエッタ スパイダーが連なって到着。前の個体は本来の姿を保っている。

その復活版ミッレミリアの日本版が、1997年に初開催されたラ・フェスタ・ミッレミリア。日本中から、そして海外からもエンスージャストが集まる、国際クラシックカー連盟(FIVA)の公認を受けた日本最大のクラシックカーラリーである。タレントの堺正章氏をはじめ、歌手兼レーシングチームオーナーの近藤真彦氏、元F1ドライバーの鈴木亜久里氏や片山右京氏らが参加していることから、一般メディアでも紹介される機会が増え、今では広く知られることとなった。

151027_Alfa_04駐車場内では、たとえば20mを 5秒で走行せよ、といった設定に対していかに正確に走れるかを100分の1秒単位で競うPC競技を実施。路面に這わせた線状のセンサーを前輪が通過した瞬間に計測されるので、通称“線踏み”と呼ばれる。慎重に始めようとしているのは、1957年ジュリエッタ スパイダー。

19回目を迎えた今回は、10月16日に東京原宿・明治神宮をスタート。新潟県湯沢、長野県軽井沢、神奈川県箱根にそれぞれ1泊して競技を進行し、19日に明治神宮に戻る、4日間で1都7県にまたがる約1200kmのルートを走破するものである。

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PC競技を終えてスタンプポイントに向かう1960年ジュリエッタSS。スタンプをもらったら再び路上に出ていく。

参加資格車両は本国版ミッレミリアに参加可能なモデルを最優先に、1919年から67年までに製造されたモデル。参加台数は例年100〜120台前後だが、今年は直前に同じオーガナイザーによって京都で開催されていたインターナショナル・ブガッティ・ミーティングのエントリー車両が継続して参加したため、過去最高となる154台を数えた。

151027_Alfa_06数々のコンクールデレガンスで受賞歴を持つ、アドリアン・ファン・デル・クロフト/ジョアンナ・ファン・デル・クロフト組の1931年アルファ ロメオ6C 1750。エンジンは車名のとおり直6DOHC1750ccで、最高出力は55psだが、ミッレミリアなどに出場したレーシングマシンはスーパーチャージャーを備え100psを超えた。

うちアルファ ロメオは、8台が参加。もっとも古かったのは1931年6C 1750。アーモンドグリーンのボディにベージュのソフトトップを持つ上品なコンバーティブルだが、シャシーやエンジンは戦前のミッレミリアで勝利を挙げた悍馬である6C 1750 GSやSSと基本的に同じだ。エントラントは、はるばるオランダから初めて日本にやってきたというファン・デル・クロフトご夫妻である。 「当初はブガッティで参加する予定でしたが、調子が悪かったのでこれに替えました。ジェントルで運転しやすく、とてもいいクルマです。加えてこれ、じつは特別な1台なんですよ」

151027_Alfa_07正午から神宮橋におけるセレモニアルスタートが始まり、カーナンバー順に1台ずつ紹介されスタートしていく。ちなみにカーナンバーは年式の古い順に与えられるが、この1931年アルファ ロメオ6C 1750は41番。今回はブガッティが大挙して参加したため、31年式より古い車両が40台を数えたというわけだ。

なんと1930年に6C 1750 GSを駆って、ミッレミリア史上初めて平均時速100kmを突破して優勝、あのエンツォ・フェラーリから史上最高のレーシングドライバーと讃えられたタツィオ・ヌヴォラーリに、アルファ ロメオから贈られたクルマだというのだ。ミッレミリアの優勝祝いだったのだろうか。

151027_Alfa_08深澤幸一郎/ロマーナ・ガイダ・フカサワ組の1958年アルファ ロメオ ジュリエッタ スパイダー。分割式のレーシングスクリーンや運転席後方のフェアリングなど、当時のミッレミリアやセブリング12時間を走ったワークスマシンのイメージを引用してモディファイしている。エンジンは直4DOHC1.3リッター。

初日はあいにくの空模様だった。ときおり強まる雨足に、ソフトトップすら持たないロードスターの乗り手は、さぞかし大変だったと思う。そんななか、慣れた感じで往年のワークスマシンを模した1958年ジュリエッタ スパイダーとお揃いの真っ赤なレインウェアをまとっていた、深澤幸一郎さんとロマーナ・ガイダ・フカサワさん。今回で3年連続出場という。

151027_Alfa_09PC競技の次はスタンプポイントで通行証明印をもらう。ウェアをはじめとするレーシングギアも、マシンと同様にエントラントのこだわりのポイントである。

「これに乗る前は、とくにアルファ ロメオ好きというわけではなかったんですよ。性能をはじめいくつかの要素を検討した結果、消去法で選んだというのが正直なところです。でも、いざ乗ったらいたく気に入り、今ではこれ以外のクルマを欲しいとは思いませんね」 すっかりジュリエッタに惚れ込んでしまった深沢さんは、ラ・フェスタ・ミッレミリアのほかにも、各地で開かれるクラシックカーラリーに積極的に参加している。

151027_Alfa_10イタリア国内選手権で優勝した当時のカラーリングを再現したという、リチャード・スプリンゲット/マーガリタ・スプリンゲット組の1960年アルファ ロメオ ジュリエッタSZ。SZとはスプリント・ザガートの略で、ジュリエッタ スパイダーのシャシーにザガートが軽量なアルミボディを架装。100psまでチューンした直4DOHC1.3リッターエンジンを積む。

1960年代初頭のレースやラリーで大活躍したジュリエッタSZで2年連続出場したのは、日本在住のイタリアンであるスプリンゲッタご夫妻。ご主人のリチャードさんは、このほかにジュリアTZとジュリアTIスーパーという60年代のスーパーアルファ、そして普段用に147を所有する根っからのアルフィスタである。そもそもSZは高価で台数の限られたコンペティションモデルだが、なかでもこの個体は60年のイタリア国内選手権を制したチャンピオンマシンそのものなのだという。 「手に入れたのは今から44年前の1971年ですが、そのときはボロボロの状態でした。レースで何度もクラッシュ、修復を重ねた末に、半ば放置されていたのです」 それを完ぺきな状態にレストアし、長年にわたってコンディションを保ちながら乗り続けているというわけだ。ラ・フェスタ・ミッレミリアは、こうしたホンモノのエンスージャストと有数のヒストリーのあるクルマが集うイベントなのである。

151027_Alfa_11嶋田衛二/清水國明組の1960年アルファ ロメオ ジュリエッタSS。SSとはスプリント・スペチアーレの略。ジュリエッタ スパイダーのシャシーに、当時カロッツェリア・ベルトーネのチーフデザイナーだったフランコ・スカリオーネの手になる、当時の最先端だったエアロルックのボディを架装している。

1960年ジュリエッタSSで、9回連続で参加している嶋田衛二さん。アルファ ロメオ発祥の地、ミラノ郊外アレーゼにあるムゼオ・アルファ ロメオ(アルファ ロメオ博物館)のオフィシャルドライバーを長く務めた故ルチアーノ・ヴィアロ氏と組んで、2007年には総合3位に入った経験の持ち主だ。 「半世紀以上前に作られたとは思えない、いいクルマですよ。とくにコーナリングがすばらしく、意のままに回れます」

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PC競技を終えてほっとひと息? の嶋田衛二/清水國明組。

そう語る嶋田さんの横でうなずいているのは、4年前から彼の相棒として参戦しているタレントの清水國明さん。昨年はクラス優勝(1958年から67年に製造されたClosed Listクラス)を果たしたというペアは、嶋田さんがドライバー、清水さんがコドライバー(ナビゲーター)としてエントリーしている。だがラリーのルール上は両者の扱いは同格で、どちらが運転してもOKなのだ。よってスタート時は清水さんがステアリングを握り、ギャラリーからの声援に応えていた。

151027_Alfa_13ゴールまであと少しという19日の夕刻、ルートに面した正規ディーラーであるアルファ ロメオお台場では、スタッフ総出で通過車両を応援。

前述したように、4日間で約1200kmを後にしたラ・フェスタ・ミッレミリア2015。リザルトは出走154台中完走83台という厳しいものだったが、アルファ ロメオは先に紹介した4組を含む出走8台すべてが無事にゴールを迎えた。完走率100%で、もしメイクス賞が設定されていたら表彰ものである。アルファ ロメオが本来備えている性能、それを引き出した参加者の行き届いた維持管理と運転技術、そしていくばくかの運が重なった結果といえるが、人車ともに褒められてしかるべきだろう。

151027_Alfa_14西日を浴びながらノボリを振って応援するスタッフに、ジュリエッタ スパイダーのペアが手を上げて応える。

取材・文 沼田 亨
写真 荒川正幸

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