Diversity 2019.08.22

自分らしく生きる、2人のデフアスリートの“Be yourself.”に迫る。

アルファ ロメオでは、すべての人々が障害、人種、 そしてセクシュアリティによって排除されることのない、自分らしく輝ける自由な社会の実現をめざし、“Be yourself.”をテーマにさまざまな支援活動を行っている。その活動の一環として、ろう者のアスリートの活躍を応援、また、一般社団法人日本聴覚障害者陸上競技協会(JDAA)をサポートしており、今回、2021年に開催されるデフリンピックで活躍が期待される2人の選手にインタビューを行った。

デフリンピックをご存知だろうか。『デフリンピック(Deaflympics)』は、国際ろう者スポーツ委員会(International Committee of Sports for the Deaf)が運営する、ろう者のための国際的なスポーツ大会だ。オリンピックと同じように4年に一度、夏季大会と冬季大会が2年ごとに交互に開催される。

6 自分らしく生きる、2人のデフアスリートの“Be yourself.”に迫る。
▲女子棒高跳の佐藤湊氏

1924年に設立された国際ろう者スポーツ同盟が同年夏にパリで開催した『第1回国際ろう者スポーツ競技大会』がその始まりとされ、冬季大会は1949年にオーストリアで初開催された。国際パラリンピック委員会が発足した1989年当時は国際ろう者スポーツ委員会も加盟していたが、デフリンピックの独創性を追求するため、1995年に脱退。そのため、現在はパラリンピックに聴覚障がい者は参加できない。

JDAA事務局長の山岸亮良氏は、「もともとは一緒の団体でしたが、デフリンピックは競技力重視の観点で、(聴覚障がい者以外の障がい者とその補助者が参加する)パラリンピックはどちらかというとリハビリテーション重視の考え方のもと開催しています。デフリンピックは、ろう者で運用する、ろう者だけのスポーツ大会という点で特徴的です」と語る。

Interview-18 自分らしく生きる、2人のデフアスリートの“Be yourself.”に迫る。
▲JDAA事務局長の山岸亮良氏

デフリンピックの出場資格は、裸耳で聴力損失が55デシベルを越えていること。また、それぞれの国のろう者スポーツ協会(日本においては、“全日本ろうあ連盟”)に登録している選手にある。コミュニケーションは国際手話によって行われ、競技はスタートの音や審判の声による合図を視覚的に工夫する以外は、オリンピックと同じルールで運営される。

「オリンピックの後に同じ開催地で行うパラリンピックに比べると、デフリンピックはまだ知名度が低い。今回の掲載をきっかけに認知度が上がるように、ますます頑張っていきたいですね。デフアスリートのなかには、東京オリンピックへの出場を期待されている選手もいます。円盤投げの湯上剛輝選手は、2018年の日本の健常の選手権(日本選手権)で日本記録(62m16cm)を更新して優勝しました。いちばんオリンピック出場に近いデフアスリートと言われていますが、円盤投げのレベル自体が非常に高く、参加標準記録である66m以上投げないとオリンピック選考に入ることができません。自己記録の更新を続けつつ練習を頑張っています」(山岸氏)

Interview-30 自分らしく生きる、2人のデフアスリートの“Be yourself.”に迫る。

デフリンピックの運営を行う国際ろう者スポーツ委員会の現在の加盟国は104カ国。2017年にトルコ・サムスンで開催された第23回デフリンピックには、97ヵ国3,105名が参加。日本は177名(選手108名、スタッフ69名)を派遣し、過去最大となるメダル27(金6、銀9、銅12)を獲得した。次の冬季大会は2019年12月12日(木)から21日(土)にイタリアのヴァルテッリーナ地方で、夏季大会は2021年7月に開催予定だ。

7 自分らしく生きる、2人のデフアスリートの“Be yourself.”に迫る。
▲写真左:女子棒高跳の佐藤湊氏 写真右:中距離の岡田海緒氏

今回、モンド アルファでは、2021年デフリンピックの活躍が期待される2人のデフアスリート──女子棒高跳の佐藤湊氏と中距離の岡田海緒氏にインタビューを行った。2人とも2021年、2025年のデフリンピックで日本代表の中心となり活躍が期待される、また、アルファ ロメオが大切にしている“自分らしさ”と親和性の高いアスリートだ。2人の“Be yourself.”とは──?

「カミングアウトしたことで、やっと本当の自分で過ごせるようになりました」

佐藤湊氏は高校2年生のときに陸上をスタートすると、すぐにその才能を開花。女子棒高跳の代表選手として、2013年(ブルガリア)、2017年(トルコ)のデフリンピックに2大会連続で出場し、ブルガリア大会では銀メダルを獲得した。その後、すべての国際大会に日本代表として出場を続けている、日本ろう記録保持者だ。2021年大会でも記録の更新が期待できる選手であり、次世代の選手を育てるべく、ろう者陸上の発展にも尽力している存在だ。また佐藤氏は性同一性障害であることを公表している。

Interview-43 自分らしく生きる、2人のデフアスリートの“Be yourself.”に迫る。
佐藤 湊氏(ルックスオティカジャパン) 種目:女子棒高跳

――佐藤選手が棒高跳を始めたのはいつ、なにがきっかけでしたか。
高校2年生のとき、当時の顧問に誘われたことがきっかけです。世界を目指せること、そして、何よりやってみたかったので。

――棒高跳との出会いは、佐藤選手の人生にどのような影響を与えましたか。また、人生をどのように変えましたか?
デフスポーツを通して世界中の人に出会うことができました。また、アスリートとして活動して、デフスポーツを広めようと考えるようになりました。

――自分らしくいられるのはどんな時ですか? また、自分らしくいることは、佐藤選手にとってどのような意味がありますか?
自分らしくいられるのはパートナーや友達など大切な人と一緒にいるときです。「とても幸せだ!生きている!」と感じられる瞬間です。

Interview-62 自分らしく生きる、2人のデフアスリートの“Be yourself.”に迫る。

――佐藤選手はLGBTであることをカミングアウトされています。カミングアウトされたのはいつですか。また、カミングアウトをしたことで、人生はどう変わりましたか。
大学1年生のときです。それまでは演技をしていたような、嘘をついているような気持ちを常に抱いていましたが、カミングアウトしたことで、やっと本当の自分で過ごせるようになりました。

――まだ、自分らしくいられない方々に、力強いメッセージをお願いします。
あなたのそばには悩みや本音をぽろっと出せる、心をさらけだせる人が必ずいるはずです。もしかしたら今は気づかないかもしれませんが、いつか巡り会える日を楽しみにしていてください。

――これからチャレンジしてみたいことは?
デフリンピックで金メダルを取り、ろう者の子供たちに夢や希望を与えたいです。

――2020年はどのような大会に参加される予定ですか。
第4回世界ろう者陸上競技選手権大会に出場予定です。

Interview-113 自分らしく生きる、2人のデフアスリートの“Be yourself.”に迫る。

「陸上競技に熱中しているときは、まだ見ぬ自分と出会える瞬間です」

アジアの選手が女子中距離でメダルを獲得することは非常に難しいといわれているなか、岡田海緒氏は2019年3月に行われた、第1回世界ろう者室内陸上競技選手権大会(エストニア・タリン)にて、自身初のメダルを獲得(1500m、銀メダル)する。これは同大会で、日本選手団唯一のメダル獲得でもあった。
そのほか2018年度は800m、1500m、3000mとすべての中距離種目で日本ろう記録を更新。目覚ましい活躍を見せ、2019年11月に香港で開催されるアジア大会(第9回アジア太平洋ろう者競技大会)でも注目すべき存在だ。また、来年度から社会人アスリートとして活躍する予定だ。

Interview-87 自分らしく生きる、2人のデフアスリートの“Be yourself.”に迫る。
岡田 海緒氏(日本女子体育大学) 種目:中距離

――岡田選手が中距離を始めたのはいつですか。
陸上選手だった父の影響でもともと陸上競技に興味を持っていましたが、本格的に陸上競技を始めたのは高校1年生のときです。

――陸上を始めたことは岡田選手の人生にどのような影響を与えましたか。また、人生をどのように変えましたか。
最初は自分の生活の一部でしたが、次第にほぼ陸上競技のことを第一に生活をするようになりました。また、陸上競技を通して出会った人々からさまざまな影響を受けています。このことが自分の人生を豊かなものにしてくれているように感じています。

Interview-110 自分らしく生きる、2人のデフアスリートの“Be yourself.”に迫る。

――自分らしくいられるのはどんなときですか? また、自分らしくいることは、岡田選手にとってどのような意味がありますか。
陸上競技に熱中しているときはまだ見ぬ自分と出会える瞬間であり、新鮮で自分らしくいられると感じています。また、家族や友人とのコミュニケーションを大切にしており、そういったことがオンオフの切り替えになっています。


――まだ自分らしくいられない方々に、力強いメッセージをお願いします。 
  
信じられるのは自分自身です。結果はそのあとについてきます。自分を信じて、自信を持って取り組んでみましょう。

――今後チャレンジしたいことは?
2021年のデフリンピックで金メダルを取りたいです。

Interview-74 自分らしく生きる、2人のデフアスリートの“Be yourself.”に迫る。

2021年夏には、第24回夏季デフリンピック競技大会が開催される。先のトルコ大会ではインターネットを通じて、競技の模様が生中継で配信された。私たちも彼女たちの美しく、勇ましい晴れ姿を見ることができるかもしれない。2人の活躍、そして、いくつもの“自分らしさ”との出会いを心待ちにしたい。

Interview-127 自分らしく生きる、2人のデフアスリートの“Be yourself.”に迫る。

Be yourselfすべての人々が、自分らしく生きていける社会のために

Text:長谷川あや

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