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2017.07.24

世界でたった一つしかない、オーダーメイドの香りを作る。パリを拠点に活動する調香師・新間美也氏

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パリにアトリエを構える調香師の新間美也(しんま みや)氏。彼女によってクリエイトされるのは、和のニュアンスを添えた、儚く美しい香りだ。パリジェンヌをはじめ、世界中の女性たちを魅惑する香りを手がける、新間氏の知性[IQ]と感性[EQ]にアプローチする。

 

パリの名門デパートでデビュー。一躍注目の的に

嗅覚を通して、心の内側にセンシティブに語りかけてくる香り。新間美也氏はフランス・パリを拠点に、調香師として約20年間活動している。

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長い歴史と豊かな文化をもつパリで、調香師としての実績を重ねてきた新間氏。

「この職に就く25歳までは、香水もほとんど付けていませんでした」。新間氏が調香師としてデビューしたのは、パリの有名デパート「ボン・マルシェ」で行われた、オーダーメイドの香りをプロデュースするイベントだった。

当時オーダーメイドの香水はほとんどつくられていなかった上に、それを日本人の調香師が成し遂げたことから注目を集め、会場は連日パリジェンヌで溢れた。突然舞い込んだチャンスで、見事成功をおさめた新間氏は、このイベントを機にパリにアトリエを構え、調香師としての道を歩み始める。

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日本人ならではの感性を生かした、デリケートでセンシティブな香りで定評のある新間氏。初めて調香作業を見たとき、その神秘的な手さばきから、魔法使いや科学者のように見えたという。

「もともと海外で働くことは考えていなかったのですが、ご縁に恵まれました」と話す新間氏。一時期は香りづくりだけでなく、香りに関連するセミナーの講師や著書の執筆にも精をあげ、ひと月半おきにパリと日本を往復する日々が続いた。現在はふたたび活動の原点に立ち戻り、パリに腰を据えて香りづくりに専念している。

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「いろんな方を迎えコミュニケーションを経て、香りを生み出す。香りで表現することの面白さを、今あらためて実感しています」

「香りの本場」でのある出会いから、調香師の道へ

香りとは無縁の仕事に就いていた25歳の頃、偶然目にしたフランス人調香師のインタビュー記事に心を奪われたそうだ。
そこに綴られていたのは『香水を作るプロセスは、オーケストラのシンフォニーの作曲とよく似ている』という一文だった。

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アトリエ内には調香道具が整然と配置されている。

「以前ピアノなどで作曲をしていたので『それなら私にもできるかもしれない』と思いました」。自身の直感を信じ、新間氏はさっそく海外へ飛び立った。行き先は香水の発祥地ともいわれるイタリア・フィレンツェだ。そこで一人の調香師と出会い、オーダーメイドの香水を作ってもらったという。

「1時間ほどアトリエの屋根裏部屋で話をしたあと、その調香師の方は地下室から香料を取ってきて、目の前で私の香りを完成させたのです。その刺激的な体験に感激し、私自身もやってみたいと思いました」。

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「香りは嗅覚を通して初めて感じられるもの。香りの本場でリアリティにふれる体験が、すごく大切なのです」

フィレンツェで出会った調香師に紹介された、パリ在住の先生のもとで香り作りを一から学び、その2年後には、早くも自身のブランドを創業することとなる。

香りのアイディアとなるのは、日常のささやかなもの

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色とりどりの新鮮な青果が並ぶ街角のマルシェ。

実体をもたない香りを生み出す——それは雲をつかむような作業なのではないだろうか。ところが新間氏の場合は、日常生活における何気ないシーンの中から、香りのインスピレーションを得ることがほとんどなのだとか。
「言葉やフレーズ、食べ物、風景。そんな当たり前のようにあるものに心を突き動かされるときに、アイディアが浮かぶことが多いです」。

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「心に余裕がなくなると、美しいものまでも、見落としてしまう。だからこそきれいなものに反応する気持ちは、いつも持っていたいなと思っています」

たとえば小さな子どもが発する、邪気のない素直な言葉。それらには自身が無意識に抱いていた感情に気付くきっかけになるという。またフレンチ特有の食材の組み合わせから、発想がひらめくことも少なくないのだとか。
そして、近所の公園やセーヌ河畔などの散歩中、時間とともに移り変わる美しい風景から、インスピレーションが湧くことも多いそうだ。

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「アルファ ロメオを見た印象は『美しい』のひと言につきます」と『ジュリア』の第一印象について語る

「感性 [EQ]を働かせなければ、香りはきっと生み出せません」

香りを感知するのは、言うまでもなく嗅覚である。しかし香りを生み出すうえでは五感をフルに駆使する。オーダーメイドの香り作りを専門とする新間氏が、調香前のカウンセリングを重視するのもこのためだ。

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香料を調合したら香水瓶に注いでいく。

カウンセリングでお客様からヒアリングするのは、主に3つのことだという。外見などの生まれながらに持っているもの、生まれ育った環境からその人が影響を受けたもの、そして、理想とする香りのイメージである。
ここから新間氏は独自の方法を取る。対話から感じ取ったことを、すべて“詩”に書き起こすのだ。

「お客様と対面して抱いた印象を、適切な言葉を一つひとつ選びながら、詩を書き起こす。調香において、全工程でもっとも感性[EQ]を働かせます」。翻訳とも言えるこの作業こそが、新間氏の香りづくりには不可欠なのだという。

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詩を書いてイメージを具体化してから、知性[IQ]を働かせて香料や配合などを明確にし、香りへと昇華する。

「感性[EQ] と知性[IQ]、どちらも調香には欠かせません。しかし私の場合、クリエイティビティの原動力となるのは、やはり感性[EQ]だと思っています」。

新間氏には大切にしている日課があるという。「コーヒーを飲む時間です。一日の始まりに口にする一杯、食後に主人や友人と楽しむ一杯。コーヒーがもたらすアロマやコミュニケーションが、調香師としての活動にも欠かせません」。

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「主人がもともとコーヒー好きで、いつしか私も毎日楽しむようになりました」

記憶にリンクする香りはその人の一部となる。だからこそ調香には一切の妥協も許されない。新間氏は今日もパリのアトリエで、感覚を研ぎ澄ませ、一つひとつの作業に取り組んでいる。

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取材・文/門上奈央
撮影 山下郁夫

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