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2016.08.11

世界最古のパスタ「テスタローリ」も味わえる、トスカーナ料理の名店「トスカネリア」

風景の美しい映画は旅心をくすぐる。地元の豊かな食材を味わうシーンを観れば食べてみたくなる。イタリアを舞台にした映画でその気持ちがことさら強くなるのは、それだけイタリアの土地や料理に魅力があるからだろう。

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トスカーナ名物が堪能できる恵比寿のリストランテ

2003年にダイアン・レイン主演で制作された『トスカーナの休日(Under the Tuscan Sun)』には素朴で美しい景色が全編にわたって登場するが、とくに『アルファ ロメオ スパイダー』で走る海岸線の描写はなんとも美しい。

『トスカーナの休日』(2003年)の公式予告映像。

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美しいトスカーナの景色。ダイアン・レイン演じる主人公でなくとも、住みたくなる風景といえるだろう(photo : Monica Valladares/pixabay)。

地元の暮らしが描かれたこの映画には食事シーンも多く、観ていると無性にトスカーナ料理が食べたくなってしまう。

そんな思いを抱え、恵比寿のトスカネリアへ向かった。お目当ては、フィレンツェやシエナの名物を選りすぐって提供する田中祐介シェフのスペシャリテのひとつ、“世界最古のパスタ”「テスタローリ」だ。

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田中祐介シェフ : フィレンツェの三つ星「エノテカ・ピンキオーリ」等で修業した後、シエナに移り魚料理専門のリストランテへ。2002年、「リストランテ アレッサンドロナニーニ」総料理長などを経て、2010年に「トスカネリア」をオープンした。

イタリア人も知らない!? 最古のパスタ「テスタローリ」

テスタローリは古代ローマ時代に生まれた“イタリア最古”といわれる生パスタ。パスタはイタリア発祥で世界に広まった料理だから、つまりは世界最古のパスタといえる。「北トスカーナの端、ルニジャーナという非常に限られた地域で生まれ、この地では今でも食されていますが、それ以外の地域ではイタリア人でも知りません」というほどごく一部の食文化なのだが、それがここ日本で食べられるのだからありがたい。

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“テスト”という浅鍋で焼くからテスタローリ。バジルのペーストで作るジェノヴェーゼソースをかけて食べるのが定番だ。地元の人に言わせれば「本物のテスタローリはテストに入れてかまどで焼くのが正しい」とか。シンプルだからこその飽きない旨味をぜひ堪能したい。

小麦粉、水、少量の塩を混ぜたゆるめのなめらかな生地をフライパンで数分焼き、粗熱が取れたら菱形にカット(保存は冷蔵庫で)。食べる直前に1分ほど茹で、水気を切ってからソースとあえる。「ほかのパスタのようにこねる必要はないし、茹でるのも温める程度。クッチーナ・ポーヴェラ(農家の家庭料理)などといわれたトスカーナ料理らしい素朴なパスタだと思います」と田中シェフ。

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色鮮やかな自家製バジルペーストがこれまた絶品。パプリカやズッキーニ、アスパラなど季節の野菜もたっぷり入り、心から満足できるひと皿だ。

確かに素朴でシンプルを極めたパスタである。しかし、これが実に美味い。簡素な作り方からは想像もつかないような旨味があり、ひとくち、またひとくちと、しみじみ食べ進んでしまう。素材を生かした極上のソースが果たす役割も大きいだろう。やわらかく少々もっちりしていて、他にはない食感。パスタの起源3000年前に思いを馳せる。

トリッパの煮込みも素朴なズッパも絶品! 美味なワインもずらり

トスカーナの魅力を伝える料理は、もちろんパスタだけではない。

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自家製トスカーナパンに、野菜や肉の旨味をそのままトッピングしたクロストーニ。左はグリルしたズッキーニのマリネにモッツァレラをのせて焼き上げたもの、右はフェガト(鶏レバーパテ)を塗ったもの(通常は1種類の2個盛りで800円)。

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トスカーナの名物といえば、トリッパの煮込み(800円)。トスカネリアでは数種あるが、トマトで煮込んでチーズをのせオーブンで仕上げるフィレンツェの定番「フィオレンティーナ」は必食。

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具沢山のズッパ(スープ)。写真のこちらはシエナの名物、キノコと卵のアクアコッタ(1,400円)。パンを底に敷き、ポルチーニや椎茸などのキノコとじゃがいもを鶏ガラスープで煮込んだものに、チーズと卵をのせ焼き上げる。

「トスカーナ料理とワインのお店」を謳うだけあって、セラーにはトスカーナ産を中心に200本ほどのワインを常備。今後は、家族経営の小さなワイナリーから直接買い付けたこだわりのワインも提供していくという。6周年を迎えたトスカネリア、ますます期待が高まる。

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3大スーパータスカンのひとつ「SOLAIA」も充実。「じつはこれ、シエナで働いた際にオーナーが給料の半分をワインで払いたいと言ってきて、手に入れたものなんです(笑)」

「トスカーナ料理には2つの面があって、ひとつはメディチ家が発展させた豪華な宮廷料理、もうひとつは農家の家庭料理です」となつかしそうに語ってくれた田中シェフ。トスカネリアでは、素材も調理法も豪勢な「フィレンツェ風ビステッカ 骨付きアンガス牛の炭火焼き」など高価な逸品もあるが、同時に、今回ご紹介したような素朴でシンプルな家庭料理も充実していて、それがまた魅力的なのだ。

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世界最古のパスタや“農家の家庭料理”を味わいながら、トスカーナの雄大な景色を思い描く。「素朴こそ美しく美味しい」、そんな幸福な時間をトスカネリアでぜひ。

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トスカーナ料理とワインの店「トスカネリア」
東京都渋谷区恵比寿南1-17-6コートモデリアサウス恵比寿101
TEL:03-6452-2960
ランチ:12:00~14:00(LO) ディナー:18:00~22:00(LO)
定休:水曜日、木曜日ランチ

撮影 SHIge KIDOUE
取材・文 山根かおり
matricaria