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2017.05.25

「サクソフォンの可能性は宇宙のように無限」──サックス奏者・上野耕平

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実力者が集結する国内外のコンクールで常に高い評価を受け、日本フィルハーモニー交響楽団の定期公演に大抜擢されるなど、熱い注目を集める若きサックス奏者・上野耕平。8歳でサクソフォンに出会い、魅了され続けているという彼の知性[IQ]と感性[EQ]に迫る。


世界最高峰のコンクールをはじめ、数々の受賞歴を誇る期待の新星

「上野耕平」の名が海外メディアを通じて日本でも大きく話題になったのは、2014年。サクソフォンの生みの親として知られるアドルフ・サックスの名を冠したサクソフォンコンクールの最高峰「アドルフ・サックス国際コンクール」で第2位となった時だ。それより前、2011年には日本管打楽器コンクールのサクソフォン部門にて史上最年少で優勝し、全部門を通した最優秀者に贈られる特別大賞も受けている。

上野耕平氏の経歴を語るには、まずこうした華々しい受賞歴を挙げないわけにはいかない。しかし、それはあくまでも彼が残したひとつの功績に過ぎず、その魅力の本質は、やはり演奏を耳にしなくては知り得ない。CDや動画、理想をいえば演奏会にてサクソフォンの生音に浸っていただきたいところだが、今回はその前段階として、演奏を支えるIQとEQについてインタビューを行った。

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上野耕平。1992年生まれ、茨城県出身。東京藝術大学器楽科卒業。2014年リリースのファーストアルバム『アドルフに告ぐ』はアドルフ・サックスの名にちなんだタイトル。2015年にはコンサートマスターを務める「ぱんだウインドオーケストラ」のCDもリリースし、好評を博している。

8歳で出会ったサクソフォン、今なお魅了され続ける魅力とは?

上野氏とサクソフォンの出会いは8歳のとき。小学校の吹奏楽部が「聖者の行進」を演奏する様子を見て感動し、即入部した。第一希望はトランペット、第二希望がサックスだったが、当時の顧問にアルトサックスを割り当てられたのが始まり。その後、6年生のときにはプロのサックス奏者を志していた、と振り返る。

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管楽器を初めて間近で目にした8歳の少年がサックスに惹かれた理由は「単純に、見た目が面白かったから」だという。「吹奏楽部で3〜4年吹くうちにサックスの魅力と面白さにどんどんハマって、プロになりたいと思うように。宇宙のように果てのない、無限の可能性を秘めた楽器だと思います」

この楽器が発明されたのは1840年代。木管楽器の中では比較的歴史は浅いが、繊細でこまやかな表現と深遠なダイナミックレンジを兼ね備え、自由でモダンな楽器の代表格である。

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驚くべきことに楽器の形状やキーのシステムは発明当時とほとんど変わっていない。吹込管、一番管、二番管、丸く開いた朝顔管という4つの部分から成り、その管体に25のトーンホール。音の高さは本体のキーを操作することで変えていく。

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パーツの数だけで何百個もあり、発明者であるアドルフ・サックスのIQとEQが凝縮した楽器といえる。上野が自らのデビューを飾るアルバムに『アドルフに告ぐ』と名付けたのも、完璧な設計でこの楽器を生み出したアドルフ・サックスに敬意を表したものだ。

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サックス奏者は、自身が演奏しやすいよう随所に「汗どめ」を彫る。職人に任せる人も多いが、細かい作業が好きな彼は自ら彫刻刀で彫ることも多いとか。「KOHEI UENO」の文字も彼自身の手によるもの。

その偉大なる発明を起点としつつ、「この楽器はまだまだ進化している」と言う。「楽器がもっと響くように、奏者が意のままに操れるように。クルマと同じく、進化は止まりません。僕自身、サクソフォンは世界最高の楽器だと思って演奏しています。喜怒哀楽すべてをこの一本で表現できる。まさに人間の感情そのもののような楽器です」

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今回撮影した愛器はYAMAHA YAS-875EXG。製作者の長年にわたる研究と、世界の第一線で活躍するトッププレイヤーの意見を重ね合わせ、数え切れない試作の末に誕生した新時代のフラッグシップモデルだ。

「僕が使うサックスには金メッキが施してあるので、楽器自体がしっかりと鳴ってくるまでにだいたい2〜3年はかかる気がします。だからこそ、吹く人の個性に不思議と楽器が馴染んでくるんです。馴染めば馴染むほど、どんどん愛着が湧きますね」

長年かけて、無意識のうちに蓄積されたテクニックと感性を両輪に

製造者のIQとEQの結晶である楽器を、奏者もまた自らのテクニックや感性を最大限に活かして演奏する。

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「IQがテクニックや頭の回転の速さ、キレの良さだとすれば、EQは感性の豊かさや柔軟さ、表現の幅だと思っています。どちらも演奏には欠かせませんが、強いて言うなら、僕自身は感性を大切にしています。他にはない表現や表情にこだわりたいので」

テクニックの面で自らの強みを尋ねると、「息の速さでしょうか」と挙げてくれた。つまり、肺からの吸気が器官を通って口から楽器へと伝わるスピードのことだ。サクソフォンはクラリネットと同様、マウスピースにリードを取り付けて呼気を送り込み、このリードを振動させて音を出す楽器なので、吹き出す息の速さによってリードの振動幅も大きくなったり小さくなったりする。息の速さを自在に操れることが、楽器をコントロールする上で欠かせないテクニックのひとつなのだ。

「意識して鍛えたわけではなく、日々吹いていく中で無意識に息のスピードが人より速くなったのだと思います。息のスピードが速いとより説得力のある音を出せます」

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一方、EQの面で意識している点は「いろいろな音楽を聴くこと」だという。

「素晴らしい音楽を耳にして得られる感性は、いくら練習しても身につきません。さまざまなジャンルの音楽を聴き、身体に染みこませていく・・・そうすると、自分が演奏する際にそれらが滲み出してきて、音楽の深さに影響すると思います。音だけでなく、空や空気、景色も無意識的によく観察しています。何気ない日常の風景や街行く人の表情、そして大好きなクルマなども。そういう情景も気持ちの中に染みついて、演奏に影響していくのかもしれません。小さい頃からじっくり観察するタイプでしたね」

アルファ ロメオの魅力は「乾いた中に潤いを感じさせる上品な音」

免許を取得する時間がなかなか取れないそうだが、大のクルマ好きでもある。モータースポーツも好きで、F1を観戦するのが楽しみのひとつ。「ウイングの形状やパーツひとつひとつを見て、なぜこのような形にしているのか物理的な背景や理由に思いを馳せます。エンジン音にも惹かれます」

アルファ ロメオも大好きなブランドだという。「高貴なデザインでありながら可愛さもある。それがたまらなく好きです。アルファ ロメオにしかない特長ですよね。そして、音がまた格別。乾いた音の中にひそむ潤いが魅力的で、とても説得力のある上品な音だと感じます。デザイン性と音の魅力が両立しているので、見ていて心を揺さぶられます」

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(左)『8C コンペティツィオーネ』(右) 『ジュリア スプリント スペチアーレ』

中でも好きなのは『8C コンペティツィオーネ』と『ジュリア スプリント スペチアーレ』。「プロポーションと音色の素晴らしさに圧倒されます。街で見かけると思わず持ち主に話しかけたことがあるくらい」と語ってくれた。音楽で鍛えた感覚の持ち主らしい、音から捉えたアルファ ロメオ評。アルフィスタに通ずる感性の持ち主である上野氏の演奏は、逆にいえばアルフィスタの感性を存分に揺さぶってくれることだろう。

アルファ ロメオの車内で聴いてほしい、おすすめの一曲

そんな彼に、アルファ ロメオでドライブするのにおすすめの曲を選んでもらった。2016年に発売されたご自身のセカンドアルバム『LISTEN TO…』より、「カルメン・ファンタジー」。


上野耕平セカンドアルバム『LISTEN TO…』より、「カルメン・ファンタジー for サクソフォン」。

「サクソフォンの可能性は無限大。クラシックの分野ではもちろんですが、それ以外のジャンルからもさまざまな要素を持ち込んで、もっと表現の幅を広げ、もっと楽しんでいただきたいと思っています。そして、自分自身も無心で楽しめる、そんな音楽家でありたいです。たとえば音楽に詳しくない方が予備知識なしに来ていただいても、なんだか楽しかった、また聴きに行きたいと思えるような。頭ではなく、本能で、身体で楽しんでいただけるように、どんどん追究していきたいと思っています」

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確固たるIQを体幹に持ちながら自由なEQでますます羽ばたいていく彼の活躍を、ぜひ生で味わっていただきたい。

上野耕平オフィシャルサイト

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撮影 SHIge KIDOUE
取材・文 山根かおり
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