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2014.11.21

美しき朱色の鳥居が世界の美意識を刺激する 〜伏見稲荷大社〜

全国約3万社の総本宮、伏見稲荷大社へ

日本人にとって「赤い鳥居のおいなりさん」はとても親しみ深い、身近な存在である。稲荷神社は全国各地に約3万社祀られているといわれるが、その総本宮が御鎮座711年の伏見稲荷大社である。稲荷山の麓に本殿を構え、稲荷山全体を神域とする。老若男女を問わず親しまれている「稲荷信仰」の原点、それが稲荷山であり、伏見稲荷大社なのである。

初詣では近畿地方の社寺で最多の参拝者を集めるが、近年は海外からの観光客も急増し、2014年には世界最大級の旅行口コミサイト「TripAdvisor」の“行ってよかった、外国人に人気の日本の観光スポット”調査で第一位に選ばれている。写真で見るだけでも圧巻だが、目の前に迫ってくるような朱色の無数の鳥居は、言葉を失うすばらしさ。

元来、稲荷の鳥居は社殿と同様、「稲荷塗」といわれるもので、赤ではなく朱(あけ)で彩色するのが慣例だ。この「あけ」という言葉は赤・明・茜といった明るい希望を連想させ、さらにこの色合いには生命や大地の力を持って稲荷大神の御霊(みたま)の働きとする、という信仰が宿っているという。

見る者を魅了、圧倒する「千本鳥居」

稲荷山には信者から奉納された鳥居が約1万基ある。崇敬者が祈りと感謝の念を表すために奉納してきたもので、江戸時代から連綿と続く信仰の形だという。とくに、狭い間隔で多数の鳥居が建てられた一角は「千本鳥居」の名で知られ、一大観光名所となっている。

千本鳥居は楼門、本殿を通り過ぎてほどなくの、稲荷山の中では比較的低いエリアに位置しており、ここだけを見て帰る人もいるのだが、行くべき場所はその先にもある。千本鳥居の後、奥社奉拝所の先には「お山」と呼ばれる稲荷山を巡拝できる参道が続き、そこかしこに「お塚」と呼ばれる小さな祠が無数に祀られている。

厚い信仰心を持ってのぼる人も多いが、たとえそうでなくとも、この場所が持つおごそかで霊験あらたかな雰囲気は、見る者を圧倒する。上に行けば行くほどその何とも言えない風情は凄みすら帯び始め、稲荷山が時代を越えて人々の信仰対象であり続けていることを実感できるだろう。外国人は「お山巡り」を心地よいウォーキングコースとして捉えるというが、その気持ちも理解できるというものだ。

それにしても美しい朱色は、なぜこうも魅力的なのだろう。「おいなりさん」に幼い頃から親しみを感じる日本人だけでなく、世界中の人をも魅了するのだから、それはもはやアートと呼んでもいいかもしれない。カメラを持参し、心のおもむくままにシャッターを切ってみるのもいいだろう。

伏見稲荷大社

撮影 SHIge KIDOUE
取材・文 山根かおり

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