Products 2021.05.27

時計ジャーナリスト・並木浩一氏が選定する、珠玉の新作腕時計8選

腕時計に関する数々の著作を持ち、様々なメンズ媒体紙でも活躍する時計ジャーナリストの並木浩一氏に、今注目の腕時計を紹介してもらう本企画。好評を博した第一弾のスーパーウォッチ特集に続く第二弾として、今年も『ウォッチ&ワンダー ジュネーブ2021』をはじめとする数々の発表会を取材してきた並木氏に、2021年の新作から選りすぐりの8本を紹介してもらった。

2021年の新作腕時計が、華々しく登場した。時計業界の風物詩であった大規模な新作展示会はデジタル空間に場所を移し、時も場所も選ばないイベントとして復活。4月上旬に1週間かけて行われた『Watches & Wonders(ウォッチ&ワンダー)』をはじめ、注目のニューモデルが一気に発表され、日本への入荷も着々と進んだのである。準備の期間が長かったこともあり、今年は珠玉の新作がめじろ押しだ。ブロンズをはじめとしたニューマテリアル、色とりどりのニューカラー、SDG’sへ取り組む腕時計、伝説の名機の復活など、話題は尽きない。ここに挙げたホットバージョン8本は、いずれも業界の話題をさらった注目作であり、いまから旬を迎え、しかも長く人気が続くだろう、絶対に後悔のない俊英たちである。

“セラミック+ゴールド”を纏う高級クロノグラフ

Audemars Piguet(オーデマ ピゲ)『CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ クロノグラフ』

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▲Audemars Piguet(オーデマ ピゲ)『CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ クロノグラフ』 ブラックセラミック×18KWGモデル ¥4,950,000(税込)

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オーデマ ピゲ 『CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ』は、2019年に26年ぶりに発表した人気のコレクションだ。そのホットバージョン『CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ クロノグラフ』は、いまどこに着けていっても一目置かれるだろう。ブラックセラミック製ミドルケースをホワイトゴールドのベゼルとラグ、ケースバックで包み込む異素材の構造が、絶妙なバイカラーを演出。サファイアクリスタルは外側と内側の異なるカーブからなり、見る角度によって様々な表情をダイヤルにもたらす。手作業のサテンブラッシュとポリッシュで仕上げ分けたサーフェスとディテールは、スイス時計の醍醐味を堪能させる。ヘアライン模様で仕上げた文字盤とのコーディネートも絶品だ。そのボディに、高級クロノグラフ必須のコラムホイールを装備し、さらにゼロリセットから瞬時に再計測可能なフライバック機能を搭載した。シースルーバックからは、神秘的なエンジンを細部まで、しかも作動も一望できる。テキスタイル製に見えるストラップは実はカーフスキン。ラバーで裏打ちされていて、暑い夏の汗のダメージも回避する優れものだ。

▼INFO:画像提供
オーデマ ピゲ
https://www.audemarspiguet.com/com/ja/home.html/

名門ミネルバの血筋を受け継いだ、ピタゴラス伝説の末裔

MONTBLANC(モンブラン)『ヘリテイジ ピタゴール スモールセコンド リミテッドエディション 148』

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▲MONTBLANC(モンブラン)『ヘリテイジ ピタゴール スモールセコンド リミテッドエディション 148』18Kローズゴールド ¥2,313,300 (税込)

モンブラン23 時計ジャーナリスト・並木浩一氏が選定する、珠玉の新作腕時計8選

今年の新作に限らず全ての現行モデルを見渡しても、これほど風雅なモデルはなかなか見つからない。モンブランの『ヘリテイジ ピタゴール スモールセコンド リミテッドエディション 148』は、ヴィンテージ・テイスト手巻き3針モデルの傑作だ。インスピレーションの源はモンブランに吸収された名門ミネルバが、1940年代から21世紀初頭まで作り続けていた『ミネルバ ピタゴール(ピタゴラス)』。搭載されていたムーブメント『キャリバー 48』は、いってみれば1950年のF1初年度を全勝で勝ち切ったアルファ ロメオのエンジン『158』と同様に、伝説のナンバーだ。その名機をリスペクトした新しいムーブメント『キャリバー MB M14.08』を製作、搭載した限定モデルである。ヒストリカルなデザインのいっぽうエンジン部分は黄金比を駆使した構成に、コート・ド・ジュネーブやコリマソンとよばれる装飾など、手作業の粋を極めた極上の仕上げが施された。腕時計の通ほど唸る珠玉作である。

▼INFO:画像提供
モンブラン
https://www.montblanc.com/ja-jp

イタリア海軍特殊潜水部隊が出自の、由緒正しいブロンズ製ダイバーズ

PANERAI(パネライ)『サブマーシブル ブロンゾ ブルーアビッソ』

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▲PANERAI(パネライ)『サブマーシブル ブロンゾ ブルーアビッソ』 ブロンズ ¥1,914,000(税込))

パネライ23 時計ジャーナリスト・並木浩一氏が選定する、珠玉の新作腕時計8選

イタリア魂の腕時計といえばパネライだ。イタリア海軍特殊潜水部隊のミッションウォッチから始まった歴史は、他のブランドとは全く異なる魅力の源泉だ。その出自に連なるダイバーズの新作が『サブマーシブル ブロンゾ ブルーアビッソ』。ケース素材のブロンゾ(ブロンズ)は経年変化で自分だけの味が出てくる、腕時計界で最新の流行である。海のブランドのDNAと重なる、船具に伝統的に使われるこのマテリアルは、2011年からパネライに採用されている。渋い輝きと、“ブルーアビッソ”の名の通りの、魅惑のディープブルーとの組み合わせは絶品だ。ソリッドで大胆なデザイン、恐ろしいほど光る夜光インデックスと針、300mの防水性能などのフィジカルなアピールには、心を鷲掴みにされた。いっぽう42ミリのジャストサイズにスエード製の瀟洒なストラップは、街使いでも十分以上に魅力的だ。

▼INFO:画像提供
オフィチーネ パネライ
https://www.panerai.com/jp/ja/home.html

世界の時間を一目瞭然にする、ショパールの最新鋭モデル

CHOPARD(ショパール)『L.U.C タイム トラベラー ワン ブラック』

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▲CHOPARD(ショパール)『L.U.C タイム トラベラー ワン ブラック』 セラマイズド・チタン ¥1,958,000(税込) ©️Adam Fussell

ショパール23 時計ジャーナリスト・並木浩一氏が選定する、珠玉の新作腕時計8選
©️Federal Studio

ショパールといえば、往年のアルファ ロメオが大挙出場するヴィンテージカーの公道ラリー“ミッレミリア”の、パートナー兼オフィシャルタイムキーパーであり、ミッレミリアの名を冠した腕時計でも名高い。そのショパールの新作が、『L.U.C タイム トラベラー ワン ブラック』だ。逆回転する24時間リングが外周の都市名を指して世界の現在時刻を一目瞭然にするワールドタイマー。たとえばF1グランプリが世界のどこに転戦しても、中継時間を逃さず、アルファ ロメオの勇姿を追える。着ける場所を選ばないシックなモノトーンの外観は、上品かつスポーティ。ケース素材は、グレード5チタンを超高温で酸化処理した先進的なセラマイズド・チタンを採用している。ムーブメントもスイス公式クロノメーター検定局(COSC)によるクロノメーター認定と、どこまでも隙がない。

▼INFO:画像提供
ショパール
https://www.chopard.jp/

高性能・超ロングリザーブの自社製ムーブメントは最長10年保証

ORIS(オリス)『カール・ブラシア キャリバー401リミテッド エディション』

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▲ORIS(オリス)『カール・ブラシア キャリバー401リミテッド エディション』 ブロンズ ¥495,000(税込)

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オリスの『キャリバー401』は、クロノメーター超えの精度(日差 -3/+5以内)、高耐磁性、5日間のロング・パワーリザーブを備えた高性能な自社製ムーブメントである。ユーザー登録をすることで最大10年間の保証が付くのも、品質に自信があるからだ。スモールセコンド3針のその逸品を初搭載した新作が『カール・ブラシア キャリバー401リミテッド エディション』だ。カール・ブラシアは黒人として初めて、アメリカ海軍マスター・ダイバーの称号を得た伝説的人物。その逸話を伝える財団と2015年にパートナーシップを結んだオリスの、コラボレーション第3弾の限定モデルである。ケースにはブロンズを採用し、ダイヤルは海軍の伝統色である濃いネイビー・ブルー。ナイロン素材のストラップもただものではなく、著名な“エリカズ”のオリジナルを奢っている。

▼INFO:画像提供
オリス
https://www.oris.ch/jp/home

ルイ・ヴィトンがつくると、ダイバーズはここまで洒落る

LOUIS VUITTON (ルイ・ヴィトン)『タンブール ストリート ダイバー』

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▲LOUIS VUITTON (ルイ・ヴィトン)『タンブール ストリート ダイバー スカイラインブル―』 ステンレススティール、ラバーストラップ ¥948,200(税込)

ルイヴィトン23 時計ジャーナリスト・並木浩一氏が選定する、珠玉の新作腕時計8選

圧倒的な知名度を誇るルイ・ヴィトンから登場した、男性の魅力を引き立てるスポーティな腕時計が『タンブール ストリート ダイバー』。ルイ・ヴィトンの代名詞でもあるタンブールを、新しい魅力で見せる新作だ。ケース本体はステンレススティールにブルーのPVDコーティングを施し、サンドブラスト加工で仕上げ。ポリッシュされたベゼルとラグと、絶妙なコンビネーションを描く。入射光を絶妙なフレアで返すサンレイ仕上げを施した文字盤には、ネイビーとライトブルーを駆使。逆回転防止インナーベゼルを備えたシリアスな装置の機能を、グラフィカルな色分けが補強する。街でも映えるグッドルッキングの一方で、100mの防水性能も備えた意外なほどの実力が、アンビバレンツな魅力である。

▼INFO:画像提供
ルイ・ヴィトン
https://jp.louisvuitton.com/jpn-jp/homepage

白と黒の『J12』に突如現れた、カラフルな魅力

CHANEL(シャネル)『J12 エレクトロ』

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▲CHANEL(シャネル)『J12 エレクトロ』 高耐性ブラックセラミック×SS 38㎜、自動巻き、世界限定1255本、6月28日発売予定 ¥924,000(税込)

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シャネルが今年打ち出したのが『CHANEL エレクトロ カプセル コレクション』。ホワイトとブラックを不動の基調カラーコードとする“J12”に、カラフルなエッセンスを大胆に取り入れた。1990年代のエレクトロミュージックを取り巻いたカルチャーからのインスピレーションが、完成されたモノトーンのスタイルを挑発するデザインは、たまらなく刺激的だ。ダイヤモンドやカラーサファイヤを盛り込んだ存在感たっぷりなモデルの一方で、コンセプトを素直かつ的確に捉えた『J12 エレクトロ』をリリース。ダイヤルとベゼルには多色でアラビア数字とバーを配したモデルは、シックなブラック版のみがラインアップされている。価格もアクセシブルで、すぐにでも手を伸ばしたい新作だ。

▼INFO:画像提供
シャネル
https://www.chanel.com/

伝説をグレードアップして蘇らせるムーンウォッチ

OMEGA(オメガ)『スピードマスター ムーンウォッチ プロフェッショナル マスター クロノメーター』

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▲OMEGA(オメガ)『スピードマスター ムーンウォッチ プロフェッショナル マスター クロノメーター』 SS ブレスレットモデル サファイアクリスタル風防 ¥847,000(税込)

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6度にわたったアメリカの月面着陸プロジェクトのすべてに携行された腕時計といえば、オメガの『スピードマスター ムーンウォッチ』の他にない。伝説的なその手巻きクロノグラフに魅力的なグレードアップを施した決定版が『スピードマスター ムーンウォッチ プロフェッショナル マスター クロノメーター』だ。クロノメーターの上をいく品質基準“マスター クロノメーター”をクリアしたムーブメント“キャリバー3861”を新搭載。パワーリザーブ、クロノメーター性能、耐磁性能が向上した。シースルーバックのモデルでは、その勇姿を視覚で堪能できる。一方でデザインは、アポロ11号の飛行士が人類史上初めて月面に降り立った時にも着用していた“第4世代”のクラシックなスタイルを踏襲している。陽極酸化処理を施したアルミニウム製ベゼルリングにはマニアが狂喜するディテール、“ドットオーバー90”(90の数字の上にドット)も再現された。

▼INFO:画像提供
オメガ
https://www.omegawatches.jp/ja/

PROFILE

並木 浩一(なみき・こういち)

時計ジャーナリスト、桐蔭横浜大学教授、博士(学術)
横浜市生まれ。ダイヤモンド社で雑誌編集長、編集委員を経て大同大学教授、2012年より現職。1990年代よりスイスの時計フェア S.I.H.H、バーゼルワールド他を毎年取材・研究し続けている。腕時計関連の著書に「腕時計一生もの」(光文社新書)、「腕時計のこだわり」(ソフトバンク新書)等がある。現在、雑誌「ウォッチナビ」「Pen」「メンズプレシャス」での連載をはじめ、雑誌・新聞・オンラインでの執筆、出演、講演など多数。学習院と早稲田大学のオープンカレッジでは、一般受講可能な時計の文化論講座を開講している。

Text:並木浩一

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