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2015.02.20

“1750”という数字に込めた、アルファ ロメオの想い。

“1750”という数字に込めたアルファロメオの想い

僕なら数字では“7”や“1007”、アルファベットなら“t”や“ts”、組み合わせでいえば“a5”や“c3”といった具合に、何かのときに──例えばメイルアドレスとか──使いたくなったり無意識に選んだりする記号のようなモノを、おそらく皆さんもお持ちなんじゃないかと思います。それは大抵の場合、自分史の中の忘れられない出来事や誇りに感じている何か、好きな何かにまつわるモノであることが多いことでしょう。

事情を知らない人にとってはそこに込められた想いや秘められた意味なんて知るよしもないけれど、本人にとっては実はとてもエモーショナルなものだったりする。そういうものなんだとも思います。

振り返ってみるとアルファ ロメオは、昔からそういうところを大切にしてきた自動車メーカーなのかも知れません。例えば2007年に全世界500台のみ販売された8Cコンペティツィオーネの“8C”は、1931年から1939年まで作られた8C(8 Cilindri=8 Cylinders=8気筒)シリーズにちなんだもの。その最初のモデルであった8C2300の直列8気筒エンジンは当時考えられる最高のレーシング・テクノロジーを投入されて開発されており、競技用のスペシャルマシンは1931〜1934年のルマン、1932〜1933年のミッレミリア、1931〜1933年のタルガフローリオを制覇するなどレースの世界で大活躍を収めました。“8C”はアルファ ロメオに黄金時代をもたらしたコードネーム。そして“コンペティツィオーネ”も、1948年に第2次世界大戦後のアルファ ロメオ初のレーシングカーとして作られた美しいベルリネッタ、6C2500コンペティツィオーネにちなんだものでした。アルファ ロメオにとっては記念碑的な、忘れることのできない重要な記号性のある名前を受け継いでいるわけですね。
ちょっとオタクっぽい話ですが、もう少しおつきあいください。そう、“1750”のお話です。

“1750”という数字を車名に持つモデルが最初に登場したのは、1929年のことでした。1752ccの直列6気筒エンジンを積んだ、6C1750です。このクルマもレーシングフィールドで輝かしい戦績を収めています。1929年と1930年のミッレミリア、1930年のスパ24時間、いくつかのグランプリなど、様々なメジャーレースのリザルトの頂点にその名を刻みました。

このエンジンの最も高いチューンを受けたものは、当時の1752ccであることを考えれば驚異的ともいえる103.4psを発揮していました。それはDOHC+スーパーチャージャーという高度なメカニズムを持ったものでしたが、同時にロードカー向きの自然吸気のDOHC、ツアラー向きのSOHCも用意されていました。1機のエンジンのチューニングを変えることで、強烈な速さを得ることにもストリートを流して走る楽しみにも対応したわけですね。

そして“1750”の名前が再び登場するのは、1967年です。当時のスポーツモデルだったジュリア・クーペ、ジュリアをベースに開発された上級セダンのベルリーナ、オープンスポーツカーのスパイダーに搭載された直列4気筒DOHCの1779ccエンジンが、“1750”と呼ばれました。

この1750ユニットは、速さと扱いやすさを見事に両立したエンジンでした。例えばジュリアのマニア達の間では、高回転までブチ回して走るのが楽しい1300、力強いトルクがあって楽に速い2000、いいとこ取りの1750、なんて現在でも評されていたりします。6C1750の時代にはチューンを変えて対処していたけれど、たっぷりと満足できるスピードと実用粋での走らせやすさの双方を1機のエンジンで満たすようにしたかのようです。

さて、どことなく似た何かを連想しませんか?

現在のジュリエッタ クアドリフォリオ ヴェルデと4Cが搭載する新しい1750エンジンの、レーシング・スピードまでカバーできる速さと日常領域ですら楽しくて扱いやすいキャラクターは、時代の開きによるエンジニアリングのレベルの違いに起因する諸々こそあるものの、“もしかして、そこ狙った?”って思える共通項だと思うのです。同じなのは“1750”という数字だけではないのですね。

時代の要求に応え、突き詰めた速さと楽しさ

もともとこの直噴式DOHC4気筒ターボの1742ccエンジンは、世界的に自動車メーカーが環境責任を明確に問われるようになったことを受け、次世代ユニットとして2009年に発表されたものでした。最初に搭載されたのはアルファ159で、当時の2.2リッターJTSユニットの185ps/23.5kgmに対して200ps/32.6kgmと、ダウンサイジング化がなされていたにも関わらず、性能的には優に上回る高性能エンジンに仕上がっていました。

その発展版として現在の3代目ジュリエッタの初期に設定されていたクアドリフォリオ ヴェルデに搭載されたものは、235ps/34.7kgm。そして同じ排気量ながら新設計とされたものが4Cへ、そして新型クアドリフォリオ ヴェルデへと搭載されたのは御存知のとおりです。

この最新の1750ユニットの特徴は、求められている環境性能の水準をクリアしていることが大前提ながら、その上で先代の1750エンジンよりパフォーマンス、刺激性、扱いやすさの全てを向上させていること。

数値の上では240ps/34.7kgm(4C用は35.7kgm)ですからほとんど変わりないように思われるかも知れませんが、実際にはより低速域から力強いフィーリングで、それは加速の鋭さにも走らせやすさにも大きく貢献しています。それに以前よりさらにエキサイティングなテイストを感じさせてくれるのも美点でしょう。例えば、サウンド。直噴のダウンサイジング系エンジンはどうしても音質が眠たくなる傾向にあるのですが、新型1750ユニットではサウンドジェネレーターという装置を使うことで回避しています。 “ジェネレーター”という言葉から音を電子的に作ってスピーカーから流していると思っている人もいるようですが、そういうものではありません。簡単に説明するなら吸気のときに生じる脈動を増幅させる装置であり、それを巧みに室内へと導いているのです。だからエンジン・フードを開けて聴くサウンドと室内で聴くサウンドの音質に、大きな違いがありません。

パフォーマンスの面でも、例えば0-100km/h加速タイムが先代と較べて0.8秒も短縮されていること見ても明らかなように、確実に高くなっています。新しい1750ユニットはどうやらAlfa TCTと組み合わせることを前提に設計されているようで、ツインクラッチを採用している分だけ重量的に不利という点をカバーすべく、シリンダー・ブロックをアルミ製にすることなどで22kgもの軽量化を図っています。本来それは車重を1kgでも軽く仕立て上げることを第一義とした4Cのための策であったわけですが、それをほぼそのまま搭載する新型クアドリフォリオ ヴェルデにも大きな恩恵をもたらしてくれたわけですね。

新型クアドリフォリオ ヴェルデのドライビング・インプレッションについては1月のデビュー直後のコラム(http://mondo.alfaromeo-jp.com/love_alfa/5042)を御覧になっていただくとして、その後も含めて合計およそ1000kmを試乗したことで付け加えることがあるとすれば、チカラがあるおかげで長距離移動がかなり楽で、グランツーリスモ性も抜群に高いというのをたっぷり実感できました。そうしたロングクルーズのときでも飽きることがなく、常に高揚感を味わうこともできました。

新しい1750ユニット+Alfa TCTのコンビネーションは、単に速さだけでなく、あらゆる面で効き目抜群。アルファ ロメオは4Cのような一部のスポーツカーを除けば、伝統的にレーシングライクな走りを楽しませてくれるスポーティなテイストと美しいスタイリング、それに日々のパートナーとして全く遜色のない扱いやすさと使い勝手を兼ね備えたクルマです。そう考えると、新型クアドリフォリオ ヴェルデは現在のラインナップの中で最もアルファ ロメオらしい存在といえるかも知れませんね。

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