Art of Taste 2021.11.08

余分を削ぎ落とし、本質を磨き上げる。ミラノ伝統菓子専門店『LESS』が手がける最小限にして至高の美味しさ

111年に渡りアルファ ロメオが紡いできた独創的な美しさと哲学を“食”を通して感じていただく企画“Art of Taste”。今回は、イタリア・ミラノ発祥の伝統菓子“パネットーネ”をはじめ、世界各国の銘店で習得した技術と豊かな発想力で作られるお菓子で注目を集める東京・恵比寿の本格派ペストリーショップ『LESS』が本企画プレゼントキャンペーンのためにオリジナルケーキを製作。同店オーナーシェフを務めるガブリエレ・リヴァ氏と坂倉加奈子氏のお二人に、その多彩な経歴とお菓子づくりへの姿勢、そしてアルファ ロメオとのコラボレーションについて思いを語っていただいた。

『LESS』=引き算の美学。目指すのは味覚に訴えるミニマリズム

恵比寿ガーデンプレイスのほど近く、目黒三田通りから一本入った閑寂な路地の突き当たりに一昨年オープンしたペストリーショップ『LESS by Gabriele Riva & Kanako Sakakura』(以下、『LESS』)。

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オーナーシェフを務めるのは、ミラノ出身のガブリエレ・リヴァ氏と坂倉加奈子氏のお二人。
“お菓子が人々にもたらす幸福感や喜びの再考”を基に、世界各地で磨き上げた技とセンスで生み出されるペストリーの数々は、まさに味わえる芸術作品。同店のスペシャリティであるミラノ発祥の郷土菓子・パネットーネをはじめ、伝統への敬意と革新的アイデアを凝縮した美味しさは、開店以来多くの人を魅了し続けている。

『LESS』が掲げるのは、素材へのこだわりと出来立ての美味しさの追求。厳選された有機栽培の食材を使用し、冷蔵・冷凍保存による作り置きはしない。その姿勢は、ガラスショーケースのみを配した店頭にも顕著に表されている。製造量を最小限に絞ることは、一品一品の味とクオリティを高めるとともにフードロス削減にも貢献している。

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余分を削ぎ落とし、本質を磨き上げる。その概念を冠した店名『LESS』は、近代建築の巨匠、ミース・ファン・デル・ローエが遺した“LESS IS MORE”、そして20世紀を代表するインダストリアルデザイナー、ディーター・ラムスの言葉“Less, but better”に由来する。自身の創造の源流であるこれらの言葉ついて、ガブリエレ氏はこう語る。

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▲ガブリエレ・リヴァ氏

「彼らのデザインは世界中のクリエイターにインスピレーションを与えましたが、その根本にあるのはミニマリズムです。私にとってミニマルとは、取り除くこと。あらゆるものに存在理由があるなかで、加えるのではなく取り除くことを追求するためには、人として成熟する必要があります。だからこそ、これらの言葉に刺激を受けたのかもしれません。この考え方は私たちにとって重要なコンセプトであり、LESSのお菓子づくりや店舗デザインに反映されています」

多様な文化の中で磨かれた製菓技術とアイデンティティ

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ミラノで家族が経営するペストリーショップの見習いとして12歳の若さでキャリアをスタートしたガブリエレ氏。イタリア国内トップの『CAST Alimenti(国立調理科学技術センター)』で腕を磨き、ニューヨークではUSAカカオバリーのアンバサダーを7年間務めた経歴を持つ。ロンドン、ニューヨーク、ラスベガスなどの大都市を渡り歩くなかで、有名日本食レストラン『NOBU』でシェフパティシエを務めるなどの様々な経験を積み重ねてきた。
  
「それぞれの経験が、私に大きな影響を与えたと感じています。たとえば、ロンドンにはさまざまな国のコミュニティがあり、あらゆる国の食べものや食生活の違いなどに触れることが出来ました。その後に移り住んだニューヨークではアートと建築のグループに所属し、常に新しいことに挑戦していました。さらにその後、私はラスベガスに拠点を移し、小さな会社を経営していました。そこで、加奈子さんと出会ったことが日本に来るまでの道しるべになったのです」

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一方、製菓専門学校卒業後、フランスやノルウェーの名声あるレストランを渡り歩き、ミシュラン2つ星の有名店『NARISAWA』や『ヒルトン東京』で腕を振るってきた坂倉氏。季節ごとの食材を取り入れ、素材の味わいを活かすお菓子づくりを得意とする坂倉氏にとって、海外で習得した製菓技術と国ごとの素材を活かすレストランでの経験はパティシエールとしてのアイデンティティを見出すことに繋がったという。

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▲坂倉加奈子氏

「日本人でありながらなぜ洋菓子を作るのか、という疑問と常に向き合ってきた私にとって、海外へ渡ったことは製菓技術を学ぶとともに日本の素材の魅力を再認識するきっかけになりました。たとえばフランスのある地域では、土地が貧しいがゆえに小麦の代わりに蕎麦粉を使うなど、様々な地域の特性を知って、同時に『日本ではどうなんだろう』と考えたんです。フランスの材料について理解が深まったことをきっかけに、日本や世界各国の食材についての興味も深まりました。こうした経験は、『自然な材料を使いたい』という思いと繋がっています」

最小限のアプローチで素材の魅力を最大限に引き出す--。『LESS』に並ぶペストリーの一つ一つに、本質的な美味しさを追求する飽くなき探究心と生産者へのリスペクト、そして情熱が宿っている。お菓子に向かう自分たちの姿勢について坂倉氏はこう話す。

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「我々が作るお菓子は決してカラフルではないかもしれません。しかし、自然な材料と繋がっていて、それが味にも反映されるのだと思っています。技術を学べば学ぶほどその技術を活用したものを作りたくはなるのですが、そのなかで本当に必要な味や構成に絞るのは経験を積まなければ難しいことです。職人のエゴではなく、本当にそれがシンプルに美味しいと思えるものかどうか。我々は大量生産やトレンドを追うような仕事をしたくはありません。我々が商品に与えたいのは、『素直さ』です。冷凍保存や着色料に頼らず、新鮮さの追求に真剣に向き合うことは大変ですし、もちろん商品の値段に影響もします。しかし、このアプローチが我々のすべてを変え、実現できたことが大きな達成感にもなりました。そういった観点はLESSのコンセプトに通じていますし、お菓子を作りあげるたびにガブリエレさんともよく語り合っています」

独創的かつユニークな街・ミラノで育まれた感性

さまざまな国の文化背景と豊富な経験を以って創られる『LESS』の洗練されたペストリー。なかでも、ガブリエレ氏の生家から受け継いだ50年ものの酵母を使って作られるミラノ発祥のパネットーネは、同店の個性を象徴する看板商品だ。

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パネットーネは、イタリアではクリスマスやお正月に欠かせないお菓子として知られ、熟練の腕なしでは成し得ない長時間熟成発酵によるしっとりと軽やかな食感が特徴。口にするたび幸福感を高めてくれる。日本ではまだ認知度の低いパネットーネを提供するという大きな挑戦は、人気パティスリーがひしめく東京でオリジナリティを確立する足掛かりにもなった。自身の故郷であり、パネットーネとアルファ ロメオを生んだミラノという街は、ガブリエレ氏にどんな影響を与えたのだろうか。

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「ミラノと聞いてまず思い浮かぶのは、ファッションです。美的感覚や服の見方という点で間違いなく影響を受けていると思います。たとえば日本では、同じバッグを持っている人を見かけることは珍しくありませんよね? ミラノではそうはいきません。ミラノの人々は、目立つような組み合わせや個性的に見せる術を知っています。それから、パネットーネ以外にも、ミラノ発祥の特徴的な食べものもあります。リゾットは世界的に有名ですね。ミラノには、独自のセンスがあるのです。そういう意味で、私にとって特別な場所だと思います」

イタリア原産の白トリュフで表現する“情熱の遺伝子”

そして今回のコラボレーションで2人が腕を振るい、製作したのは、白トリュフを使った完全オリジナルのチーズケーキ。ガブリエレ氏は“ミラノ”という自身との共通点から得たレシピのインスピレーション、そしてアルファ ロメオにまつわる記憶を交えこう語る。

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「アルファ ロメオについては、かつて父がジュリエッタを所有していました。イタリアの人々がアルファ ロメオに対して抱く印象は非常にポジティブなもので、多くのみなさんに愛されていたことを記憶しています。今回ART of Tasteで提供するチーズケーキのレシピでは、そんなアルファ ロメオと私のルーツであるイタリア北部の食材からインスピレーションを得ました。

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フランスやスペインなどでも採れる黒トリュフとは違い、ミラノがあるロンバルディア州のお隣、ピエモンテ州のアルバでしか採れない白トリュフは、味も香りもユニークな食材です。他の材料と混ぜるのが難しくお菓子づくりには基本使用しないものですが、我々はうまく活用する方法を見つけることが出来ました。将来的に商品化したいくらい我々のお菓子作りの中でもベストなものになったと感じていますので、ぜひ味わっていただきたいです」

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最後に、111年にわたって独自の美学を貫いてきたアルファ ロメオの“情熱の遺伝子”にも通ずる『LESS』のお菓子づくりの信条を聞いた。

「どんなことについてもそうですが、自分が携わるものになにか新しいアイデアをもたらすためには、一歩外へ踏み出す必要があると考えています。自分とは違う分野にいる人たちと付き合うことで未知の情報や知識に触れ、それらを自分の仕事に持ち帰り、異なる方法で活かすことが出来るのです。私たちのお菓子づくりにはさまざまな国の文化背景がありますし、イノベーションとは、自分自身の心に響くような素晴らしいアイデアを実現することだと思います」

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二人のオーナーシェフの、尽きることのない探究心と創作への情熱によって生み出される『LESS』のペストリー。それらを提供することついてガブリエレ氏は、「なぜそれをやるのかをしっかり考えたうえでお菓子をつくり、お客さまに喜んでもらうこと。私たちにとっては、それが最も光栄なことなのです」と微笑む。『LESS』が追求するシンプルかつ珠玉の美味しさと斬新なアイデアによって生まれた今回のオリジナルケーキ。手にした方のホリデーシーズンをとっておきの味わいと驚きで彩ってくれることだろう。

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※ソーシャルディスタンスを保ち、安全に十分に配慮したうえで取材を行っております。

INFORMATION
“Art of Taste THE MASTERS”
伊アルバ産の白トリュフを贅沢に使った特製チーズケーキ
プレゼントキャンペーン

実施期間:2021年11月8日(月)〜 11月30日(火)

当記事で取り上げた、旬の素材とクオリティにこだわる実力派ペストリーショップ「LESS」が特別に手がけたチーズケーキ。イタリア北部・アルバでしか採れない白トリュフをはじめ、卵、乳製品などこだわり抜いた食材を惜しみなく使用。世界各国の名店で腕を磨いた2人のシェフが熟練の技術で仕上げました。一度口にすれば忘れられない白トリュフの芳醇な香りと濃厚な味わいをお楽しみください。

▶︎詳細はこちらから

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Text:野中ミサキ(NaNo.works)
Photos:濱上英翔(Hisho Hamagami)

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