Vision 2018.05.31

主宰者ルネ・マルタン氏が語る世界最大級のクラシックフェス、ラ・フォル・ジュルネの魅力

今年も大盛況に終わった世界最大級のクラシックフェス、『ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2018』。イベント当日の様子とともに、クラシック音楽界の常識を覆す手法を用いて世界中の人を魅了するイベントに育て上げた、主宰者ルネ・マルタン氏へのインタビューをお届けする。

演奏時間は45分前後で低料金設定。公演のハシゴも可能な音楽祭

“ハチャメチャな日”という意味のラ・フォル・ジュルネは、1995年にフランス西部の町ナントで誕生以降、世界中に響き渡ったクラシックフェスだ。日本には2005年に上陸。毎年ゴールデンウィークに開催され、5月3日~5日に行われた今年のラ・フォル・ジュルネTOKYO 2018で14回目を迎えた。

ここまでの説明で、“クラシックフェス”という言葉に違和感を覚える方もいるだろう。伝統と格式、または荘厳で長大なクラシック音楽と、ロックやポップスで馴染み深いフェスが融合するはずはないと。一般の人が抱くそんな固定観念を鮮やかに吹き飛ばし、クラシックのフェス化という革命的な実験を成功させたのがラ・フォル・ジュルネ最大の特徴だ。

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まず、クラシック初心者にとっては敷居の高い長い演奏時間を45分前後に短縮。さらに高額になりがちなチケット代を低額に設定。今回のラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2018では、1,500円から3,000円で1公演を楽しめるリーズナブルなプライスが用意された。

313-01_cteamMiura 主宰者ルネ・マルタン氏が語る世界最大級のクラシックフェス、ラ・フォル・ジュルネの魅力©teamMiura

しかも世界の一流演奏家を招いた3日間の公演数は、丸の内エリア・東京国際フォーラム他と、池袋エリア・東京芸術劇場他を合わせて全178公演。朝から晩まで公演が目白押しなので、様々なコンサートのハシゴも可能という、まさしくフェスと呼ぶ以外にない一大音楽イベントとなっている。

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アルファ ロメオも極上オーディオで共演

加えて、新たな音楽ファンを生み出す呼び水は至るところに撒かれている。丸の内エリアの東京国際フォーラムでは、チケットの有無に関わらず誰もが通行可能な地上広場で20分単位のフリーライブが随時開催されていた。

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地下1階のチケットオフィス近辺ではアルファ ロメオがブースを構え、『Alfa Romeo Giulia(アルファ ロメオ ジュリア)』から3つのグレードを展示した。

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いずれもharman/kardon製の14スピーカー/900W アンプを搭載したプレミアムオーディオシステムを備えているが、その内の『Alfa Romeo Giulia Super(アルファ ロメオ ジュリア スーパー)』では、2016年のラ・フォル・ジュルネのライブ演奏を流し、流麗なインテリアデザインと相まった室内空間で来場者を楽しませていた。

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ルネ・マルタン氏インタビュー
「誰にとっても音楽が人生の一部になるのであれば」

今年のTOKYO 2018でも約43万2千人が来場したラ・フォル・ジュルネ。そのアーティスティック・ディレクターのルネ・マルタン氏に、誰もがクラシック音楽に熱狂する日を生み出した経緯を中心に、このイベントの魅力をたずねた。

DSC_4928 主宰者ルネ・マルタン氏が語る世界最大級のクラシックフェス、ラ・フォル・ジュルネの魅力

――最初に、ラ・フォル・ジュルネを企画したきっかけを聞かせてください。

マルタン 16歳で読んだチャールズ・ミンガスというジャズベーシストの伝記がすべての始まりと言えるでしょう。その本によれば晩年の彼は、ハンガリー出身のクラシック作曲家であるバルトークの弦楽四重奏曲をよく聴いていたそうです。それまでの私はロックとジャズが好きな少年でしたが、敬愛するミュージシャンに倣い、その作品を聴いてみたら、かつて耳にしたことのない旋律に心を打たれてしまいました。そこからベートーヴェンやモーツァルトを聴くようになったのです。

――つまり16歳で初めてクラシックの魅力を知ったということですか?

マルタン そうです。一般的なクラシックファンにくらべれば遅かったと言えるでしょう。しかし、16歳でクラシックに衝撃を受けたとき、これは万人の音楽だと思いました。私のようにクラシックの素養がなかった者こそ聴くべきだと。それが私のアプローチです。

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――そこからラ・フォル・ジュルネが誕生するまでの経緯とは?

マルタン クラシックを知ってから音楽理論と経営学を勉強した私は、南仏の小さな町で国際ピアノ音楽祭を主宰しました。その音楽祭がまだ発展途上だった1993年に、生まれ故郷のナントでU2のスタジアムライブが開催されたんです。その観客動員数は実に3万5千人。そのとき、U2に熱狂するお客さんはなぜ私の音楽祭に来てくれないのだろうかと疑問を抱きました。もしかしたら、多くの人はクラシックと触れるチャンスに恵まれていないのではないか。それなら私が橋渡し役を務めればいい。初めてクラシックを聴くのにふさわしい演奏時間と手頃な料金を設定して。それを機会に素晴らしい音楽を体験するよろこびを知ってほしかった。だからラ・フォル・ジュルネ(ハチャメチャな日)と名付けたのです。

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――今では世界中で開催される大イベントになりましたが、なぜここまで広まったとお考えですか?

マルタン 老若男女に関わらず、多くの人々がこういう機会を望んでいたのでしょう。それから、ラ・フォル・ジュルネに賛同してくれる世界中のアーティストの協力も大きい。一公演の時間は短いながらも、会期中はいくつもの会場で異なった演奏をするのは彼らにとっても刺激的で、そのおもしろさをそれぞれのホームで伝えてくれるのです。それが年々拡大した理由です。

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――今後もクラシックだけを扱うのでしょうか?

マルタン いえ。先にも話しましたが、音楽は万人に開かれるものですから、今回のラ・フォル・ジュルネでもジャズや民族音楽などを取り入れ、より多くの人が素晴らしい音楽と出会える機会となるよう、様々なプランを実行していきます。入口は何でもいいのです。誰にとっても音楽が人生の一部になるのであれば。

――最後に、16歳のご自身に伝えたいことはありますか?

マルタン 当時の私が熱中していたのは、ジャンルに関係なくいろんなレコードを買い漁っては、友人たちに一晩中聴かせていたことです。まるでDJのように。そんな16歳の私にはこう言いたいです。今は10人程度だろうけど、やがて40万人を超えるよと(笑)。そんな話をすると笑ってしまいますね。昔も今も私の興味はまったく変わっていないのだから。

DSC_4916 主宰者ルネ・マルタン氏が語る世界最大級のクラシックフェス、ラ・フォル・ジュルネの魅力

自身の体験が多くの人に共感されると信じた感性。それを起点に万人に開くためのイベントに育てた知性。ラ・フォル・ジュルネは、「素晴らしい音楽と出会う場を提供したい」と語るルネ・マルタン氏の分身そのものだった。アルファ ロメオのスピリットにも通じる、情熱に満ちた熱狂の日。来年のゴールデンウィークは、それぞれの感性と知性でぜひ体感してほしい。

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Text:田村 十七男
Photos:安井 宏充

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