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  • クルマと美食と絶景温泉。オーベルジュの上をいく「ザ・ひらまつ ホテルズ&リゾーツ 熱海」
2017.06.15

クルマと美食と絶景温泉。オーベルジュの上をいく「ザ・ひらまつ ホテルズ&リゾーツ 熱海」

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「宿」が果たす役割はさまざま。仕事やレジャーを終えた後の寝場所となる宿もあれば、そこで過ごすこと自体が目的となる宿も。今回アルファ ロメオ『4C Spider』で向かったのは「ザ・ひらまつ ホテルズ&リゾーツ 熱海」。数寄屋造りの空間で最高の料理とサービスが堪能できる、まさしく極上の“目的地”だ。

『4C Spider』とともに向かうのは、オーベルジュ以上の存在感を放つホテル

アルファ ロメオ『4C Spider』で都心を出発し、熱海へと向かう。所要時間は約1時間半〜2時間。熱海市街地を抜け、山道をさらに15分ほど行けば、目的地は目の前だ。

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アルファ ロメオ『4C Spider 』。ミッドシップならではの重量バランスの良さは、アクセルを踏み込む高速道路でも、ルーフトップを開けて海岸線をのんびり行くにも、緑濃いワインディングロードにも、実に心地よく、目的地までの道程自体を楽しませてくれる。

今回の宿は、全国にレストランを展開する「ひらまつ」が手がけた「THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS(ザ・ひらまつ ホテルズ&リゾーツ)熱海」。レストランが主体なのでオーベルジュに近い位置づけだが、宿としての質や空間の完成度にも最大限にこだわり、滞在中ずっと最高の居心地を提供する。

そもそも、フランスの郊外でオーベルジュが発展したのは車の普及が関係している。地方にある星付きレストランを車で訪れれば「気兼ねなくワインを飲みたい」「近くに泊まりたい」と思うもの。過ごした時間が極上であればあるほど、終盤が近づいて現実に引き戻されるときの落差は大きい。

ひらまつ創業者(現会長)平松博利氏が、シェフを務めていた時代から「いつかは滞在できるレストランを」と構想しており、今回それを20年越しでかなえた形だ。

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昭和の名建築を、ラグジュアリーに愉しむ特別な2部屋

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チェックイン時に通されるラウンジ。テーブル席の向こうには心地よいテラス席もあり、海を眺めながら味わうウェルカムドリンクは格別だ。絶景はもちろんのこと、建築のすばらしさにも言葉を失う。

「ザ・ひらまつ ホテルズ&リゾーツ 熱海」の建物はもともと個人の所有で、金閣寺の茶室なども手がけた名工・木下孝一棟梁によるもの。この数寄屋造りの名建築に残る匠の技はそのままにし、ここにラウンジとダイニング、そして「松の間」「梅の間」という和の特別室を2部屋設けている。

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「松の間」。畳敷きの広々としたリビングの向こうには、相模湾が見渡せる。

客室は全室オーシャンビュー。部屋ではいつでも温泉が楽しめる。着いたらまず夕暮れ時の相模湾を眺めながらやわらかい熱海温泉の湯にしばし身を沈め、ディナーに備えるのも一興だ。

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2つの特別室には、開放感たっぷりの露天風呂(写真は松の間)がついている。極上のプライベート感の中、熱海温泉の豊かな泉質を堪能したい。

常に海を眺めるよう設計された、理想的なスモールラグジュアリー

数寄屋棟につながる形で新築された客室棟には、洋の客室が11部屋。全室にテラスがあるのは数寄屋棟の特別室と同様だが、こちらには珍しいことに室内に浴槽がある。

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2Fコーナースイート。テラスの手前にはくつろげるソファ、その奥にベッド、ソファの奥に浴槽がある。ソファのあるリビングスペースが海を臨む形で配置され、しかも客室内にお風呂があるというユニークなデザインは「ザ・ひらまつ ホテルズ&リゾーツ 熱海」の特徴のひとつ。

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スタンダートツインからの早朝の眺め。暮れゆく夕刻の海を眺めながらの温泉もよいが、朝日とともに堪能するお湯もまた格別。

13という客室数はひらまつが理想とするスモールラグジュアリーの質を維持するためにも理想的。レストランでの経験はもちろんだが、レストランウェディングで培ったホスピタリティが、このすばらしい眺望を上回るほどの付加価値を与えているのだ。

感動と驚きを呼ぶフランス料理を、選りすぐりのワインとともに

いよいよダイニングに移動して、お待ちかねのディナータイム。「ザ・ひらまつ ホテルズ&リゾーツ 熱海」が誇る珠玉のフランス料理を堪能しよう。

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料理長は、レストランひらまつやサンス・エ・サヴールなどを経てひらまつパリ店で研鑽を積んだ後、「ブラッスリー ポール・ボキューズ 大丸東京」の料理長を務めた三浦賢也シェフ。

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三浦賢也料理長。素材の生命力を感じながら、最もおいしい状態で提供できるよう、食材や調理法への探求を続けている。シェフの料理が食べたいがためにこの地を再訪する人も多い。

シェフのセンスが光るアミューズ・ブーシュに続いて提供される料理は、デザートを含め全6品。地元産を中心に、旬の食材を活かしきったシェフ渾身のコース料理だ。

こちらは、「功刀(くぬぎ)さんが育てた“くぬぎ鱒”のミ・キュイ 長谷川さんのマッシュルーム“ポットベラ”と春キャベツ 赤ワインクリーム」。料理名に作り手の名前を出すくらい、「その人にしか作れない素材」だという。

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大きなマッシュルームはスライスしてソテーし、くぬぎ鱒には低温で火を通す。これだけでも「さすが」の一言だが、キャベツの甘みや赤ワインベースのソースが全体を絶妙にまとめ上げる。レモン風味の泡の下にはキャビアが隠され、パリッと焼いた鱒の皮が食感にアクセントを。

地の利を活かした「伊東漁港から届いた1本釣り地金目鯛の氷温塩水熟成 さわ蕗のタプナードと長芋のチップ パセリとグリーンペッパーのソース」。近海で朝とれたばかりの「地金目鯛」を海水と同濃度の塩水に漬け、氷水とともに3日間熟成。火入れは65℃の低温でじっくりと。結果、今まで味わったことのないような味わいに仕上がっている。

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鯛を口にした途端、旨味がギュッと凝縮した、パサつきの一切ない絶妙な食感に驚く。これぞ、シェフが編み出した「氷温塩水熟成」の成せる技。タプナードにはアンチョビを加えず、代わりにひしお(もろ味噌の一種)と、近くの山でとれた蕗を合わせた。軽やかな泡のソースが初夏らしい。

デザートの前には、フロマージュ(チーズ)の盛り合わせがワゴンで振る舞われ、極上のワインとともに時間はゆっくりと流れていく。

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左上から、「北海道噴火湾産ボタン海老のグリエ マンゴーとオリーブオイルのアイスクリーム」、「伊東産サザエのソテー 空豆のリゾット ソース・ヴェルトと醤油の泡」、「フランス リムーザン産仔牛背肉ロースト 藁の香りをまとって モリーユ茸のソテーとクリーム タイム風味のソース」、「伊東産有機レモンクリームと柑橘のヴェリーヌ仕立て ヨーグルトとバジルのソルベ」。

驚きと感動を呼ぶ6品は、素材そのものの旨味とソースの妙を存分に堪能させながらも、三浦シェフが得意とする“軽やかさ”で彩られている。満足感は十分にあるのだが、満腹すぎることもない。しかも、帰りの心配はしなくてよいのだ。部屋に戻ってからさらにワインを楽しむのも、ゆっくり湯船につかるのも、気分次第。長い夜を存分に楽しみたい。

“滞在するレストラン”だから、翌日も夢の時間は続く

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翌朝、昨夜の余韻にひたりながら再びダイニングへ。迎えてくれるのは、朝の光に輝く海、そして、極上の朝食。

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朝から手の込んだ朝食に、心身が一気に目覚める。中でも感激するのは、トリュフオイルが香るソースと贅沢なフォアグラを加えたフランス風目玉焼き。

時間が許すならヨーロッパのリゾート地へ飛ぶのもいいが、日々忙しく過ごす人にはなかなか難しい。しかし、忙しいからこそ休息は必要だ。都心から1時間半の熱海に、これほど完成度の高い“滞在するレストラン”がある幸福感を、あなたも味わってみてほしい。愛車とともにぜひ。

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前日や当日にふと思い立って予約を入れる常連も多いという。シェフの料理を楽しみに、スタッフの笑顔に会いに、穏やかな海を眺めに…。「ザ・ひらまつ ホテルズ&リゾーツ 熱海」での時間を満喫したら、翌日からの日々に活力が満ちるだろう。

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ザ・ひらまつ ホテルズ&リゾーツ 熱海
静岡県熱海市熱海1993-238
TEL 0557-52-3301
●宿泊(夕食・朝食付き)は1泊1名様55,600円(+税)〜
●車でのアクセス:
東京方面より「東名厚木I.C.」下車、小田原・厚木道路、真鶴道路経由。東京から約90分。
名古屋方面より「東名沼津I.C.」下車、三島・熱函道路経由。沼津I.C.から約50分。
※新幹線は、東京駅から熱海駅まで約45分、名古屋駅から約90分、熱海駅よりタクシーで約10分。

撮影 SHIge KIDOUE
取材・文 山根かおり
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