Diversity 2019.12.05

原宿・subaCOで開催されていたLGBTQの情報発信施設『プライドハウス東京2019』をレポート!

日本ラグビーフットボール協会などの後援を受け、LGBTQに関する期間限定の情報発信施設『プライドハウス東京2019』が、9月20日(金)から11月4日(月)にかけて原宿のsubaCOで開催されていた。“Be yourself.”をスローガンに、ダイバーシティ(多様性)推進活動の一環としてLGBTQ団体をサポートしてきたアルファ ロメオは、プライドハウス東京の一連の活動もサポートしている。今回はこのイベントの取り組みや現場の声をレポートする。

NPO、個人、企業などが協働して社会的インパクトを創出する

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そもそも“プライドハウス”の始まりは、2010年のバンクーバーに遡る。LGBTQへの偏見や差別が強いスポーツ界を変えようと、開催地のNPOが期間限定で立ち上げたホスピタリティ施設こそがプライドハウス。その後も国際サッカー大会などの大規模な国際的なスポーツイベントに合わせて、プライドハウスは世界各地で設立・運営されてきた。

そしてついに日本でも、今年のラグビーW杯、来年行われる大きなスポーツの世界大会が開催されるタイミングを契機と捉えてプライドハウス東京が発足。LGBTQなどのセクシュアル・マイノリティに関する情報発信を行う期間限定のホスピタリティ施設を設置し、さまざまなイベントやコンテンツの提供を目指していく。そのプロジェクトの一環として今回、LGBTQとスポーツに関する期間限定の情報発信施設『プライドハウス東京2019』を、9月20日(金)から11月4日(月)にかけて原宿subaCOにオープンした。

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このsubaCOという場所は、再開発が予定されているエリア内の建物を活用した新しいカタチのコミュニティサロンとして2018年9月に開設。その運営は東急不動産と、原宿・表参道エリアからスタートして今や全国でボランティア清掃活動を展開するNPO法人・greenbirdが連携して行なっている。subaCOというネーミングには、“この空間に集まった寄付や人が、新しい価値観やつながりを生んで巣立っていく”という想いが込められているという。プライドハウス東京はそのコンセプトに共感し、繋がりの中からこのsubaCOをイベントの会場に選んだ。

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また、プライドハウス東京のプロジェクトにとって重要だったのが、日本社会により広くポジティブな影響をもたらすために、コレクティブインパクト型(行政、企業、NPO、財団、有志団体など立場の異なる組織が、壁を越えてお互いの強みを出し合い、社会的課題の解決を目指すアプローチ)の組織を作ることだった。地道な営業とこれまでの繋がりを生かし、結果的に30の団体や個人、18の企業、15の駐日大使館がセクターを越えて協働するコンソーシアムが誕生。そして今回、プライドハウス東京のキックオフイベントを開催するに至った。

イベント期間中は、コンソーシアムおよび協賛企業などが7つのチーム(「教育・多様性発信」「文化・歴史・アーカイブ」「セクシュアルヘルス・救済窓口」「アスリート発信」「祝祭・スポーツイベント・ボランティア」「居場所づくり」「仕組みづくり」)に分かれ、さまざまなコンテンツを実施した。アルファ ロメオは「文化・歴史・アーカイブ」における協賛企業として、日本で暮らすLGBTQのポートレートをレスリー・キー氏が撮影する「OUT IN JAPAN」を始めとする活動を通してプライドハウス東京をサポートしている。

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日本と海外のLGBTQへの意識の差。プライドハウスが目指すべき未来

『プライドハウス東京2019』がsubaCOで始まる前日の9月19日(木)、プライドハウス東京は一般財団法人・東京マラソン財団と一般社団法人・日本ラグビーフットボール選手会のそれぞれと協定書を締結。今回のイベントも、日本ラグビーフットボール協会などの後援を受けて開催された。

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▲漫画家・田亀源五郎氏による『プライドハウス2019』公式アートワーク

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ラグビーW杯のタイミングを狙って開催したということもあり、プライドハウス東京2019にも外国人の来場者が多かったという。その点について、プライドハウス東京コンソーシアムのメンバーであり、『プライドハウス東京2019』のスタッフも務めるオリビエ・ファーブル氏に話を聞いた。

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▲オリビエ・ファーブル氏

「やはり外国人の方は多かったですね。それはラグビーのために海外から来ていた方が多かったのはもちろんありますが、それ以上に海外ではレインボーに込められている意味をすぐに理解できるからだと思います。プライドハウス自体を知らなくても、海外ではレインボー=LGBTQという認識を持っている方が多いので、それをわかってここに入って来てくれるんですね。当事者やそのカップル、さらに当事者ではないけれど、自分の友だちや子どもがLGBTQという方がここでグッズを買っていくこともありました」

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▲Tシャツやタオルなど『プライドハウス東京2019』のグッズが並ぶ

一方で、日本人はLGBTQへの興味というよりは「ここは何の場所なんだろう?」という感じでふらっと入ってくる方が多かったそうだ。オリビエ氏曰く、「その場合はまずスポーツにおけるLGBTQの大変さを情報発信している場所という形で案内し、会場内では『プライドハウス東京2019』のガイドブックやスポーツとLGBTQをテーマにしたハンドブックも配布していたので、それらを渡して説明していきました」とのこと。そういった来場者のエピソードからは、海外と日本ではまだまだLGBTQへの意識の差があるように感じた。

「ただ日本人では学生の方がたくさん来てくれました。大学の研究でLGBTQをテーマにしているそうで、昨日は都内の学生が20人ぐらい来てくれていろいろお話ししましたね。今後はLGBTQの実情をよくわからないという人に向けてもっと発信していきたいと考えています。今回はラグビーのW杯中に開催したわけですが、来年行われる世界大会の方が期間も長いですし、関心度も高い。その盛り上がりを追い風にして、これまでLGBTQに興味や関心のなかった人たちにしっかりと僕たちの活動を伝えていきたいです」

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また、会場内には世界中から集められたLGBTQに関する絵本が展示されており、誰でも手に取って鑑賞できた。それらは各国の大使館などから集められ、英語の本が多かったがほかにもドイツ語やオランダ語、ノルウェー語、フィンランド語などさまざま言語の本が約60冊。こういったLGBTをテーマにした絵本がもっと日本で広まることは、人々のジェンダーに対する意識を変えるきっかけになるように感じた。

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▲世界中から集められたLGBTに関する絵本

さらに絵本を読み終わったあと、時間のある来場者にはLGBTQに関するメッセージを書いてもらった折り紙で鶴を折ってもらう活動も。そうやって作られた美しい鶴の数々が会場内を彩っていた。

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▲スタッフによる折り鶴レクチャーを受ける来場者

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取材当日、スタッフボランティアを行なったFCAジャパン・マーケティング本部長のティツィアナ・アランプレセ氏に、アルファ ロメオがこのプロジェクトをサポートする意義を伺った。

「ラグビーW杯のような大きなイベントに合わせて、このようなダイバーシティの大切さを発信できる場所をつくるということは、アルファ ロメオが持つインクルーシビティというテーマにとっても大切なことです。でもまだまだで、こういう活動を積み重ねていくことが重要。来年のタイミングが大きなポイントになるでしょう。こういう場所が期間限定ではなくずっとあればいいと思います」

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▲FCAジャパン・マーケティング本部長のティツィアナ・アランプレセ氏

LGBTQユースがセクシュアリティで悩まなくていい未来をつくる

プライドハウス東京代表の松中権氏は「来年に向けて動いてはいますが、大事なのは終わったあとに常設のLGBTQセンターを作ることが大きなミッションであり、叶えたいことです。LGBTQユースの子たちが安心して集える場所を作ること。そしてむしろそんな場所もいらないくらい、セクシュアリティで悩まなくていい未来をつくることが目標です」と語る。

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▲プライドハウス東京代表・松中権氏

プライドハウス東京のさまざまな取り組みは、LGBTQを取り巻く環境を少しずつだが確実に変え始めているだろう。そしてもう来年を契機に、LGBTQの未来を彩る虹が今よりもっと広がることを信じて、これからもプライドハウス東京の活動を見守りたい。

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Be yourselfすべての人々が、自分らしく生きていける社会のために

Text:ラスカル(NaNo.works)
Photos:加藤潤

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