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2012.01.06

知れば知るほど飲みたくなる、イタリアワインの真髄

佐々木氏が語る! イタリアワインはおもしろい!

イタリアのワインは近年、非常にレベルが上がっている。イタリアワインのインポーターとして1985年から第一線で活動を続けているEtlivin(エトリヴァン)の佐々木仁氏が「最近は、まずいイタリアワインを探すほうが難しいくらいです」と太鼓判を押すほどだ。

かつてイタリアワインといえば、量産を主眼とし、品質はその次という時代があった。「量より質を重視するようになったのは1970年初め頃からでしょう」と佐々木氏は振り返る。単なる量産ではなく「世界に通用するワインを造る」という方向性に変わり、まずは市場のニーズに応える形で、人気の高い国際品種をブレンドした「売れるワイン」を多数生産するようになったという。「今はその反動もあって、マイナーな存在だった地場品種だけで造ろうという動きが目立ってきました。なかなかおもしろい時代になったと思いますよ」

イタリアワインをおもしろくしている理由として、バリエーションの豊かさが挙げられる。気候が温暖なため20州全土で良質なぶどうが栽培され、しかもその品種がじつに多様なのだ。カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、シャルドネといった国際品種ももちろんあるが、他国のワインに比べて特徴的なのは地場品種の多さ。有名なサンジョヴェーゼやネッビオーロ、バルベーラをはじめとして、その数は何百種類にも及び、それはつまり、何百種類もの味わいが存在するということだ。

「ワイン造りにおいて、人間にできることは限られています。もちろん、自然や伝統を重んじない人がいい加減な気持ちでワインを造っても品質は維持できませんから、そういう意味で人間が関わる部分は大きいですが、言い換えればそれは当然の条件。実質的に影響するのはテロワール、つまり土壌の性質や降雨量、十分な日照時間、適度な温度差などです。良質なテロワールとそこに育つ良質なぶどうが、不可欠なのです」
 


 
 
 
歳月を重ねたヴィンテージの赤もすばらしいが、若くさわやかな白ワインも外せない。「PANIZZI(パニッツィ)というワイナリーで造られる白は、若くても年を重ねてもおいしく飲めます。普通、長年経ってもおいしい白ワインというとソーヴィニヨンかシャルドネですが、これはVERNACCIAという地場品種。値段は安いし、非常にいいワインですよ」

「バリエーションが豊かだから、飽きることがありません。選択肢が多いので、自分が好きな味に出会える可能性も高いのでは」と佐々木氏は言う。そしてもうひとつ、イタリアワインの場合、良質なヴィンテージであっても、フランスのそれに比べると価格が抑えられている点も見逃せない。「年数の進んだワインなら、5000円を超えるとレベルの違いは私感では感じないくらいです。たとえば最高峰のバローロやブルネッロ ディ モンタルチーノでさえ、新しい年代のものなら5000円程度。それを自分でさらに熟成させることももちろん可能です。5000円以上のクラスであれば、「高いほどいい
ということではなく、あとは好みの問題といえます」


 
 
 
ワインの王者と讃えられるイタリア最高峰の赤、Barolo (バローロ)。写真は、その中でも最高の作り手として知られるCeretto(チェレット)社の、今では非常に貴重な1990年モノ。チェレットのバローロは、フランスでいうならロマネコンティのようなワイン。それを日本に初めて紹介したのは無論、佐々木氏だ。このワインをめぐるコラムを読むと、エトリヴァンがいかにして優れたイタリアワインを日本に広め、それがどんな思いに基づいているかがよくわかる。

熟成されたイタリアワインを楽しもう!

イタリアワインの中でも、長期熟成の最高峰として知られるBarolo(バローロ)。ピエモンテ州のバローロ村とその周辺で生産されるDOCG規格(イタリア国家が定めるワインに関する法律「DOC法」の中で最高位に位置づけられるもの)の赤だ。生産地、品種、製造法が厳格に規定され、その法定熟成期間は最低38ヶ月、つまり、樽および瓶内で3年以上の熟成を経なければバローロと名乗ることはできない。仮に醸造してすぐのバローロを飲んだなら(法律上、あり得ないが)タンニンや酸味が強すぎて飲めたものではないという。ところが、樽と瓶内で熟成させることで、ほかに類を見ないほどの濃密で個性的な味わいに育っていくのだ。しかも、「バローロの出荷は4年目からですが、その後も長期にわたって熟成が可能なワインです。20年、30年置いても十分においしいのです」というのだから、ロマンを感じずにはいられない。


 
 
 
 
佐々木氏にとって思い入れの強いワイナリーのひとつ、ANSELMA(アンセルマ)のバローロ。「生産量が少ないので、通い詰めて通い詰めて、やっと売ってもらえるようになったワインです。
ここの造り手は頑固なほどにこだわっていて、「バローロは時間がかかるワインだ。待てばおいしくなる」ときっぱり言い切ります。バローロをおいしくないと感じるとしたら、開けるのが早すぎただけだ、と言っているようなものですね」

イタリアを代表するもうひとつの長期熟成ワインはBrunello di Montalcino(ブルネッロ ディ モンタルチーノ)。トスカーナ州のモンタルチーノで収穫されるサンジョヴェーゼで造られる。法定熟成期間が50ヶ月(リゼルヴァは62ヶ月)、しかもそのうち最低2年はオーク樽での熟成が義務づけられている偉大な赤。販売された時点ですでに「飲み頃」ではあるが、バローロ同様、そこからさらに何十年も寝かせて楽しめるワインだ。「十分な熟成期間を経たブルネッロは、市場に出回る1ヶ月ほど前からテイスティングする会が設けられます。そこで官能検査をし、合格するとようやくBrunello di Montalcinoのラベルを貼ることが認められるのです


 
 
 
 
佐々木氏とTALENTI(タレンティ)社との出会いも非常に印象深い。「まだワインのガイドブックもなかった1988年、私はイタリアに行き、いいワインに巡りあう術を探しました。最高のレストランでおすすめのワインを頼めばいいだろうと考えて、エノテーカ・ピンキオーリのフィレンツェ本店に行ったのです。そこでソムリエが勧めてくれたのがTALENTIでした。初めて知るワイナリーでしたが、飲んでみてすぐに気に入りました。インターネットもない時代ですから、電話を入れ、翌日には車を飛ばして現地に向かいました。TALENTIとの付き合いはそれ以来。今ももちろん輸入を続けています」

写真の「TALENTI」は1987年モノで、もし値段を付けるとすれば数万円はくだらない。でも、このワインの製造法や、経てきた歳月を思えば、決して法外な値段とも思えない。ここまで古いものに出会うのは難しいにしても、2012年1月1日から市場に出回ることになる2007年モノなら5000円程度で買えるというのだから、それを自宅で熟成させてもいいわけだ。いずれにしろ、イタリアワインの良心的な価格帯は特筆に値する。
 

エトリヴァンは酒屋やレストランにワインを卸すインポーターだが、対面であれば個人客にも対応してくれる。佐々木氏のイタリアワインへの造詣は間違いなく日本最高峰であり、そんな彼が選んだワインはすべて最高峰だ。さらに、佐々木氏のソフトな人当たりと、イタリアを愛する気持ちに共感して、エトリヴァンのファンになる人も多かろう。興味のある方は、まずはメールで問い合わせを。
 

熟成した赤ワイン(手前)は、レンガのような色合いを帯びてくる。色も香りも味わいも、歳月とともに驚くほどの変貌を遂げるのだ。

佐々木氏がHPで綴っているコラムの中に、ヴィンテージに関する記述がある。ご承知の通り、ヴィンテージとは収穫年を意味し、したがって優、良、可がある。ヴィンテージものというと、一般には優の年を指すが、佐々木氏はこの優、良、可をあまり当てにしないようにしている。格付けも参考程度にとどめているという。なぜなら「優のヴィンテージでなくても、たとえば良の年のものでも、驚くほど健康年齢に恵まれたものもある。あるいは、典型的な長熟系のバローロ、ブルネッロでなくてもびっくりする赤ワインがある」というのだ。


佐々木氏はこんな提案もしてくれた。「お子さんが誕生した年をヴィンテージに重ねる方もいます。たとえば2006年のブルネッロを買って2026年の成人の日を待つのです。そんな楽しみ方ができる飲み物はワイン以外にはないのではないでしょうか」
 
 
佐々木氏はイタリアワイン一辺倒ではなく、フランスのワインも好きだという。イタリアに滞在中、フランスのブルゴーニュ地方へ脚を伸ばしたこともあるそうだ。「ピノノワール、これだけはイタリアでは作れません。ブルゴーニュの冷涼な気候のもとでしか、あのぶどうの良さは生まれないんです。それを飲みにブルゴーニュにまで行ったわけですが、4日滞在する予定が3日で帰ってしまいました。ブルゴーニュのワインは確かにとてもおいしい。でも、そればかり飲むと飽きちゃうんです。その後、バローロに戻ってホッとしましたよ」と笑う佐々木氏。さまざまなワインを知った上でなお、彼が「非常におもしろくて決して飽きない」というイタリアワイン。あなたもその世界に深く浸ってみてはいかがだろうか。

プレゼント

ボトルの裏にRinascita(再生)とエッチングされたCi-fiの赤ワインを1名様にプレゼントいたします。東日本大震災の復興を祈って発売されたもので(詳細はコラム参照)、「2016」の数字は「このワインがもっと味わい深くなるであろう5年後には、復興の姿がある程度見えているのではないか」という願いが託されています。


ご応募方法

ご応募期間:2012年1月6日〜2012年1月20日

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ご応募期間終了後、厳正なる抽選の結果、当選された方にはTwitter ダイレクトメッセージにてご連絡をさせていただきますので、その際にお送り先をご返信くださいますようお願いいたします。ダイレクトメッセージを送らせていただいてから7日間以内にお返事がいただけない場合には、当選の権利は無効となりますので、ご了承くださいますようお願いいたします。
当選者の発表は、発送をもってかえさせていただきます。

エトリヴァン

店舗はありません。対面に限り、倉庫での販売も可能です。メール(brunello99@xa2.so-net.ne.jp)にてご予約のうえ、お越しください。

取材・文 山根かおり

企画も手がける編集ライター。利き酒師。クッキングインストラクター。おいしいもの、こだわりの人、すてきな場所、丁寧な手仕事を目にすると、「もっと多くの人に伝えたい」と思わずにはいられない。旅と食が好き。旅先で地元の人が利用する市場やスーパーで調味料や食材を買い込み、帰国してからその味を再現するのが目下の楽しみ。Mondo Alfaでは、カメラマンの夫と共に真にすばらしいモノやコトを探して伝えている。

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