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2016.05.12

過去最高の動員数となった「東京レインボープライド2016」、出展者が切に願うLGBTへの理解について迫った

5年目を迎えた「東京レインボープライド2016」。多数のメディアが報じたように、社会の注目を集めるLGBTイベントを当事者のインタビューを交えお届けする。

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毎年恒例となっているLGBTの祭典「東京レインボープライド」が、大型連休を締めくくる5月7日と8日の週末、東京 代々木公園で開催された。フェスタ来場者と8日のパレード参加者をあわせて7万500人を数え、2012年以降、最多となったこの人気ぶりは、著名人をゲストに迎えるなど趣向を凝らした主催者側の尽力もあるが、LGBTをとりまく環境の変化や関心の高まりもあるだろう。

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LGBTとは、レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダーなど、セクシャル マイノリティを総称する言葉。シンプルな言葉で表現することで、社会問題として提起しやすくなり、そこに光が当たるようになってきた。レインボープライドというイベントも、集まったLGBTの力を集約し、大きな力として外にメッセージを発信しようという含みを持っている。パレードがその象徴だ。アルファ ロメオは、2011年から今年の開催も含め、NPO法人グッド・エイジング・エールズの支援を通じて、LGBTを含むすべての人が個性やスタイルを誇れる社会の実現を目指している。

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写真左はキャロライン・ケネディ駐日米国大使。右は「愛」をテーマとした曲を歌い続けているシンガーソングライターのCharaさん。

初日の7日は11時のオープンから19時過ぎのクローズまで、会場のメインステージでLGBTをはじめとする20以上のアーティストのパフォーマンスが行われた。8日に行われた来賓・大使館スピーチでは、キャロライン・ケネディ駐日米国大使をはじめ、ティム・ヒッチンズ駐日英国大使、アン・バリントン駐日アイルランド大使が登壇し、LGBTに対するそれぞれの考えを述べ、会場の拍手を呼んだ。また、シンガーソングライターCharaさんによるライブも開催。一方、ステージ周辺にはLGBT支援に名乗りを上げた多くの企業や団体がブースを出し、観客の関心を集めていた。

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アルファ ロメオ、GAP、Johnson & Johnsonの3社のコラボレーションブースでは、「OUT IN JAPAN」写真展を実施した。

アルファ ロメオは、GAPおよびJohnson & Johnsonとの合同展示となる「OUT IN JAPAN」写真展を実施した。これはNPO法人グッド・エイジング・エールズが企画・運営する、LGBTのフォトギャラリー。フォトグラファーのレスリーキーが撮影した数百人のLGBTの写真を展示し、セクシャル マイノリティが身近な存在であることを伝えた。ブースでOUT IN JAPANのオペレーションを行うNPO法人グッド・エイジング・エールズ代表の松中権さんとOUT IN JAPANを率いるチームリーダーのらんらんさんにお話をうかがうことができた。

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NPO法人グッド・エイジング・エールズ代表の松中権さん。

――LGBTポートレイト展示の目的はどんなところにあるのでしょうか?

「ここ数年、カミングアウトする人が増えていて、なにか少しでも力になることがあるなら手伝うよ、と言ってくれる人がけっこういたのです。そこでカミングアウトした人に写真展に出てもらい、メッセージを寄せてもらってはどうかというところからプロジェクトは始まりました。ポートレイトはwebサイトでも公開しているので、それを見た人が勇気を得て、また次の人に繋げていく。そんな風に輪が広がっていくといいなと思っています」

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OUT IN JAPAN写真展では、100名を超えるLGBTの写真が展示された。OUT IN JAPANは5年間で1万人のギャラリーを目指している。すでに撮影した写真は1000人を超えるという。

「でも、カミングアウトを押し進めようというわけではありません。カミングアウトはあくまでも本人の意思で、そこは尊重します。LGBTは、数は多いのですが可視化されにくい。特に日本では、周りとの関係や調和を重視する傾向が強く、自らを発信しづらかったり、アイデンティティを意識しづらかったりする風潮があると思います。そこでOUT IN JAPANの活動を通じて、実は(LGBTが)まわりにもたくさんいることを伝えたいという想いがありました。参加者には年齢や職業、出身県などを書いてもらっていますが、10代の人がいれば80代の人もいる。職業も出身県もバラバラなんです。それを見て、どこにでもいるんだということを知ってもらいたい、これがOUT IN JAPANの目的です」

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2011年1月にスタートしたNPO法人グッド エイジング エールズとアルファ ロメオのコラボレーションはすでに5年が経過。松中氏は「サポートしてもらっているというよりは楽しいこと、嬉しいことを一緒に作ってきたという感じ。それがこうしてかたちになり、色々なことに繋がっている。嬉しいですね」と話す。

――松中さん自身がカミングアウトして良かったと思うことは?
「言葉にするのは難しいんですけど、明らかに、いままで感じていたストレスが軽くなっているとは思います。LGBTの人って最初は誰もが悩むんですけど、それでも社会で生きていかないといけないから、周りに差別的な発言があっても、それを聞き流す体になっていたり、苦しいと思っても仕方ないなと思うようにしているところがあって、そういうストレスが積み重なっているんです。自分は、職場でカミングアウトしてからは、日常会話のなかで、自分と目の前の人の間に敷いていた壁のようなものが取れているような気がしています。あと、例えば人が多く集まる場でもしかしたらLGBTの人がいるかもしれない環境のなかで、差別的な発言があったときに、「ちょっとちょっと、ぼくゲイなんだから、そういうのやめてよ」とか言えるようになった。言った本人に対する指摘というよりは、それを聞いて苦しんでいるかもしれない人に居心地の悪い想いをして欲しくない。そういう場面で自分にできることが増えたという実感はありますね」

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「カミングアウトする前にイメージしていたのは、カミングアウトとは心を開き、自分のことを語ったり発信したり伝えたりとか、そういうことなのかなと思っていました。でも実際は、自分の内面の扉を開いたことで、飛び込んでくるもののほうが多かった。いままで距離を開けて接していた人の本当の考えが知れたり、こんな面白い人だったんだと思ったりとか、いろいろと飛び込んでくる。続々と。入ってくるものの方が多いと感じています」

――ありがとうございました。

次に同じくグッド・エイジング・エールズでOUT IN JAPANを運営するチームリーダーのらんらんさんに、カミングアウトの経緯についてうかがった。らんらんさんはトランスジェンダーを経験。LGBTのTにあたる。


NPO法人グッド・エイジング・エールズ ピープルチームリーダーのらんらんさん。

――らんらんさん自身のカミングアウトについて教えてもらえますか?
わたしは男性として生まれ、心は女性として生きてきたんですけど、去年から会社でもカミングアウトして、いまは自由というか気を遣わなくて良くなり、毎日楽しくやっています。最初のカミングアウトは5年くらい前。まずは一番仲が良かった友達に話して、次に信頼できる会社の上司、そして次に家族へと進み、フルカミングアウトというステップをたどりました。誰にもいえなかった時は、自分のことを理解してもらえていないという孤独感を感じていたんですけど、そこを共有できるようになると、ひとりじゃないなって思えるようになって。生きやすくなった、という実感はありました。でもその過程では、カミングアウトして今までと変わらない人もいれば、話したことで気まずくなってしまった人もいます」

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二人はカミングアウトを行っているが、その過程では色々な経験をされた模様。自分自身を認めることに始まり、自分を知ってもらう人を増やし、自分らしくいられる時間や場を増やし、深めていく。そうした経験を経ているためか、さわやかな笑顔が印象的だった。

さて、アルファ ロメオと合同でブースを展開していたメンズ下着メーカーTOOT(トゥート)のブースでは、東京レインボープライド2016デザインのパンツを150枚限定で販売していた。試着会も実施し、先着300人を対象に実際にはき心地を試してもらい、試着したパンツをそのままプレゼントするというキャンペーンを実施していた。ブースの外にはパンツ欲しさに行列ができていたほど。TOOTパンツの自慢は立体裁断ならではのフィット感という。

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メンズアンダーウェアブランドTOOTのアルファ ロメオのコラボレーションから生まれたALFA ROMEOパンツ。

8日のパレードは、4500人が参加。こちらも過去最高の動員数となった。渋谷の街を虹色のフラッグと共に大行進するパレードには、FCAジャパン株式会社からティツィアナ アランプレセ マーケティング本部長をはじめアルファ ロメオのスタッフが参加した。「Be Yourself ALFA ROMEO PRIDE!」と書かれた横断幕を手に、すべての人が暮らしやすく、自分スタイルでいられる社会の実現を訴えた。4C スパイダーもパレードに加わり、さまざまなスタイルを持つ人と歩みを共にした。

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アルファ ロメオがグッド・エイジング・エールズをサポートしはじめて5年が経つ。この間、社会は少しずつ変わり、LGBTという言葉を聞く機会が増え、渋谷のパートナーシップ証明書が交付されるなど、東京では変化を実感できるようになった。しかし松中さんによれば、地域によって差はあるという。

このイベントに参加していると、LGBTに対する認知、受容が広まっていると感じられて心地いい。ムーブメントが全国津々浦々にまで波及するのは時間がかかるかもしれないが、少しずつでも確かに広まっているのを感じる。アルファ ロメオは今後もLGBTのサポートを続けながら、個の尊重を追求していくという。

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文 曽宮岳大