Experience 2017.12.28

北鎌倉へ冬ドライブ。紅葉やあじさい寺として名高い『明月院』の歴史とその魅力とは?

年末年始は冬の北鎌倉にドライブ。紅葉や紫陽花で有名な『明月院(めいげついん)』から、円窓や “月のうさぎ”の物語など四季折々の景色が楽しめる寺院の見どころを紹介します。

何かと忙しい年末年始は、ドライブもかねて落ち着いた場所に向かい、心と体をリフレッシュするのもいい。そこでオススメしたいのが、都内から約一時間で向かえるアクセスのよさもあって日帰りでのドライブに最適な北鎌倉周辺だ。鎌倉の中心地からやや離れたこのエリアは、小径と寺院が並ぶ古都らしいゆったりとした時間で訪れる人々を迎えてくれる。

都心からクルマを走らせていると、徐々に風景が鎌倉独特の奥ゆかしいものへと変わっていく。そうして見えてくるのが今回の目的地、北鎌倉屈指のスポットのひとつ、『明月院(めいげついん)』だ。

20171208_qetic-MA-0082 北鎌倉へ冬ドライブ。紅葉やあじさい寺として名高い『明月院』の歴史とその魅力とは?

『明月院』の歴史は永暦元年(1160)に首藤刑部太夫・山ノ内経俊が、平治の乱で戦死した父の菩提供養のため、前身にあたる明月庵を創建したのがはじまり。その後、康元元年(1256)に鎌倉幕府の五代執権・北条時頼がこの地に最明寺を建立して出家生活を送り、その子・北条時宗が最明寺を前身に禅興寺を創建すると、明月庵はその第1の塔頭(子院)に。康暦二年(1380)、関東官領・上杉憲方が寺院を拡大する中で“明月院”と改められ、明治初年の禅興寺の廃寺を機にここだけが残された。寺内の豊かな自然は今も多くの人々に愛されている。

仏教の世界観を表現した円窓「悟りの窓」から見える絶景と秋~冬の『明月院』

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山門をくぐると、『明月院』の本堂で聖観音菩薩坐像を祀った「方丈」が姿を見せる。一面二臂(いちめんにひ:顔がひとつ、腕がふたつ)の聖観音菩薩は人々に合わせ何通りにも姿を変えて個別に救済する観音菩薩の基本形と言えるもので、そのご利益は多岐にわたっている。この日もゆったりと流れる時間の中で、参拝客が思い思いに拝観する様子が印象的だった。

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また、方丈は禅寺の建築様式が生かされた窓も有名で、中でも悟りや真理、大宇宙などを円形で象徴的に表現した大きな円窓「悟りの窓」からのぞく景色は素晴らしい。これは寺院建築様式のひとつ“禅宗様”が採用されたもので、大きな窓の向こうには『明月院』の後楽園の豊かな自然が広がっている。取材に訪れた時期はまさに紅葉の最盛期。この後楽園は紅葉~ハナショウブの時期のみ参拝者にも特別に公開される(別途入場料が必要)。

20171208_qetic-MA-0080 北鎌倉へ冬ドライブ。紅葉やあじさい寺として名高い『明月院』の歴史とその魅力とは?

方丈の向かいにあるのは石と砂で山水を表現した枯山水庭園。『明月院』の枯山水庭園では仏教世界で万物の中心にあると考えられている山=須弥山(しゅみせん)が表現されている。
院内には他にも北条時頼の墓所と廟所がある他、上杉憲方が『明月院』を開創した際の開山の密室守厳像も祀られている。

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『明月院』をめぐる“月のうさぎ”の物語

また、『明月院』を訪れる際に外せないのは、月とうさぎをめぐる物語だ。上杉憲方の法名“明月院天樹道合”から取られた『明月院』を歩いていると、さまざまな場所でうさぎのモチーフが顔を出す。

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20171208_qetic-MA-0100 北鎌倉へ冬ドライブ。紅葉やあじさい寺として名高い『明月院』の歴史とその魅力とは?

これはお釈迦様の前世を綴った仏教説話がもとになっている。これは山の中で力尽きて倒れている老人を見つけた猿、狐、兎の3匹が老人を助けるために奮闘する内容で、どんなに苦労しても何も採ってくることができなかったうさぎは、結局自らの身を食料として捧げるために、火の中に飛び込んでいく――。そうしてうさぎが助けた老人は、実は帝釈天であり、帝釈天はその慈悲行為を後世に伝えるためうさぎを月に昇らせた。この話は仏教の伝来とともに各地に伝わり、日本では『今昔物語』の中の“月のうさぎ”として知られている。『明月院』に佇む、つまり“明月=満月”に佇むうさぎには、かつて自己犠牲の精神から天へと上ったうさぎの姿が重ねられているのだろう。院内には開運のご利益があるうさぎの御守があり、実際に院内で飼育している本物のうさぎとも触れ合うことができる。

拝観後は院内の茶室「月笑軒」でくつろぎのひとときを

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院内を回ったあとは、『明月院』の茶室「月笑軒」で腰を落ち着けてお茶を楽しむのがオススメ。晴れた日には和傘をあしらった屋外の茶席がもうけられるため、院内の風景を眺めつつ抹茶や和菓子が楽しめる。食後に提供されるほうじ茶もこの景色の中でいただくと格別だ。月ごとにメニューが変わるため、季節の移ろいが感じられるのも嬉しい。また、入り口付近では竹に流れ込む水が奏でる音で安らぐことができる。

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冬の『明月院』は蝋梅をはじめとする梅だけでなく、椿やクリスマスローズ(花期は2~3月)も見頃を迎える。年末年始の喧騒を離れて悠久の時を感じながら、北条時頼や上杉憲方が愛したこの地の歴史と、月のうさぎの伝説に思いを馳せてみるのもいいかもしれない。

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INFORMATION
明月院(めいげついん)

住所 神奈川県鎌倉市山ノ内189
TEL 0467-24-3437

Text:Jin Sugiyama
Photos:大石隼土

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