Diversity 2019.03.14

スポーツを通じて繋がる心とLGBTの未来 〜東京レインボーマラソン2019〜

3月2日(土)、東京都立川市の国営昭和記念公園にて、LGBTなどセクシュアルマイノリティへの理解を広めるチャリティーマラソン大会「東京レインボーマラソン2019」が開催された。性別、性的指向、性自認、性表現などにとらわれず、 あらゆる差別のないスポーツイベントを目指して開催された今回のイベントレポートを、主催者やゲストのインタビューとともに紹介する。

LGBTの未来に繋がる“スポーツを、みんなと一緒に楽しむ日”

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「東京レインボーマラソン2019」は、日本においてロールモデルとなるような多様性のある市民参加型スポーツイベントを目指して、今回が初開催。東京マラソン2019が開催される前日の土曜日、晴れ渡った昭和記念公園の清々しい春の空気の中、タイム計測ありのハーフ・10km・5kmマラソンのほか、親子ファミリーラン、ハーフリレーマラソンなどが実施された。

本イベントのコンセプトは、「スポーツを、みんなと一緒に楽しむ日」。昨年10月、東京都議会は2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、LGBTなどセクシュアルマイノリティへの差別禁止を盛り込んだ人権尊重条例案を、都道府県の条例として初めて成立。そういった動きも受けて、本イベントの主催団体である「プライドハウス東京」コンソーシアムが発足した。

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プライドハウス東京は、セクターを超えた団体・個人・企業が連帯し、LGBTなどのセクシュアル・マイノリティに関する情報発信を行う期間限定のホスピタリティ施設の設置や、多様性に関するさまざまなイベントやコンテンツの提供を目指すプロジェクト。その第一歩として開催された東京レインボーマラソン2019では、参加費の一部がLGBTとスポーツの情報発信拠点「プライドハウス東京」における活動資金へのチャリティに充てられた。「プライドハウス東京」コンソーシアム代表であり、2011年からアルファ ロメオが支援している認定NPO法人グッド・エイジング・エールズ代表も務める松中権氏に話を伺うと、イベントに集まってくれた人たちの数とその姿に手応えを感じているようだった。

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「過去にカラフルランというイベントを開催したことがあるのですが、このぐらいの規模で開催するのは初めてだったので、開催までは乗り越えなければいけないハードルがたくさんありました。当初は100人ぐらい集まればいいかな……と思っていましたが、今日は500人近くも集まってくれて。みんなが走る前から楽しそうで、その姿を見ると開催して本当に良かったなと思います」

快晴の昭和記念公園で生まれた参加者たちのレインボー

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まず開会式では、ラジオパーソナリティやLGBTに関する講演活動などをしているトランスジェンダーの瞬氏と、吉本興業グループの所属タレントで構成される吉本坂46のメンバー・マサルコ氏が、イベントの概要を参加者にアナウンス。テンション高めの掛け合いで参加者を盛り上げている2人の姿が印象的だった。

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続いて、松中権氏がステージに登場し、東京レインボーマラソン2019の開催意義を参加者へ呼びかける。

「2020年、そして2020年以降を見据えて、日本でLGBTに関する情報発信を行う施設を作り、さまざまなイベントなどを開催することを目標にプライドハウス東京を立ち上げました。性的指向、性自認、性表現など、いろいろなものにとらわれず、誰でも楽しめるようなスポーツイベントを開催していきます!」

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その言葉を証明するかのように、メインの屋外会場には個室もしくは個別ブースの更衣室や仮設トイレが用意されていた。これらは、一般的なイベントにとってスルーされがちなことだが非常に大きな意味のあることであり、セクシュアル・マイノリティの人たちに対する配慮が感じられた。その点に関して、松中さんはこれまでの経験からこう語る。

「LGBTで悩んでいる人には“子どものころは運動会とかに出てなかったです”という人もいるんですよ。でも今日みたいな機会にみんなでスポーツを楽しんで、そこから自然と自分のことを話す入り口を作ることって大事だと考えていますし、スポーツはそういう力を持っていると思います」

また、開会式では、東京レインボープライドを始め、これまでさまざまな形でLGBT支援に取り組んできたアルファ ロメオから、各競技の1位から3位の方にアルファ ロメオオリジナルの今治タオルやマグカップ、キーホルダーといったプライズが贈られることも発表された。

190300_mondo_rainbow-marathon_04 スポーツを通じて繋がる心とLGBTの未来 〜東京レインボーマラソン2019〜1位の方に贈られたアルファ ロメオオリジナルグッズ(今治タオル・マグカップ・キーホルダー・パスポートケース・ノート)

レース前に入念な準備運動をしたのち、参加者たちはスタートラインに集合。今回、参加者一人ひとりに参加賞としてTシャツが配布されていた。このTシャツはLGBTのシンボルでもあるレインボー(虹)を構成する6色が用意されており、スタートラインに参加者が並ぶと、この日に集まった人々で作る美しい虹が。この演出からも、みんなで一緒に楽しむ、みんなでセクシュアルマイノリティへの意識を変えていこうという、主催者側の想いを感じられた。

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チャリティマラソンは1位を目指して本気で走る人、自分の中のチャレンジとして走る人、仲間や家族とともに走る人など、それぞれが楽しみながら走っていた。そして何より、走り終わったあとのみんなの笑顔。自然とこぼれるその笑顔が会話となり、この場所にいる人々の心をぐっと近づける。

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今回、ゲストランナーとして参加した元バレーボール選手の滝沢ななえ氏は、2017 年に自身がレズビアンであること、交際中の女性がいることを公表。現在はフィットネスジムを運営しながら、自身の経験を通して、日本でセクシュアルマイノリティへの理解を深めるための活動に参加している。

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「私は普段、基本はウェイトトレーニングがメインで走ることはあまりしないので、5kmでもキツかったです。東京オリンピック・パラリンピックも近づいていますし、スポーツをみんなで楽しもうというこのイベントは素晴らしいですね。あとやっぱり、みなさん走り終わった後の笑顔が素敵でした。私自身も当事者として、今後もっといろいろな形で関わっていけたらと思います」

次世代のLGBTの若者たちが集える居場所づくりへ

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LGBTのアスリートやその家族、友人、そして観戦者らが多様性をテーマとした大会を楽しめるように活動するーーそのプライドハウス東京の目的は、今回集まった人たちの姿を見ればまずは達成したように思える。プライドハウス東京は今後ますます、次世代のLGBTの若者たちが安心して集える居場所づくり、そしてみんなで楽しめるイベントの開催などに取り組んでいくそうだ。まだまだ乗り越えなければいけないハードルはたくさんあるとしても、今回のイベントの盛り上がりを見れば、それは決して不可能ではないだろう。

Be yourself すべての人々が、自分らしく生きていける社会のために。

Text:ラスカル(NaNo.works)
Photos:宮下祐介

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