ジュリエッタの歴史を振り返るGIULIETTA HISTORIES

1954年のトリノ モーターショーに
初代「ジュリエッタ」が登場。
その美しいボディと優れたパフォーマンスで、
自動車史に残る名モデルとなった。
1977年の2代目モデル登場後、
その系譜はしばし途絶えていたが、
アルファ ロメオ創立100周年にあたる
2010年に復活を果たし、現在に至る。
「ロミオとジュリエット」を想起させる
ロマンティックなモデルネームは、
創業者ニコラ・ロメオの愛娘と同じ名前であることも
付け加えておかねばなるまい。

はじまり ‐ 1954年に初代モデルが誕生 ‐

ジュリエッタの父 ‐ オラツィオ・サッタ・プリーガ ‐

イタリアの恋人 ‐ ジュリエッタが空前のヒットを記録 ‐

忘れがたきアイコン ‐ ザガートが生んだ「S Z」 ‐

「ベルリーナの系譜」を繋ぐ存在 ‐ 1977年に2代目モデルが登場 ‐

ビッグネームの復活 ‐ 2010年に3代目モデルが誕生 ‐

サーキットで証明した実力 ‐ 世界最高峰のツーリングカーレースで勝利 ‐

時 代を経ても色あせぬ魅力 ‐ 日本の「ミッレミリア」を走る ‐

1954 年、アルファ ロメオは「ジュリエッタ スプリント」をデビューさせる。当時ベルトーネに 在籍していたフランコ・スカリオーネのデザインによるスタイリッシュなクーペボディに、オールアルミ製 DOHC4 気筒のツインカム エンジンを搭載。レーシングマシンに匹敵するほどの走りで「一般市民でも手が届くスポーティカー」として大ヒットを記録。以降「ジュリエッタ」シリーズから、ベルリーナ(セダン)やスパイダーなどの派生モデルがデビューしていくこととなる。

第二次大戦後に量産メーカーへと方針転換を図ったアルファ ロメオだが、最初の量産モデルである「1900」に続く「ジュリエッタ」の開発に入る。このプロジェクトを率いたのは「1900」の開発者でもある設計責任者(後の副社長)オラツィオ・サッタ・プリーガである。彼は以降も約 20 年にわたりアルファ ロメオのエンジニアリングやデザインを担当し、数々の名車を生み出していく。奇しくもアルファ ロメオと同じ 1910 年に生を受けたプリーガは、戦後アルファ ロメオの基盤を築いたキーマンである。

「ジュリエッタ」はアルファ ロメオ始まって以来のヒットを記録。1961 年には、記念すべき「100,001 台目のジュリエッタ」がライン オフされた。そこで招かれたのがイタリア映画界の巨匠、フェデリコ・フェリーニ監督夫人であり(同監督の)名作「道」のジェルソミーナ役で世界中を泣かせた女優、ジュリエッタ・マシーナである。同じ名前を授かり、ともにイタリア国民から愛された「ジュリエッタたち」がここに邂逅し、シャンパン掛けのセレモニーが執り行われた。

1950 年代の「ミッレミリア」参戦時にクラッシュした「ジュリエッタ スプリント ヴェローチェ」をイタリアの名カロッツェリア、ザガートが修復・架装したことが誕生の契機となった「ジュリエッタ SZ(Sprint Zagato)」。1959 年のトリノ モーターショーで正式モデルとして発表された「SZ」は、800kg を切るオールアルミボディに最大出力100hp、最高速度 約 200km/h を発揮する 1,290cc のエンジンを搭載。小さな車体に見合わぬスパルタンな走りを見せつけ、グラントゥーリズモ レースなどで無類の強さを誇った。

1977 年、アルファ ロメオのベルリーナ(セダン)系は、前期型の「アルフェッタ」をベースにモデルチェンジが行われた。そこで登場したのが「Giulietta Nuova(新しいジュリエッタ)」こと 2 代目「ジュリエッタ」である。直線基調のウェッジシェイプ デザイン、高い運動性能を生む「トランスアクスル レイアウト」など、当時の革新技術を数多く採用。量産型セダンながら贅沢なスペックを備えたモデルとして人気を博した。この後ベルリーナ系は1985 年発表の「75」へ世代交代を果たすが、この「ジュリエッタ」に用いられた技術が色濃く受け継がれていた。

アルファ ロメオの創立 100 周年となる 2010 年のジュネーブ モーターショーで、四半世紀ぶりの登場となる 3 代目「ジュリエッタ」がお披露目された。伝統の盾型グリルを配したフロントマスクなど、スポーティーさとエレガンスを融合したデザイン。新規開発されたプラットフォーム。3 つの走行モードを自在に切り替える「Alfa Romeo D.N.A.」システムなど、数々の革新的テクノロジーが惜しみなく注ぎ込まれ、トップクラスの操作性、快適性、安全性を備えた 3 代目「ジュリエッタ」は、2012 年に日本でもデビューを果たした。

2018 年にスタートしたツーリングカーレースの最高峰、FIA 世界ツーリングカー・カップ(WTCR)にレース・コンストラクター「ロメオ・フェラーリス」運営による「チーム・ミュルザンヌ」が「ジュリエッタ」で参戦。鈴鹿サーキットで行われた第 9 ラウンドで勝利を挙げた。続く 2019 年、WTCR の国内戦に位置する「TCR ジャパンシリーズ」にも「ジュリエッタ」は登場し、ここでも勝利を飾る。かつてツーリングカー・レースの世界でも強豪の名を欲しいままにした、アルファ ロメオの復活劇にファンは酔いしれた。

イタリアで 1927 年から 1957 年に開催されていた「ミッレミリア」は、アルファ ロメオが圧倒的な強さを誇った伝説のレース。1980 年代にクラシックカーラリーとして復活後、1997 年からはその意志を受け継ぐ「ラ フェスタ ミッレミリア」が日本でも開催されている。このレースの“常連”が、初代「ジュリエッタ」である。時代を経ても色褪せないデザインの美しさや、官能的な走りの虜となった日本のアルフィスタたちは、これからもその魅力を語り継いでいくことだろう。