Products 2020.12.21

groovisions代表のアートディレクター・伊藤弘氏に聞く、機能とデザインを兼ね備えた高級自転車6選

昨今の状況下、外出自粛が要請されテレワークを採用する企業が増えているが、それに伴う運動不足の解消や健康維持、また人との接触を減らせる新しい生活様式として、自転車への関心が高まっている。そこで今回は、自転車愛好家として知られる、groovisions代表のアートディレクター・伊藤弘氏に機能とデザインを兼ね備えた高級自転車6台を紹介してもらった。

機能のみならずデザイン上でも大きな個性に

Canyon Bicycles(キャニオンバイシクルズ)『GRAIL CF SLX』

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▲Canyon Bicycles(キャニオンバイシクルズ)『GRAIL CF SLX』 ¥529,000(+税・送料)

グラベルバイクとは、簡単にいえば悪路走行も前提としたロードバイクです。そのためにオールロードバイクという名称が使われることもあるようです。タイヤの太さは快適性と大きく関わりますが、普通のロードバイクがせいぜい28cという太さに対し、グラベルバイクは40c前後の太さのタイヤまで対応しているモデルが多いと思います。長距離、長時間のライドに対応するため、ツーリングなどにも適していて、乗車姿勢やフレームの作りもレース志向というよりは快適性に振っていることも特徴と言えるでしょう。『Canyon Bicycles(キャニオン バイシクルズ)』の『GRAIL CF SLX』は様々なポジションが取れて、路面振動なども軽くしてくれる大変ユニークな2階建てハンドルを使用して、機能のみならずデザイン上でも大きな個性になっています。このブランドは本国ドイツからのeコマースのみで販売しているため、非常にコストパフォーマンスの高い製品が多いことも注目すべきポイントだと思います。

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▼INFO:画像提供
キャニオンバイシクルズ
https://www.canyon.com/ja-jp/

現在の自転車シーンを最先端のテクノロジーで牽引

SPECIALIZED(スペシャライズド)『LEVO SL EXPERT CARBON』

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▲SPECIALIZED『LEVO SL EXPERT CARBON』¥1,000,000(+税)

自転車の世界ではeBikeがたいへん注目されていますが、この『LEVO SL EXPERT CARBON』はそのなかでも最先端の一台と言っていいでしょう。マウンテンバイクですが、フレーム内臓のバッテリーと小型モーターのため、まずeBikeには見えません。スタイリッシュな外観は、ベースになっている同社のマウンテンバイク、STUMPJUMPERのイメージを踏襲しています。スペックとしては、このジャンルですと20kg以上あった重量も17kg台と超軽量に仕上がっています。小型軽量なモーターのために強力なトルクでゴリゴリ進むというよりは、スポーツバイクの乗り方、ペダルを軽く回すライディングスタイルに適しているため、ある程度自転車に乗りなれたユーザーが移行してもほとんど違和感のないバランスになっていると思います。重量含めた車体のクオリティとアシストのバランスが優れた次世代eBikeの先駆けのモデルだと考えて間違いありません。『SPECIALIZED(スペシャライズド)』はeBikeのみならず現在の自転車シーンを最先端のテクノロジーで牽引している最も注目を集めているブランドのひとつでしょう。

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▼INFO:画像提供
スペシャライズド・ジャパン合同会社
https://www.specialized.com/jp/ja

ロードバイクユーザーの間で非常に高い評価

TIME(タイム) 『ALPE D’HUEZ 01』

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▲TIME 『ALPE D’HUEZ 01』 フレームセット ¥550,000〜(+税)

現代のハイエンドバイクではほとんどがカーボン素材を採用していますが、フランスの『TIME(タイム)』は自転車のビンディングペダルから創業し、このカーボン素材を1990年代から追求してきた先駆的なメーカーです。『TIME』はバイクフレーム製造を始めてから一貫してRTM工法を採用しています。RTM工法とは、編み物のように1からカーボンの原糸を編み込んでいく方法なので、繊維の向きや編み方によって強度や柔軟性を自由にコントロールできるのです。今日ではなかなか自社工場でカーボン製造を行うメーカーは貴重で、そうした意味でも独自のポジションを築いているブランドだといえそうです。ロードバイクは実際レースを前提としたスポーツ機材でもありますので、数値的なスペックなどでは表すことの難しい乗り味、フィーリングそしてバランスがとても重要です。長年、『TIME』のバイクはロードバイクユーザーの間で非常に高い評価を受けてきましたが、そこにはブランド独自の設計思想が大きく関係してるのでしょう。こうした長年に渡る技術の積み重ねが非常に高いブランド力につながっているといえそうです。

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▼INFO:画像提供
株式会社ポディウム
https://www.podium.co.jp/

“見るからに速そう”という強烈なビジュアルのインパクト

Cervelo(サーヴェロ)『S5 Disc Ultegra Di2 R8070』

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▲Cervelo『S5 Disc Ultegra Di2 R8070』完成車 ¥995,000(+税)

空力性能は現在のバイク設計でたいへん重要なポイントになっています。低速ではそれほどではなくても、走行スピード域が上がれば上がるほど空気抵抗が増し、無視できない要素になってくるからです。空力、重量、剛性、快適性などの相反する要素のバランスをいかにとるかがテーマと言ってもいいでしょう。『Cervelo(サーヴェロ)』のこの自転車もこうした問題を追求したモデルのひとつです。とくにエアロダイナミクスを追求した結果のスタイリングは数値的なスペックはもちろんですが、“見るからに速そう”という強烈なビジュアルのインパクトがあります。すべてのケーブル類を内装し、専用ハンドルと専用V型ステムを採用していることもデザイン上の大きな個性になっています。自転車は汎用性のある規格のもとでユーザーがパーツを自由に組み立てるスタイルが一般的でしたが、この自転車のようにメーカー独自のパーツの設計を含めたインテグレーテッドなあり方もひとつのトレンドといっていいかもしれません。

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▼INFO:画像提供
東商会
http://www.eastwood.co.jp/

造形的にも極めてユニークなバイク

Moulton(モールトン・バイシクルズ)『AM-GT Mk3』

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▲Moulton 『AM-GTMk3』 ¥1,000,000(+税)

Moulton(モールトン・バイシクルズ)』のバイクは異端でありながらもクラシックという稀有な存在であり続けてきました。小さなホイールとトラス構造のフレームを設計し、サスペンションを組み込むことによって、小径車ながらもスポーツバイクの走行性能を発揮させたのです。ステンレスパイプで構成されたフレームはそれ自体が優れた機能美を思わせ、造形的にも極めてユニークなバイクになっています。開発者のアレックス・モールトン博士はすでに亡くなっていますが、かつてはイギリスの小型車のサスペンション開発に携わるエンジニアでした。そうした技術者としての背景が、既存のスタイルを疑い、こうした斬新なバイクを生み出すことになりました。現在では様々なモデルが展開されていますが、こちらは、1980年代前半に発表されたAMシリーズの中でも、17インチのホイールの伝統を引き継いだ、最もMoultonらしいバイクの一台だと思います。もともとコンパクトな自転車ですが、フレームが前後で分割可能で車載などが容易になっていることも注目すべきポイントでしょう。

▼INFO:画像提供
ダイナベクター株式会社
https://www.dynavector.co.jp/am/

自転車の楽しさを追求したハイエンドモデル

S-WORKS(エスワークス)『AETHOS ETAP』

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▲S-WORKS 『AETHOS ETAP』 ¥1,320,000(+税)

ハイエンドの自転車は基本的にトップアスリートがレースで使用するモデルと同等の製品、というのがいままでのセオリーだったように思います。しかし、レースを前提としない一般的なユーザーにとってはパワーもスピード域も違うために実際のところスペックと目的の間にズレがあったように思います。この自転車の特徴はとにかく超軽量なモデルに仕上げていることでしょう。いままでも数多くの超軽量バイクがありましたが、どこか走行性能を妥協することで軽さを優先させてきた側面があったように思います。『AETHOS ETAP』は長年メーカーが培ってきた様々な技術を統合して、高いクオリティを保ったバランスでの超軽量を達成しました。カラーリングに関してもスポーツバイク特有の派手さや大きなロゴなどはなく、極めてシンプルで上質な仕上げになっていることもこの自転車の方向性を表しています。実際は軽さが大きな意味を持つヒルクライムのレースなどで『AETHOS ETAP』はスタンダードになっていくような気もしますが、やはり画期的なのはシンプルに自転車の楽しさを追求したハイエンドという、ある種成熟したジャンルを作り出したことにあるのではないでしょうか。

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▼INFO:画像提供
スペシャライズド・ジャパン合同会社
https://www.specialized.com/jp/ja

PROFILE

伊藤 弘(いとう・ひろし)

アートディレクター
デザイン・スタジオ『groovisions』代表。1993年、京都で『groovisions』設立。グラフィックやモーショングラフィックを中心に、音楽、出版、プロダクト、インテリア、ファッション、ウェブなど多様な領域で活動する。

公式サイト:www.groovisions.com
伊藤弘様プロフィール groovisions代表のアートディレクター・伊藤弘氏に聞く、機能とデザインを兼ね備えた高級自転車6選

Text:伊藤 弘

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