News 2018.04.13

歴史的名車が一堂に会した、コンコルソ・デレガンツァ京都2018の様子をレポート!

桜が満開の京都・二条城で開催されたコンコルソ・デレガンツァ京都2018の様子をお届け。世界各国の名車がその美しさを競ったほか、特別展では1900 C52ディスコ・ヴォランテ、8Cディスコ・ヴォランテが夢の競演を果たしました。

春の京都二条城に世界各国からクラシックカーが集結

自動車文化の世界において、日本にないものをつくる。そして、日本らしい舞台から、世界へ──。3月30日から4月2日までの4日間、京都の元離宮二条城において『コンコルソ・デレガンツァ京都2018』が開催されました。京都市とコンコルソ・デレガンツァ京都2018実行委員会の主催による自動車のエレガンス=“美”を愛でる夢の競演。2016年に続いて2回目となった今年は、京の街が華やかに色づく季節に合わせての開催です。

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世界に名だたる古都の代表的な文化遺産であり、徳川家康が上洛時に滞在するため築城して以来の400年を超える歴史を持つ二条城は、もちろん京都を訪ねる人達にとっては外すことのできない観光地でもあります。が、こうした文化遺産には、当然ながら普段は一般公開されていないエリアというのが存在します。珠玉という言葉が相応しいクルマ達が展示されたのは、そうしたエリア。国宝である二の丸御殿の中庭に、こうしたときにしか見ることのできないアングルでの歴史的かつ芸術的な建造物を背景にして、歴史的かつ芸術的なクルマ達が美しく並べられていたのです。歴史と歴史、芸術と芸術の、まさしく垣根を越えたコラボレーション。眼福の極みです。それだけでも観る価値は充分にあったといえるでしょう。

20180330_qetic-alfa-0247 歴史的名車が一堂に会した、コンコルソ・デレガンツァ京都2018の様子をレポート!

そしてコンコルソ・デレガンツァ、つまりコンクール・デレガンスというクルマの造形や佇まい、コンディションなどを競う催しですから、名車達は厳正な審査を受け、様々なアワードが贈られます。その審査を行うのは、イタリア・オートモビル・クラブの会長、自動車メーカーのクラシックカー部門の責任者、著名な自動車デザイナー、自動車ヒストリアン、クラシックカー専門ジャーナリスト、ヴィラデステとペブルビーチの両コンクール・デレガンスの重鎮といったメンバーで構成される審査員達。さらには一般の来場者も、投票というかたちで審査に参加します。

エントリーしていたアルファ ロメオの名車の数々

二条城に展示されて審査を受けたのは、ヨーロッパ各国とアメリカ、ペルー、そして日本からエントリーした26台のクルマ。そのうちの6台がアルファ ロメオでした。それぞれのモデルを簡単にご紹介いたしましょう。

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20180330_qetic-alfa-0015 歴史的名車が一堂に会した、コンコルソ・デレガンツァ京都2018の様子をレポート!アルファ ロメオ6C2500SSヴィラデステ(1951年)
1925年に発表された6C(=6気筒)シリーズは進化を続けながら第2次世界大戦後まで作られ続けましたが、その最終進化形といえるのが独立懸架のサスペンションと2443ccのエンジンを持つ6C2500でした。SS(=スーペル・スポルト)はレース仕様を除く最もスポーティなグレードで、110psを発揮する3キャブレター仕様のエンジンをショート・ホイールベースの機敏なシャシーに搭載していました。戦前は自動車メーカーがシャシーとエンジンを作り、ボディはカロッツェリアが仕立てるというのが当たり前でしたが、それに則ってカロッツェリア・トゥーリングが1949年に発表したのがこのクルマ。同年のヴィラデステでのコンクール・デレガンスで大賞に輝いたことにちなんで、以来、トゥーリング製のこの6C2500SSは“ヴィラデステ”のニックネームで呼ばれるようになりました。5台のカブリオレを含む36台が生産されています。今回の最優秀賞である『ベスト・オブ・ショー』に選ばれたのは、このクルマです。

20180330_qetic-alfa-0038 歴史的名車が一堂に会した、コンコルソ・デレガンツァ京都2018の様子をレポート!アルファ ロメオ6C2500SSスポルト・ベルリネッタ(1939年)
上のヴィラデステと同じ6C2500SSのシャシーとエンジンを持ちますが、こちらはその最初期といえる時代に生み出されたモデルです。ボディワークは様々なカロッツェリアに委ねられ、それぞれが独自のデザインの6C2500を作りましたが、最も多く手掛けたのはトゥーリングだといわれており、それこそセダンからレーシング・スパイダーまで様々なモデルが世に送り出されています。スポルト・ベルリネッタは、その名のとおり短くも優美なルーフ・ラインを描くスポーツ・クーペ。同時代の傑作と評されるモデルです。1951年以前に作られたトゥーリング製ボディを持つモデルで最も優れたクルマを意味する『トゥーリング・アーリー・イタリアン』賞を受賞しました。

20180330_qetic-alfa-0223 歴史的名車が一堂に会した、コンコルソ・デレガンツァ京都2018の様子をレポート!アルファ ロメオ1900CSS(1955年)
第2次世界大戦後のアルファ ロメオは少量生産のスポーツカー・メーカーから量産車メーカーへの転身を目指し、その最初のモデルである1900シリーズを1950年に発表しました。当初は直列4気筒DOHCエンジンを積んだスポーツ・セダンのみでしたが、翌年にはホイールベースを切り詰めたスポーティな“C”シャシーが追加となり、それは様々なカロッツェリアがスペシャル・ボディを載せるための素材としても利用されることになりました。最も有名なのが、このトゥーリング製のクーペといえるでしょう。まろやかで繊細なラインを描くルーフ・ラインが実に美しいです。1952年から1961年に作られたトゥーリング製ボディを持つモデルで最も優れたクルマを意味する『トゥーリング・クラシック・イタリアン1952〜1961』賞を受賞しました。

20180330_qetic-alfa-0028 歴史的名車が一堂に会した、コンコルソ・デレガンツァ京都2018の様子をレポート!アルファ ロメオ1900Cスーペル・スプリント・クーペ(1957年)
同じく1900Cをベースにしたトゥーリング製のクーペですが、こちらは“後期型”とも“セリエ56”とも呼ばれるモデル。オープン・ボディにハードトップを乗せたようなルーフ・ラインが特徴です。

20180330_qetic-alfa-0044 歴史的名車が一堂に会した、コンコルソ・デレガンツァ京都2018の様子をレポート!アルファ ロメオ2600スパイダー(1964年)
アルファ ロメオにとっての戦後初めてとなるハイレンジ・モデル、2600シリーズ。トゥーリング製のスパイダー・ボディには同じく戦後初めての新開発となる直列6気筒エンジンが搭載されていました。

20180330_qetic-alfa-0056 歴史的名車が一堂に会した、コンコルソ・デレガンツァ京都2018の様子をレポート!アルファ ロメオ・モントリオール(1972年)
1967年のカナダ万博に展示された、 カロッツェリア・ベルトーネによるデザイン・スタディ的なコンセプトカーの市販版。デザインは後に数多のスーパーカーを生み出すマルチェロ・ガンディーニで、レーシングカー由来の2.6リッターV8エンジンが搭載されたスーパーGTクーペです。

こうしたコンクール・デレガンスにアルファロメオのエントリーが数多く見られるのは、第2次世界大戦後の復興に際してより多くの人にクルマを提供できるよう一般向けのクルマの生産を開始するまで、アルファロメオが一貫して少量生産の超高級車やレーシングカーなどを専門としていたスーパー・プレミアム・ブランドだったから。その当時に生まれた芸術作品のようなクルマ達が、まるで名画がそうであるように、今も大切に維持されているケースが多いのです。ジュリアのデビューからスタートした現在のアルファロメオのゆるやかな路線変更は、そういう意味では原点回帰に近いものということができるでしょう。

1900 C52ディスコ・ヴォランテ、8Cディスコ・ヴォランテ

今回のもうひとつの白眉は、特別展『カロッツェリア・トゥーリング・スーパーレッジェーラ』でした。1926年にミラノで誕生したカロッツェリア・トゥーリングは、素晴らしく優美なデザインとともに、細い鋼管で車体の形状を作って薄い軽金属板で骨組みの剛性を高める、軽量&高剛性なスーパーレッジェーラ(Superleggera=超軽量の意味)製法でボディを作ることで知られた車体専門メーカーでした。スーパーレッジェーラは形状の自由度が高い製法で、様々なデザインのボディを作り上げるのに適していましたが、時代の移り変わりとともに自動車メーカーが自社でボディを製作するようになると、単なる下請けになることをよしとせずに1966年に活動を停止。そして2006年、ブランドの使用権を譲り受けた新たな経営陣によって『カロッツェリア・トゥーリング・スーパーレッジェーラ』として活動をスタートし、特別な少量生産車の製作を行っています。

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この特別展はそのトゥーリングにフォーカスしたもの。そのためコンクールのエントリー車両も、26台のうち16台がトゥーリング製のボディを持つモデルとなりました。さらにはイタリア本国のアルファ ロメオ歴史博物館が保有する、かつてのトゥーリングが1900シリーズをベースとしてエアロダイナミクスの効率を徹底的に突き詰めたデザインのボディを架装した歴史遺産的モデル、1952年発表の1900 C52ディスコ・ヴォランテ、そして新生トゥーリングがそのオマージュとして8Cコンペティツィオーネをベースにデザインし、2012年に発表した8Cディスコ・ヴォランテが同じスペースに並ぶという、世界的にも稀な展示も行われました。

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20180330_qetic-alfa-0137 歴史的名車が一堂に会した、コンコルソ・デレガンツァ京都2018の様子をレポート!1900 C52ディスコ・ヴォランテの特徴的なスタイリングは徹底的に空力性能を追求したテクニカルな挑戦で、当時としては優秀な220km/hの最高速をマークしました。そして空力追求の結果として生まれた姿の美しさは、観る者の心を今も快く刺激します。

20180330_qetic-alfa-0059-1 歴史的名車が一堂に会した、コンコルソ・デレガンツァ京都2018の様子をレポート!ディスコ・ヴォランテの存在が示すように、アルファ ロメオは昔から、知性(IQ)と感性(EQ)の双方を内包したクルマ作りを行っていました。その末裔ということで、場内には最新の『ジュリア・クアドリフォリオ(Gulia Quadrifoglio)』も展示されていました。

8Cディスコ・ヴォランテのクーペ・ボディは僅か8台のみの生産で、そのうちの3台が一同に会したばかりか、さらにその中の1台は最後に生産された『ラスト・オブ・ライン C52ヴィンテージ・エディション』と呼ばれる、特別なディテールを持った個体。そのクルマのオーナーは、このコンコルソ・デレガンツァ京都の総合プロデューサーでもある木村英智さんでした。木村さんは別の記事でこのイベントにまつわるお気持ちを語ってくださっていますが、今回はこのクルマについてお話をうかがってみました。

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「僕はカロッツェリア作のクルマの中でも、特にトゥーリングが持つエレガンスが好きなんです。このクルマはオリジナルといえる1900 C52ディスコ・ヴォランテに捧げるというコンセプトで、今の赤とは異なる当時と全く同じ色でペイントしたり、フロントの盾の中にある十字もオリジナルに倣ったり、アルファ ロメオのエンブレムも1952年当時のもので全て揃えたり、カーボンをツヤ消しにしたり、サイドウインドーの後ろ側をオリジナルにあるエア・アウトレットを模した仕立てにしたり……と、細かい部分まで含めてトゥーリングと相談しながら作ってもらいました。こうしてオリジナルと見較べてみると、僕の8Cディスコ・ヴォランテもよくできてるな、って思います(笑)」

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「実は僕、ディスコ・ヴォランテが大好きなんですよ。初めて観たときの衝撃は今も忘れられないです。1900 C52ディスコ・ヴォランテは今では文化遺産になってしまって、そう簡単に歴史博物館から外に出してもらえるようなものではないんですけど、今回特別にお借りすることができて、こして新旧を並べることができて、もう本当に感無量です」

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20180330_qetic-alfa-0146 歴史的名車が一堂に会した、コンコルソ・デレガンツァ京都2018の様子をレポート!8Cディスコ・ヴォランテは1900 C52ディスコ・ヴォランテの特徴的な流線型のフォルムを受け継いでいる。

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建仁寺でのパーティーで幕を閉じた初日……ツーリングの様子は後日公開!

開催初日である30日の夕刻には、1202年からの歴史を持つ京都最古の禅寺、建仁寺において、京都市長主催によるパーティが行われました。こちらには門川大作市長もお見えになり、和装に身を包んだ海外からの参加者や日本の各地からの参加者を前に「クラシックカーと京都の街、歴史的な建造物の調和は美しい。そしてこの美しい季節を迎えた京都で、コンコルソ・デレガンツァが開催できることを喜びに感じている。どうかこの季節の京都を満喫していただきたい」と御挨拶。またFCAジャパン株式会社のポンタス・ヘグストロム代表取締役社長兼CEOも参加し、総合プロデューサーの木村さんや海外からの参加者と談笑を重ねていました。

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20180330_qetic-alfa-0345 歴史的名車が一堂に会した、コンコルソ・デレガンツァ京都2018の様子をレポート!門川大作京都市長。

20180330_qetic-alfa-0470 歴史的名車が一堂に会した、コンコルソ・デレガンツァ京都2018の様子をレポート!左から、FCAジャパンCEO ポンタス・ヘグストロム氏、総合プロデューサー木村英智氏。

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コンコルソ・デレガンツァ京都は最終日である4月2日にアワード表彰式とフェアウェル・パーティで幕を閉じ、翌日からコンクールの展示車は京都から東京まで6日間をかけて走破するツーリングも行われました。それらの模様は動画となって近日中に公開されます。ぜひお楽しみに!

Text:嶋田 智之
Photos:大石 隼土

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