Creativity 2018.11.01

イタリアの職人技を今に伝えるポルトローナ・フラウの最高級レザー、ペレ・フラウ

『Alfa Romeo MiTo(アルファ ロメオ ミト)』の内装にも採用されている、イタリアを代表する高級家具ブランドであるポルトローナ・フラウの最高級レザー、ペレ・フラウの魅力とは?

イタリアの高級家具ブランド、ポルトローナ・フラウ。前編ではブランドのコンセプトや2018年に南青山にオープンした、日本旗艦店について紹介した。後編では、『Alfa Romeo MiTo (アルファ ロメオ ミト)』のシートにも使用されている、ポルトローナ・フラウ社製レザー「ペレ・フラウ」にフォーカスする。

最高級の牛革、ペレ・フラウ

イタリアの老舗家具ブランド、ポルトローナ・フラウ。100年以上にわたって築いてきた伝統を重んじながらも最先端の技術を用い、現代に則したデザインを積極的に取り入れる同ブランドのアイテムは、広い層の支持を得ている。

そんなブランドのぶれない姿勢、エレガントな曲線をもつデザインの美しさもさることながら、ポルトローナ・フラウのアイデンティティともいえるのが、同ブランドが誇る最高級の牛革だ。創業時より上質な革に対する強いこだわりを持ち、一人掛けのソファやアームチェアなどの家具を生みだしてきた。そして、その輝かしい成功は「ペレ・フラウ」によって築き上げられたといっても過言ではない。

181101_mondo_pf_1 イタリアの職人技を今に伝えるポルトローナ・フラウの最高級レザー、ペレ・フラウ

ポルトローナ・フラウでは、自らが手がける牛革を総称して「ペレ・フラウ」と呼んでいる。ペレはイタリア語で“革”を意味する。“フラウの革”というストレートなネーミングに、牛革に対するブランドの自信が見え隠れする。

そのポルトローナ・フラウが自動車業界にも参入したのは1980年代のこと。イタリア自動車メーカー、ランチアの内装デザインを手がけたのをきっかけに、その後、さまざまな高級車とタッグを組んでおり、現在、アルファ ロメオ ミトのシートにも「ペレ・フラウ」が採用されている。

181101_mondo_pf_2 イタリアの職人技を今に伝えるポルトローナ・フラウの最高級レザー、ペレ・フラウ

やわらかさと発色を両立させる独自のカラーシステム

そもそもレザーの価値は、どのようにして決まるのだろうか。セールスマネージャーの朝倉祐樹氏に尋ねた。

「ベースとなる革の価値を決めるのは、その大きさと厚みです。牛は生きものですから、転ぶこともあれば、虫に刺されたりもします。そういったことがないように、きちんと飼育管理されているところの革ほど価格も高額になります」

そのもともとの革の資質をもとに、なめし、染めなどの“技術”が施され、市場に出回るレザーが完成するのだ。

ポルトローナ・フラウが誇る「ペレ・フラウ」では、大切に育てられた3歳前後の仔牛の皮のなかでも良質な部分だけを使用。その皮に20工程にも及ぶなめしを行うことで、他の追随を許さない、しなやかで、なめらかな革を作りあげている。

「ペレ・フラウ」にはいくつか種類があり、それぞれ異なる個性を持つ。その「ペレ・フラウ」の価値をさらに高め、ポルトローナ・フラウの代名詞ともなっているのが、96種類のカラーバリエーションを持つ「カラーシステム」だ。

181101_mondo_pf_3 イタリアの職人技を今に伝えるポルトローナ・フラウの最高級レザー、ペレ・フラウ

「ブルーだけでもいくつもの選択肢があります。自分のアイデンティティを表現するには、さまざまなカラーバリエーションがあってしかるべきで、それを実現したのがこのカラーシステムです」

「そもそも革のやわらかさと、鮮やかな発色は、対照的な関係にあるんです」と朝倉さんは続ける。

革に顔料(色)を乗せることで革は厚みを増す。革は厚さが増すぶん汚れには強くなるが、やわらかさは損なわれてしまう。やわらかさを追求したければ、革本来のもつ自然な風合いを保持すればいいのだが、その相反する“やわらかさ”と“発色”を両立させているのが、「ペレ・フラウ」のカラーシステムというわけだ。美しい色を実現しながらも、うっとりとするほどやわらかい。

181101_mondo_pf_4 イタリアの職人技を今に伝えるポルトローナ・フラウの最高級レザー、ペレ・フラウ

「じつはこれはイタリアで特許を取っている技術で、ブランドのなかでもごくわずかな人間だけが染め方を知っている、門外不出の技術なんです」

車の内装に求められる価値

よく、「本革は使い込めば使い込むほど味が出る」と言われるが、「すべての革が、味が出るわけではないんです。質の高い革でも、味が出ない種類もあります。革にはひとつひとつ特徴があり、手入れの仕方も異なります。拭くと伸びてしまうので、汚れても放っておいて革に浸透して薄くなっていくのを待ったほうがいい場合もあります」

着色する際に顔料を使わず、染料だけで仕上げるフルアニリン染めは、「革そのものの風合いがいちばん生かされている革です。毎日お座りいただければ、1ヵ月ほどで傷や汚れが味になっていきます」。しかし、車のシートに使う革は“味が出ない”革のほうがいいとされている。

「車はさまざまな環境で使われることが想定されますから、シートに使用する革は、日差しや摩擦に強く、色落ちのしにくい全天候型のものがいいんです。味はむしろ出ないほうがよく、しばらく使っても真新しく、清潔感が感じられるほうが好まれます」

そういった用途の違いもあり、メーカーによっても異なるが、多くの場合、車のシートには、通常販売している室内用のレザーとは異なるレザーを使用している。個々のニーズに柔軟に対応できることも、さまざまなジャンルの企業とのコラボレーションを成功させている要因のひとつといっていいだろう。

求められる革の質は用途に応じて異なるが、“やわらかさ”や“肌なじみの良さ”は、あらゆるシチュエーションで共通して必要とされる要素だ。車のシートを作る際には曲線を表現することが必要になるが、「革がやわらかくないときれいな曲線は描けません」

181101_mondo_pf_5 イタリアの職人技を今に伝えるポルトローナ・フラウの最高級レザー、ペレ・フラウ

「アルファ ロメオをはじめ、さまざまなブランドとのコラボレーションにより、私どもの技術も向上していると自負しています。また、コラボレーションをきっかけに、ポルトローナ・フラウという存在、そして、ぜひ本物の革の良さを知っていただければうれしいですね」

ポルトローナ・フラウと、アルファ ロメオは、100年以上前ともにイタリアで創業した。家具と車と扱うものは異なるが、いずれも伝統と革新を重んじており、2つのブランドのコラボレーションは「タイムレス・エレガンス」を体現し、それぞれのブランドが誇る巧みな職人技やものづくりを今に、そして未来へと伝える。

歴史に裏付けされた「豊かさ」、洗練されていながら、どこか遊び心を感じさせる「美意識」──。イタリアの老舗ブランドが作りあげるめくるめく恍惚に身を委ねる──、コラボレーションを通じて、そんな至福を味わってみてはいかがだろうか。

181101_mondo_pf_6 イタリアの職人技を今に伝えるポルトローナ・フラウの最高級レザー、ペレ・フラウ

Text:長谷川 あや
Photos:大石 隼土

POPULAR