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2016.11.04

青木拓磨選手、グイドシンプレックス装着の『4C』に試乗

脊髄に損傷を負ってからもモータースポーツに参戦している不屈のレーサー青木拓磨氏。そんな青木氏に、グイドシンプレックスの運転補助装置を装着したアルファ ロメオの高性能スポーツカー『4C』に試乗してもらった。その印象は?

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50年以上の歴史を持つイタリアの運転補助装置ブランド“グイドシンプレックス”。ヨーロッパでは数多くの自動車メーカーに純正採用されているメジャーな存在だ。日本ではアルファ ロメオ横浜町田を運営する株式会社ジー・エス・ティーが総輸入販売元となり、15年以上前から障害のレベルや用途に合わせたきめ細かな対応を行っている。

アルファ ロメオ横浜町田は、グイドシンプレックスの運転補助装置を取り付けた試乗車も用意している。今回は、その中の1台『4C』に青木拓磨選手が試乗。その印象をうかがった。

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レーシングドライバー青木拓磨氏。全日本ロードレース選手権スーパーバイク2年連続チャンピオン獲得。1997年にロードレース世界選手権GP500クラスに参戦、世界ランキング5位に。98年にテスト中に事故で脊髄に損傷を負う。現在は4輪のレースに参戦する傍ら、バイク教室を主宰するなど、モータースポーツの発展に向け精力的に活動している。

青木選手は、モーターサイクルの世界選手権最高峰クラスのチャンピオンに手が届くところにいた1998年、テスト中の事故で脊髄に損傷を負った。しかし、その後もモータースポーツに意欲を持ち続け、2006年からは活動の場を自動車レースに移してカートに参戦。これまでにアジア クロスカントリー ラリー、ダカール ラリー、シビック インター、スーパー耐久シリーズ、GTアジアを戦っており、2012年のスーパー耐久シリーズではST2クラスでシリーズ3位、2014年のGTアジアでは車いすのドライバーとしてアジアで初めて優勝を飾ったほか年間3勝をあげ、GTMクラスの年間ランキング2位を獲得している。その競技車両にはグイドシンプレックスを備えている。

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青木拓磨選手は現在、グイドシンプレックスを装着した車両でレースに参戦している。

そもそも青木選手は、なぜグイドシンプレックスを選んだのだろうか?
「少しでも競技に向いたハンドドライブ装置が必要だったからです。それまでの日本製のハンドドライブ装置は床から生えたレバーを押すとブレーキ、引くとアクセル。片手は常にそのレバーにあって、もう片手はステアリングを握るわけですから、ATじゃないとダメだったんですよ。タイムを出すレースには向いていなかったんです。ところがMTでも使えるグイドシンプレックスというのがあると聞いて興味を持ち、クロスカントリー ラリー参戦2年目の2008年だったかな。ジー・エス・ティーに電話をしてサポートをお願いしたんです」

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グイドシンプレックスは青木選手の目的にマッチしていた?
「一般的なMTの場合、手だけで操作するとなると、アクセルとブレーキの他にボタンに触れるとクラッチが切れる装着が必要なんです。確かにそれでMT車を走らせることはできるようになるんですけど、操作が煩雑で、サーキットで速く走らせるには手が4本ぐらいないとできない(笑)。それに構造上、クラッチが切れたり繋がったりするのに時間がちょっとかかり、そこで少し遅れが出るのも確かです」

「でも、GTカーのマシンはドグミッションで、クラッチはスタートで必要なだけ。それにレバーを捻るとアクセル、そのまま押すとブレーキ、というシステムをつけました。操作の煩雑さが減って、遅れがだいぶなくなりました。翌年のマシンはパドルシフトだったから、さらにドライビングがしやすくて、シフト操作の自由度がさらに高かった。変速も素早いし、ミスもない。グイドシンプレックスとの親和性がかなり高くて、ちゃんと競技を戦うことができました」

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『アルファ ロメオ 4C』に乗る青木拓磨氏。

そういう意味では、デュアルクラッチ式のトランスミッションを持つロードカーも、グイドシンプレックスとのマッチングは良さそうだ。
「そうですね。ハンドドライブの装置をつければ、僕たちのように手だけで運転をするドライバーでもほとんどハンディキャップを感じずに走ることができます。パドルを使えばシフトチェンジしている実感もちゃんとあります。デュアルクラッチのクルマはこれからもどんどん増えるでしょうけど、それは僕たちにとっても選択肢が増えるということ。例えば10年前だったら、『4C』のようなスポーツカーをドライブできるなんて思いもしなかったでしょう。時代は進むんですね。本当に素晴らしいことだと思います」

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青木拓磨氏はこの日、『アルファ ロメオ 4C』で一般道~高速道路をドライブ。『4C』の動力性能やハンドリング性能を高く評価していた。

では、その『4C』を走らせてみて、青木選手はどのような印象を持たれたのだろう?
「『4C』は軽くて、パワーがあって、速くて。速度計を注意して見ていないと、制限速度を超えてしまいそうです(笑)。ハンドリングもいいですね。よく曲がってくれます。このままスーパー耐久レースにでも出たいくらいですよ。性能的にも通用すると思います」

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『4C』に装着されたグイドシンプレックス運転補助装置は、ステアリングに備わるリングがアクセルの役割を果たす。ブレーキ操作はステアリング右側にあるレバーで行う。

「僕は一般公道の他にサーキットでも『4C』に試乗しているんですけど、加速は鋭いしコーナーでもクイックだし、かなり楽しいです。何しろ軽い。車重の軽さが動きの良さにそのまま反映されているんですよね。サーキットでもまったく不満を感じることがありませんでした。ATモードで走っても変速が素早いから、じれったさを感じることもありません。『4C』はかなり素晴らしいですよ。ステアリング手前側にアクセルの役割を持つプッシュ式のリングがあって、ステアリングコラムの横にブレーキのレバーが備わる比較的標準に近いグイドシンプレックスが備わっているんですけど、かなりマッチングがいいと思います」

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さて、最後に青木選手の今後のレース活動について教えていただこう。
「アジアン ル・マンに出場します。12月2-4日の富士スピードウェイ、1月20-22日はセパンの2戦です。GT CUPクラスですけどね。それは来シーズンに向けての活動で、来シーズンはGT3クラスに出場してチャンピオンを獲って、ル・マン24時間レースに挑戦したいんです。2020年の東京オリンピック/パラリンピックに向けて、日本も障害者に目を向けてくれる企業や人が増えてきました。いいチャンスだと思うし、僕たちの活動に触発される人が出てきたら嬉しいな……と。ゆくゆくはアレックス・ザナルディ(元F1)とウエイン・レイニー(WGP)と僕(WGP)で組んでレースに出たいなと。彼らに具体的に話を持ちかけたわけではないんですけどね(笑)」

障害を負った人に自ら運転し、ドライブを楽しむ環境を提供するグイドシンプレックスの運転補助装置。同様に、アルファ ロメオも、すべての人が自分らしく生きていける社会の実現を目指し活動している。そうした活動の一環として、11月8日(火)から14日(月)にかけて、渋谷・ヒカリエ8階で開催される「2020年、渋谷。超福祉の日常を体験しよう展」をサポート。10日木曜日(17:20-18:00)には、青木拓磨選手のグイドシンプレックスに関するプレゼンテーションや須藤シンジ氏(NPO法人ピープルデザイン研究所代表)とのクロストークが予定されている。お近くにお越しの際はぜひご立寄りください。

文 嶋田智之

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