Experience 2018.02.08

ロイヤルブルーティーが挑んだ前例なき高級な世界

JAL国際線のファーストクラスで提供される高級茶ロイヤルブルーティー。茶葉と水だけで造る完全無添加のワインボトル入りのお茶とは?

3千円から5千円台を格とし、最上級は1本60万円までそろうラインナップ。『ロイヤルブルーティー(ROYAL BLUE TEA)』が挑戦した新しいお茶文化の普及と、高級の意味に迫る。

「お茶のおだしと言われます」

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透過光の不思議な輝きを放つ壁一面のボトル。それに照らされる一枚板のカウンターにはお茶が3種。緑茶、青茶、紅茶。いずれも際立つ透明感がまぶしい。

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左から『京都宇治碾茶The Uji』、『Queen of Blue』、『Royal Darjeeling Rajah』

「できれば、The Ujiからぜひ。サプライズが起きますよ」
高級緑茶の産地として知られる京都・宇治の碾茶(てんちゃ)を仕込んだこのボトルは1本5,500円。そんな驚愕プライスだけでなく、2016年に開催されたG7伊勢志摩サミットで提されたという事実も含めて、まずは促されるまま緑茶が注がれたワイングラスに手を伸ばした。感覚を研ぎ澄ませて一口含む。そして訪れた、言葉を失う時間。

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お茶の品質管理を高めるため、またワインと等価値になるようビン入りとした『ロイヤルブルーティー』。このボトルはオリジナル。しかもコルクに代わる栓として注目を集めるヴィノ・ロックを採用

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ロイヤルブルーティーのブティックでは有料でテイスティングを実施中。代金はボトルの価格に応じて変動する

「よく、お茶のおだしと言われます」噂には聞いたことがある。丁寧に抽出されたお茶は旨味成分が強いと。確かにこの味わいは、おだしという他にないのかもしれない。あるいは、おだしという表現に共感できる日本人に生まれてよかったと言うべきか……。

クルマで言えば高級車に匹敵する飲料

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茅ヶ崎にあるロイヤルブルーティージャパン本社兼ブティック

2016年3月、製造工場とともに神奈川県藤沢市から茅ケ崎市へと移転したロイヤルブルーティージャパン本社。それに伴いテイスティングもできるブティックを備えた同社初の直営店を開いた。なぜ茅ケ崎かと問えば、有名な茶の産地とはあえて無縁の場所を求めたことと、江戸時代に幕府献上用の宇治茶の交易路だったことからお茶壺道中と呼ばれた国道1号線が社屋の前を走る縁が理由なのだと教わった。

「でも一番知りたいのは、なぜこんなに高いかでしょう?」
創業10年余りで何度も聞かれてきたのだろう。代表取締役会長・佐藤節男(さとう・せつお)さんが先回りするように切り出してくれた。

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ロイヤルブルーティージャパン 代表取締役会長・佐藤節男さん

「それまでのノンアルコールドリンクになかったのが、高級飲食店にふさわしいハイクオリティのお茶です」

佐藤さん曰く、クルマで言えば、歴史と伝統にのっとり丁寧につくり込んだ上で、常に革新を求める高級車のようなノンアルコール飲料だという。
「最近は寿司屋でも高価なシャンパンやワインが用意されるようになったのに、お酒が飲めない人は市販と同程度のウーロン茶かあがりを飲むしかありません。何とも気の毒な話ですよね。しかも食事に合うかと言えば疑問です。そこで私たちは、お酒を嗜まない人を尊重するために、かつてなかったボトル入りの高級茶に着目しました。このアイデアは、高級なお茶を淹れる時間がない大規模パーティでも需要があると思ったのです」

「一流と呼ばれる店に認められるものをつくり上げる」

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会社設立から製品開発に1年を費やし、2007年5月にロイヤルブルーティーの発売が始まった。譲ることができなかったのは、言うまでもなく高級と呼ぶにふさわしい品質だ。使用する茶葉は、質の良い新芽を採取できる手摘み限定。ただし国内産の緑茶は9割9分が機械摘みだったので、当初は手摘み農家を探すのに苦労したという。その一方で台湾などを主産地とする青茶の手摘み率は3割だったことから、ラインナップに青茶=ブルーティーを加え、紅茶と縁が深い英国で高貴な色とされるロイヤルブルーと掛け合わせて社名とした。
さらにこだわったのは、茶の旨味成分を徹底的に引き出すため3日間または7日間かけて行う水出し抽出を用い、無添加で仕上げることだった。文字にすれば簡単だが、製品化に当たっては大きな手間がかかるだけでなく、特に衛生上の理由で当局から疑問視されたという。

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工場の入り口の様子

「私たちが採ったのは、殺菌ではなく完全な除菌です。一切の菌をボトルに入れなければいいわけですが、前例がない製法だったので保健所が疑問視したのです。しかし、大学教授による研究結果の支援をいただき、何とかクリアすることができました」
製造に従事する品質管理担当・佐藤慶一(さとう・けいいち)さんも、工場のクリーン化は『ロイヤルブルーティー』の生命線だと語った。

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ロイヤルブルーティージャパン 品質管理担当・佐藤慶一さん

「わずかでも菌が混入すれば、お茶の味わいが変化してしまうことを僕らはよく知っています。ですから工場に入るときは可能な限りの衛生チェックを実施し、個々の健康管理にも留意します。ただ、ノロウィルスを避けるために生ガキが食べられなくなったのは、ちょっとだけさびしいですね(笑)」

「そもそも」と会長が言葉を重ねた。「何かにつけ前例がないことを認めてもらうのは本当に難しかったですね。創業に際して、行政の起業オーディションを受けたときもそうです。100円程度でペットボトルのお茶が買える時代に1本数千円のお茶が売れるはずはないと、馬鹿にされないまでも信じられないという目で見られました」

そんな世間の風当たりに負けなかったのはなぜだろう。
「一流になるという志と夢。10年後には一流と呼ばれる店に認められるものを必ずつくり上げるという、私たちのビジョンを信じたからです」

10年後には世界中の高級レストランで……

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2017年に発行された『ロイヤルブルーティー』誕生満10周年記念ブックレットには、2011年から国際線全便のファーストクラスに導入したJALの担当者など、『ロイヤルブルーティー』を重宝している人々のコメントが刻み込まれている。2012年12月には、年間4キロしか採れない超希少茶葉を使った1本60万円の伝統本玉露を発売し話題になった。

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伝統本玉露『King of Green HOSHINO super premium』1本600,000円

そして2017年11月、東京・六本木に2号店の『ロイヤルブルーティー六本木ブティック・THE T BAR』がオープンした。『ロイヤルブルーティー』が世間に注目されたのは、日本人になじみ深い緑茶ではあり得ないほどの高価格に他ならない。そこに興味を持った人々が口にし、価格にふさわしい、または価格以上の価値を文字通りの口伝えとして拡散させていった。現在、茅ヶ崎と六本木のブティックに訪れる客の大半は、贈り主がサプライズを提供するギフトとして購入するという。

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直営店2号店となる『ロイヤルブルーティー六本木ブティック・THE T BAR』

果たして高級とは何だろう。高価か? 希少か? いや、そのいずれも結果に過ぎないだろう。重要なのは、未知の領域に踏み入れた勇気であり、高級と呼ぶべきは自ら抱いた信念を貫く魂の尊さではないだろうか。そんなものづくりの気概は、伝統と革新を形にしたアルファロメオを愛する人々なら共感を覚えてもらえると信じたい。

「世界中の高級レストランでロイヤルブルーティーが飲めること」
これは、時間をかけて旨味を引き出す水出し抽出に等しい、佐藤会長が抱く今後10年の夢だ。

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INFORMATION
ROYAL BLUE TEA JAPAN

住所 神奈川県茅ヶ崎市本宿町2-8
TEL 0467-50-0806
URL http://www.royalbluetea.com/

Text:田村十七男
Photos:大石隼土

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