Diversity 2019.04.25

本当に大切なのはユニークネス<Real JobRainbow 2019>イベントリポート

3月30日(土)、渋谷ヒカリエ9階ヒカリエホールにて、LGBTフレンドリー企業合同採用イベント「Real JobRainbow2019」が開催された。このイベントは、LGBTの人々と、新たな人材を求める企業との接点を生み出すことを目的としたものである。今回のイベントリポートを、主催である株式会社JobRainbow取締役CEO星賢人氏らのインタビューとともに紹介する。

過去最大規模のLGBTフレンドリー企業合同採用イベント

「Be yourself. どんな人も自分らしく輝きながら生きることのできる社会をつくること。その実現のためにアルファ ロメオはこのイベントをサポートしました」

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これは、「Real JobRainbow 2019」のアフターイベントに登壇した、FCAジャパン株式会社マーケティング本部長のティツィアナ・アランプレセ氏が発したコメントだ。2011年に立ち上げたダイバーシティ推進活動に則り、アルファ ロメオは様々な社会活動を支援してきた。直近では2018年11月の「超福祉展」や、2019年3月の「東京レインボーマラソン2019」をサポート。それらに一貫しているメッセージが「Be Yourself. ~自分らしく~」である。

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「Real JobRainbow2019」は、2019年3月30日(土)に渋谷ヒカリエ9階ヒカリエホールで開催された、LGBTフレンドリー企業合同採用イベントだ。LGBTとは、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字をとったセクシュアルマイノリティの総称。このイベントは、そう呼ばれる人々と、新たな人材を求める企業との接点を生み出すことを目的にしている。これまでに4回行われ、5回目の今回は過去最大規模の会場となり、取材時点で600人超を動員した。

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▲インフルエンサーによるトークセッションも行われた。

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▲来場者にはアルファ ロメオのノベルティもプレゼントされた。

主催は、日本初のLGBT就活・転職応援サイトを2016年1月に創設した株式会社JobRainbow。彼らにイベントの主旨をたずねる前に、出展企業が机を並べるブースを歩いてみた。会の終了まで1時間を切ったところだったが、どの企業の担当者も説明に忙しかった。そんな中から数社に話を聞いてみた。異口同音に語られたのは、参加者の熱心さだった。誰もが真剣に働きたい意欲を表に出していたところには感銘すら覚えたと語った担当者もいた。

このイベントはあくまで会社説明会に留まるものだが、ある企業は自社に招いて実施する体験研修会に十数名の出席を取り付けたという。さらに、早くから取り扱い案件にダイバーシティを謳ってきた企業は、この場で2名の採用を決めたそうだ。LGBTに理解のある会社が集っていたとはいえ、イベント参加に熱心なのはここにいる全員であることを強く感じたエピソードだった。

活躍すべき人材に活躍できる場所を

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「それはうれしいです」
僭越ながら企業ブースで聞いた話を最初に伝えたら、星賢人氏は顔をほころばせながらそう言った。星氏は、「Real JobRainbow2019」を主催した、株式会社JobRainbowの取締役CEO。重複するが、今や累計100万人を超える利用者を持つLGBT向け企業情報サービスサイトを3年前に立ち上げた人である。

まずたずねるべきは、なぜLGBTに特化した就活・転職を支援する事業を始めたかだ。実のところ聞き手は密かに、特化ゆえのデメリットやリスクがあるのではないかという疑念を抱いていた。しかし、そうしなければならなかった厳しい現実を聞かされ、言葉を失うのである。

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「JobRainbowは大学院在籍中に起業しましたが、その理由は、学生時代の強烈な経験に基づいています。私自身もゲイで、大学ではセクシュアルマイノリティサークルに入り、やがて代表になりますが、そこはとても居心地がよかったんです。やはり自分のセクシュアルに関しては周囲の対応で辛い目に遭ってきましたから。そのサークルに所属していた一人のトランスジェンダーの先輩も学生生活を謳歌していました。しかし、就活の時期を迎え、ある企業の面接でカミングアウトしたら、ウチにそんな人間はいないから無理だと断られ、即座に帰らされました。そのショックで大学を辞め、就職自体をあきらめてしまった。私にとっても衝撃でした。しかし、このままでは当事者が被る不幸を防ぐことはできない。活躍すべき人材に活躍できる場所が与えられるべきだと決心し、JobRainbowをつくりました」
そんな星賢人氏の強力な味方になったのが、星真梨子氏だ。彼女は賢人氏の4歳上の実姉である。

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「私の課題は、マイノリティが生きづらいこの社会を解決する術の模索でした。そこで大学から大学院に至るまで法律を学ぶことにしました。在学中、弟を通じてLGBTに関する課題を知り、これは日本の社会を変える突破口になると気付かされたのです。マイノリティとされるLGBTですが、その人口は全体の8.9%に上ります。ということは、実はすぐとなりにいる存在なんですよね。私たちが知らないだけで。そこに向けたビジネスを弟が始めるというので、大船に乗った気分で参加させてもらいました」

LGBTという言葉がこの世界からなくなるまで

実体験と理念。これがこの姉弟の思いを衝き動かすエンジンなのだろう。そうして時代的ツールのインターネットを利用し、社会的少数派に向けた就職サイトを始めたが、賢人氏はそれだけでは不十分と考えたそうだ。なぜならマイノリティは、個人で活用できるサイトであれ表立った活動であれ、自分たちのコミュニティから出ようとしない傾向が強いからだという。

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「だからこそ、自分と企業の担当者が直接会える機会を創造したかった。信頼と安心を得るために。それは私たちの事業においても生命線なので、企業合同採用イベントを企画しましたが、初期は出展企業も参加者も数社数人レベルでした。企業に説明に行っても、LGBTはサンドイッチの具ですか? と言われたり。しかし、会を重ねるごとに信頼を集め、ようやく渋谷ヒカリエという大きな会場で開催できるようになりました。でも、まだまだです。今回の出展企業は20社ですが、次回は40、将来は1000と、誰にとっても労働の選択肢を広げる活動を続けていきます。そしてまた就職だけでなく、結婚、保険、介護を含め、あらゆるライフイベントに関わっていきたいですね。LGBTという言葉がこの世界からなくなることが我々のゴールですから」
前のめりになるわけではなく、しかし冷静なままでもなく。まっすぐな瞳がそっくりの姉弟が語る言葉にはおだやかな説得力が満ちていた。そして、質問を投じる前とは異なる意味合いで言葉を失った。

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「アルファ ロメオも同じ」
アフターイベントでのスピーチを終えた直後に再び話を聞いたティツィアナ・アランプレセ氏の言葉で締めたい。そこには、他人事を自分事に変えてくれる示唆が満ちていた。
「強いアイデンティティとユニークなパーソナリティを守り続けることが、アルファ ロメオというブランドのパワーになっています。ラインアップのどのモデルも、自分らしさがはっきりしているでしょう。何が好きか、どう生きたいか。あらゆるカミングアウトを受け入れるカラフルな社会になってほしい。本当に大切なのは、唯一無比のユニークネスですから」

Be yourself すべての人々が、自分らしく生きていける社会のために

Text:田村十七男
Photos:安井宏充(weekend.)

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