• Mondo alfa
  • 4Cスパイダーに試乗 甘い時間もハードな走りもこれ1台で
2016.02.03

4Cスパイダーに試乗 甘い時間もハードな走りもこれ1台で

2015年10月の東京モーターショー2015で国内初披露された4Cスパイダー。クーペとは異なる、新しい個性が与えられたオープンスポーツの魅力は? ワインディングロードでその走りを試しました。

160126_Alfa_01

誰かを誘いたくなる、美しい4Cスパイダー

太陽の光の下であらためてじっくり眺める4Cスパイダーは、やっぱりというか当然ながらというか、なかなか目を引き剥がせないような説得力の強い存在感を放っていました。モーターショー会場の硬質な光の中で見てももちろん魅力的だと感じましたが、大自然が生む広がりのある光は、クルマの曲線や曲面の表情をより明確に浮かび上がらせます。そして自然光は刻一刻とトーンを変え、クルマの表情もそれに合わせて微妙に変化していきます。そんな中でじっくりと眺めてみても、飽きることはありませんでした。

160126_Alfa_02

見どころは、斜め後ろからのアングルでしょう。クーペではルーフからテールエンドまで、ラインが自然に流れるようなファストバックスタイルですが、スパイダーのその部分はデザインが大きく変更されています。ルーフエンドから垂直に落ちたリアウインドウ、左右の切り欠き、そしてうねりのあるデッキ型のエンジンフードという構成で、昔ながらの伝統的なミドシップスポーツカーらしいカタチです。それが元々4Cが持っていたボディラインの抑揚の強さをさらに強調し、とてもエレガントな雰囲気なのです。

160126_Alfa_03

そこにあるのは、まるで1960年代のイタリアンレーシングスポーツカーと同じような芸術性。文句なしに美しく感じられます。僕は古い人間ですから、スパイダーのスタイリングのそんなところにグッと惹かれてしまいます。ヘッドランプのデザインもクーペとは異なったデザインのバイキセノンに変わり、顔つきが穏やかになっていることもスタイリング上の特徴のひとつ。バイLEDヘッドランプとなるクーペのクールな雰囲気と、好みが分かれるところかもしれませんね。

160126_Alfa_04
外観におけるクーペとの違いのひとつがヘッドライト。4Cスパイダーはクリアレンズで覆われたバイキセノンライトを採用する。

スパイダーはご存じのとおり、4Cのオープントップモデルですが、そのトップを開け放つ作業は、スイッチひとつで開閉が可能な電動ルーフに慣れた人にとっては少し手間に感じられるかもしれません。けれど、軽さが楽しさを生む4Cですから、電動ルーフの複雑で重いシステムを嫌ったシンプルな仕組みこそが正義で、大いに共感できます。

160126_Alfa_06標準装備のシートはレッドステッチ入りのファブリックタイプとなる。試乗車はオプションのブラックレザーシート。このほかブラウンレザーシートも用意される。

ファブリック製のソフトトップは取り外してクルクル巻き、専用のバッグに入れてトランクに収納します。フロントウインドウのフレーム上部の内側にある2箇所のDリングを回して前方のロックを外し、左右両サイドにあるトップ自体の支柱にあるスライド式レバーをそれぞれ外し、片側からクルクルと巻いていって──。トランクに収納するまでに要する時間は、慣れれば3分前後でしょうか。トップを収めてもトランクには多少の荷物を積み込めるスペースが残ります。せいぜい2人の1泊分程度の荷物を柔らかい旅行鞄に入れて積み込める程度ではありますが、あるとないとでは大違い。デュエットで走るのも似合いそうな甘いルックスを持つモデルだけに、誰かを誘って小さな旅行にだって出掛けたくなるじゃないですか。

160126_Alfa_07
リアコンパートメント内には1.75リッター直列4気筒ターボエンジン(最高出力240ps、最大トルク350Nm)が収められ、その後方にラゲッジスペースも用意される。取り外したソフトトップはそこに収納できる。

オープンカーのネガティブさを感じない、鋭い走り

けれど、走りまで甘くなってるわけではありませんでした。4Cらしく、相も変わらず強烈です。ベースとなったクルマに比べてたった10kgしか増えていないのは、オープン化が施されたモデルとしては異例といえますが、その1060kgという車重は、240ps/350Nmの1750エンジンの持つ実力を最大限に活かし、弾けるような加速でドライバーを楽しませてくれるのです。

160126_Alfa_05

クルマに詳しい方が気になっているのは、屋根を切り落としたカタチとなったことで車体の剛性が落ちているんじゃないか? ということでしょう。でも、それに関しては心配御無用。車体に強い負荷をかけるような状況をわざと作り出して走ったりすると、ごく微かに頭の上の方が動く感じがしなくもないのですが、それはおそらくほとんどの人は気づかないであろうレベル。僕も走ってるほとんどの時間、そこにはまったく意識がいきませんでした。むしろそうした意地悪な走り方をしているときでさえ肩の辺りから下の高さはガシッとして微動だにせず、当然ながらクルマの動きもクーペとまったく変わらなかったことの方に感心させられたものでした。4Cのカーボンモノコックとアルミ製サブフレームを結合した基本骨格はもともと剛性面でも文句なしに評価が高かったわけですが、そのモノコックに接着されたうえでボルト留めされた新しいカーボン製のフロントウインドウフレームや、頭の後ろ側のカーボン製ルーフエンドパネルに隠されるようにして新設されたアルミ製ロールバーが、しっかりと効いてるのですね。その辺りも含めて、僕はオープン化に伴い失われたものを、ひとつも見つけることができませんでした。走りの基本的なテイストは、クーペと同等と考えていただいていいと思います。

160126_Alfa_08

だから、ワインディングロードの楽しかったことといったら! すべてが自分の身体の延長上にあるかのようなダイレクト感、操作した瞬間に動きを始めてくれるような鋭敏なレスポンス、狙ったとおりのラインを素早く刺していってくれる素直さ、どうにだって走らせることのできそうな自在感──。コーナーが次また次と迫ってくるような場所は、まさしくこのクルマのためにあるようなもの。速さだって、尋常なレベルではありません。仮に600psとか700psのクルマ達に長い登りのストレートで遅れを取ったとしても、コーナーが続く場所で少しずつ追い詰めていけるほど。2000万円とか3000万円の値段がついた本格スーパーカーに比べ、コストパフォーマンスが驚くほど高いことに気づいたりもします。

160126_Alfa_09

そこはクーペとまったく同じなのですが、4Cスパイダーには、加えてオープンエアモータリングの気持ちよさがあるわけです。日本には本当に美しい四季があって、この季節であっても、しっかり防寒対策をして足元にヒーターを向けさえすれば、冬なりの気持ちよさが味わえます。80km/hぐらいまでなら風が頭のてっぺんを撫でていく程度。100km/hだと風はもう少し強く入ってくる感じはありますが、乱流というほどではなく、むしろ流れていく風の音の方が気になる感じです。つまり高速道路でトップを開け放って走っても大丈夫。一般道の速度域では、空から飛び込んでくるようなエキゾーストサウンドをフィルターなしに楽しむことができて、街を流すようにして走っていてもスポーツカーを操縦している感覚が濃厚です。オープンカーは、そんなふうにスピードの高い低いに関わらず、常に楽しさと気持ちよさに密接でいられるのが素晴らしいところですね。

160126_Alfa_10

トータルパフォーマンスではアルファ ロメオ史上おそらく最も速い実力の持ち主なだけあって、ひとりで操縦することに没頭するのは楽しい。悪目立ちしない美しさに包まれ、大自然を肌に感じながら、ふたりで甘い時間を過ごすのも楽しい。それを1台のクルマで簡単にこなせてしまう4Cスパイダー。

考えてみたらとっても贅沢なクルマですね。

160126_Alfa_11

文 嶋田智之
写真 荒川正幸

人気の記事

プロダクト情報

  • 4C
  • 4C Spider
  • GIULIETTA
  • MITO