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2014.08.08

本物のエスプレッソを知っていますか?

本物のエスプレッソを飲むならイタリアン・スタイル!

エスプレッソなら今どきどこででも飲める。それこそ、シアトル系の大手でも、こだわりのコーヒーショップでも、お洒落なカフェでも。しかし「本物のespresso」はやはり、イタリアン・スタイルでなければならないと思う。なぜならそれは、イタリアで生まれ育った味なのだから。

そういう意味で、日本には「本物のespresso」が飲める店は少ない。アメリカを発端とするコーヒーブームが世界を席巻する中で、シアトルスタイル、NYスタイル、北欧スタイル、オーストラリアスタイルなど、エスプレッソにもさまざまなスタイルが生まれたのだ。日本では、シアトル系がほとんどを占める。

本来なら「エスプレッソ=イタリアスタイル」だったはずだが、そうではないものが世界中に広がっている。その流れを否定するわけではないが、それが現状だ。だからこそ、オリジナルのエスプレッソを最近はあえて「エスプレッソ・イタリアーノ」と呼ぶ必要が出てきた。今回、ここで取り上げるエスプレッソとは無論、エスプレッソ・イタリアーノである。

DelSole(デルソーレ)のバリスタ、横山千尋さん。日本におけるイタリアンCafféの技術者/ジェラート職人の草分け的存在。現在、六本木、赤坂見附、横浜、中目黒、大阪など各地でBAR DelSoleを展開するほか、ジェラテリアとトラットリアも運営。自身が日本バリスタチャンピオン2回、世界ラテアート大会準優勝の実績を持つだけでなく、クオリティを重視した本物の技術を広めるために後進の育成にも熱心に当たっている。

イタリアエスプレッソ協会が認めた店を紹介

本物のエスプレッソを飲ませてくれるのは、六本木BAR DelSole本店。ミラノのバールで修業し、イタリアのエスプレッソ協会からも厚い信頼を得るトップバリスタ、横山千尋さんが手がけている。ここ六本木店と銀座店は、イタリアエスプレッソ協会から「本物のエスプレッソを飲める店」として日本で初めて認定を受けた店でもある。

ご自身も1日に5〜6杯はエスプレッソを飲むという横山さん。イタリアをよく知る彼にはバール文化が染み付いているし、それを再現するための場がBAR DelSoleだ。
「エスプレッソはノドが乾いたから飲む、というものではなく、食事の〆とか仕事の合間のリラクゼーションとか、チョコレートと同じような感覚ですよね。食後に飲むと消化を助けてくれるし、カフェインの量も少ないんです。苦くて飲めないとおっしゃる方もいますが、それはイタリアとはまるで違う淹れ方のエスプレッソを飲んでいるか、飲み方を知らないだけではないでしょうか」

まず飲み方については、砂糖を入れること。気分や体調に合わせて量は調整するが、「感覚的には、6g(スプーン約1.5杯分)の砂糖を入れるとビターチョコレート、10g入れるとスイートチョコ、ミルクを入れるとミルクチョコのようになります。チョコレートを食べるとき100%カカオは食べないでしょう? エスプレッソも砂糖を入れてこそ完成するのです」 飲み干した後、カップの底に残った砂糖はスプーンですくって食べるといい。

エスプレッソとは、エクスプレス(超特急)の意味。バリスタは少しの時間もムダにしないよう、流れるような身のこなしで素早く淹れる。味わう側も、細やかなクレマ(泡)が消えないうちに、出されたらさっと飲み干すべし。もちろん、その前後にはバリスタとの会話を存分に楽しみながら。

横山さんに学ぶ! 本物のエスプレッソの淹れ方

横山さんが言うところの「イタリアとはまるで違う淹れ方のエスプレッソ」とは具体的にはどんなものなのだろう。やや複雑になるが、本物のエスプレッソを知るためにぜひ読んでみてほしい。

コーヒーを抽出する際、ドリップコーヒーは上からポタポタと湯を落とす。このとき、挽いた豆にかかる圧力は1気圧ほど。それに対し、エスプレッソは9気圧で抽出する。豆の量は、ドリップが10g、エスプレッソは7gでいいという。お湯は、ドリップは150ccで抽出するが、エスプレッソは20cc、多くて35ccほど。「適正な圧力をかけて、旨味成分だけを瞬時に出すのがエスプレッソです。旨味を数値にした場合、ドリップは6%ほどですが、エスプレッソは24%。飲んだ印象も、ドリップコーヒーはサラッとしていますが、エスプレッソにはボディ感が必ずあるんです」

今ハヤリのシアトル系エスプレッソなどは、いわば「ドリップとエスプレッソの中間」の方法で淹れているという。「7gでいいはずの豆を、10〜15g使うのが今の主流。なぜかというと、豆をシングルオリジン(単一)で使っているから。イタリア人は絶対に豆を数種類ブレンドしてエスプレッソを淹れます。5種類以上の豆を使わなければエスプレッソとは呼ばないという定義があるほどです。とはいえ、イタリアでも元々はシングルオリジンからスタートしているんですよ。でも、長年の経験から、エスプレッソの複雑な味の深みを出すためにはブレンドしなくては無理だという結論に至ったのです」

ドリップコーヒーで1つの豆の味をしっかり味わうためにシングルオリジンを飲むのは間違っていないが、エスプレッソの場合は違うのだ。しかし、現在日本の多くのカフェではシングルオリジンにこだわって、エスプレッソを淹れている。それは確かに、エスプレッソ・イタリアーノとはかけ離れていると言わざるを得ない。

DelSoleにはテーブル席のほか、バリスタの作業を間近で眺められるバンコ(カウンター)も。イタリアのバールではおなじみの、バンコ(立ち飲み)料金も取り入れていて、エスプレッソ、カプチーノ、マッキャートなど豊富なCafféメニューがお得な値段で楽しめる。バンコで飲むエスプレッソ(シングル)はたったの148円!(テーブル席は300円/税別)

「先ほども話したように、エスプレッソにはボディ感が不可欠です。豆の中に含まれるオイル成分に圧をかけて抽出していくわけですが、ブレンドされた豆であればそれぞれがさらに絡まり合って無限に広がっていきます。ところが、シングルオリジンでこれをやろうとすると元々のオイル成分が少ないので、使う豆の量を増やし、さらに圧力も増やして、無理矢理とろみを出すしかない。それでもやはり単調になってしまって、エスプレッソ特有の複雑な深い味わいが引き出せないのです」

シングルオリジンを使う弊害はほかにもある。「ボディ感を出すために豆の量を増やすと、どうしてもお湯通りが悪くなります。だから、豆を粗く挽く。するとお湯の浸透率が変わるので、それを上げるために今度は機械の温度を上げるのです」そうしてできたエスプレッソが、酸味の突出した軽い味わいになってしまうことは容易に想像できる。酸味が強すぎたり薄すぎたりするエスプレッソを飲んだことがあるとしたら、少なくともそれはエスプレッソ・イタリアーノではない、といえる。

夏にぴったりの「シェカラート」(バンコ350円、テーブル席500円)。エスプレッソにミルクと砂糖を入れてシェイカーでつくる、エスプレッソのアイスコーヒー。思わず「おいしい!」と笑顔になる味。「シェカラートはミラノ弁、標準語はシェケラートです」と横山さん。合わせたドルチェはカンノーリ(1個240円)。チョコチップ、ピスタチオ、ザバイオーネ、いずれもコーヒーによく合う。

形態や名称だけを取り入れて「BAR」と呼んでも仕方がない。ひとつの文化として伝えたいと横山さんは語る。イタリアのバールは陽気で明るく、楽しい。そして、本物のエスプレッソは間違いなくおいしい。なにしろ、一杯のエスプレッソはそのバールの「顔」なのだから。

イタリア人が日本に来てエスプレッソを飲んだときに「おいしい」と思えるクオリティを常に保っている、それがBAR DelSole。日本人でも、横山さんのエスプレッソを飲んで「こういうものが飲みたかった」という人は多いという。本場の味を知っている人にも、ぜひ味わっていただきたい。


六本木BAR DelSole本店

東京都港区六本木6-8-14 Patata六本木1F
TEL:03-3401-3521
月~木曜日 11時~24時

金・土曜日 11時~翌2時

日・祝日  11時~23時



撮影 SHIge KIDOUE
取材・文 山根かおり

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