Diversity 2018.11.22

「Be yourself.」を掲げてアルファ ロメオが支援し続ける<超福祉展>リポート

アルファ ロメオもサポートしている<超福祉展>の様子をリポートする。従来の福祉のイメージを超越するさまざまなデザインやテクノロジーの展示、またわたなべちひろ氏によるアカペラや特定非営利活動法人日本車椅子ダンススポーツ連盟・パラダンススポーツジャパンの大前光市氏・四本紀代美氏による車椅子ダンスも披露された。

東京・渋谷ヒカリエ8階「8/(ハチ)」を拠点に11月7日(水)から13日(火)に開催された通称<超福祉展>。正式名称は<2020年、渋谷。超福祉の日常を体験しよう展>。2014年から毎年11月に行われてきたこのイベントは、障害者を始めとするマイノリティや福祉そのものに対する“心のバリア”を取り除くことを目的に、従来の福祉のイメージを文字通り超越していくデザインやテクノロジー、様々なプランを一度に体験できる展示会だ。

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この超福祉展に向けてアルファ ロメオは、「Be yourself.」というメッセージのもと、2011年に立ち上げたダイバーシティ推進活動の一環として、渋谷ヒカリエ以前の開催から6年連続で支援を続けている。イベント初日のオープニングセレモニーで登壇したFCAジャパン株式会社マーケティング本部長のティツィアナ・アランプレセ氏は、超福祉展に協賛する理由を次のように語った。

「私たちはクルマだけを売りたくない。なぜなら、自分らしく、あなたらしく生きることができる社会をつくること。そのために頑張る人たちを応援することが、アルファロメオが掲げる“Be yourself.”のアイデンティティだから」

1122_mondo_superwelfareexpo2018_11 「Be yourself.」を掲げてアルファ ロメオが支援し続ける<超福祉展>リポート▲FCAジャパン株式会社 マーケティング本部長 ティツィアナ・アランプレセ氏。

福祉のイメージを超えていく<超福祉展>

オープニングセレモニーには10名以上のメンバーが登場。その中の一人、超福祉展が最大級の発信力を持つメディアと位置付けた渋谷区の区長、長谷部健氏のコメントが、超福祉の意味合いを的確に、かつ“Be yourself.”にも紐づく説明をしていたので披露したい。

渋谷区では大規模な区内清掃イベントを定期的に行っているが、長谷川区長はある会に参加した知的障害者の母親から、涙ながらに感謝の言葉を述べられたことがあったという。

「15年育てた自分の子供が社会に役立つ姿を初めて見て、とてもうれしかったそうなんですね。行政における福祉活動は大きな柱ですが、これまでは手を差し伸べることが中心の事業でした。しかしその体験によって、人々が混ざり合うこと。ひいては福祉の概念自体を変えていくことの重要性を痛感しました」

1122_mondo_superwelfareexpo2018_01 「Be yourself.」を掲げてアルファ ロメオが支援し続ける<超福祉展>リポート▲渋谷区長 長谷部健氏。

1週間の会期中、数多くのワークショップやプレゼンテーションが実施された超福祉展。その中でアルファロメオが提供したプログラムを紹介する。まずは渋谷ヒカリエで展示されたグイドシンプレックスから。

欧州メーカーからも評価されるグイドシンプレックス

株式会社 ジー・エス・ティーが正規輸入販売を行うグイドシンプレックスは、1959年にイタリアで生まれた自動車補助装置メーカーだ。アルファ ロメオを始めとする欧州の各自動車会社から高く評価され、純正品採用となった実績も数多く有しているという。日本ではアルファ ロメオ横浜町田店が協力を行い、すでに幾多のアルフィスタのドライブをサポートしている。

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グイドシンプレックスの最大の特徴は、車両オリジナルのステアリングハンドルに添うアクセルリングの装着により、両手でハンドル操作ができることだ。ジー・エス・ティーの渡邉芳仁氏によると、国内で広く利用されている運転補助装置は片手でハンドルを回す方式だが、下肢が不自由なドライバーは片手のみで上体を保持するのが難しく、時にシート上で転倒するケースもあるらしい。

「それに、補助装置の装着方法が見た目にスマートなところもご好評いただいています。4年前の出展以降、それまでの月1台から2~3台へと装着事例が増えました。しかし、既に実用化されているにもかかわらず、いまだに実用化はいつかと聞かれてしまうので、より確実な普及活動に努めていきたいですね」

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<アルファロメオ×ブラインドミュージック ~駆動と鼓動が響き合うとき~>

もう一つのプログラムは、11月9日(金)に渋谷ヒカリエで行われた<アルファロメオ×ブラインドミュージック ~駆動と鼓動が響き合うとき~>。冒頭の映像が実に印象的だった。

左右二分割の画面。左はイタリア・シチリアのクローズドコース内の『Alfa Romeo Stelvio(アルファ ロメオ ステルヴィオ)』。右は日本のお寺の景色。左側のステルヴィオが走り出すと、右側にはサングラスをかけた少女が現れ、沖縄の民謡「てぃんさぐぬ花」を歌い始める。ステルヴィオのエキゾーストノートが指揮をするのか、あるいは少女の歌声にステルヴィオが呼応するのか。もはや左も右もなく、機械音も肉声も超え、そこに一つのハーモニーが現れた。

そんな不思議なプロジェクトに挑んだのは、映像内でステルヴィオをドライブしアルファ ロメオサウンドを奏でたイタリアのアーティスト、アレッサンドロ・リブリオ氏と、ブラインドミュージックシンガーのわたなべちひろ氏だ。リブリオ氏はこの試みに、こんなメッセージを寄せている。

「目が見えない彼女は車の運転ができません。しかし実際には、彼女の声がメロディを動かしクルマの走り方やスピードを決めたのだから、ちひろさんがステルヴィオを運転したと言えるでしょう。視点を変えることで新しい世界に気づける事実を証明できました」

アレッサンドロ・リブリオ氏による
メッセージ全文はこちらから

今回の「ブラインド・ミュージック」プロジェクトのアイデアは、アルファロメオの奏でるユニークで特徴的な音をコントロールしようという試みから生まれました。
車は楽器として生まれたわけではありませんが、実際にはそうなる素質を持っています。独特な音の高さと音色の関係性のおかげで、アルファロメオは完全な楽器として機能し、この特性により「歌わせる」ことができたのです。

編集・カット無しで、伝統的な日本の歌の抑揚をアクセルとブレーキペダルのみでつけることは賭けのようなものでした。最初はペンタグラムに音符を書き起こしました。しかし車を手にした後すぐに、音符をエンジンの回転数と入れ替え、音の継続時間と高さをそっくりそのままにしました。これらの全てがコースで行われたのです。

また、私にとってわたなべちひろさんとの出会いは素晴らしいものでした。彼女の歌を聞いた時、すぐに彼女がBe Yourselfでの車とのコラボレーションに完璧な人だと理解しました。
彼女は目が見えないため、車が運転できません。しかし実際に彼女はこのプロジェクトにおいて運転をしたのです。なぜならば彼女の声がメロディーを動かし、車の走り方やスピードを決めたのですから、彼女がアルファロメオステルヴィオを運転したと言えるでしょう。視点を変えることで気づけなかったことに気づくことができるのです。

将来、また彼女とコラボできることを願っています。

映像に引き続き、わたなべちひろ氏がステージに登場。その名も「Be yourself.」という楽曲をアカペラで歌い上げた。

1122_mondo_superwelfareexpo2018_06 「Be yourself.」を掲げてアルファ ロメオが支援し続ける<超福祉展>リポート▲わたなべちひろ氏。

さらに、リオ五輪閉会式に参加したダンサーの大前光市氏と、社交ダンスで好成績を収めた四本紀代美氏による車椅子ダンスが披露された。二人のパフォーマンスを見た率直な感想は、車椅子も表現のツールになり得るという以上に、身体を使った表現に限界などないということだった。

1122_mondo_superwelfareexpo2018_08 「Be yourself.」を掲げてアルファ ロメオが支援し続ける<超福祉展>リポート▲大前光市氏と四本紀代美氏による車椅子ダンス。

1122_mondo_superwelfareexpo2018_07 「Be yourself.」を掲げてアルファ ロメオが支援し続ける<超福祉展>リポート

1122_mondo_superwelfareexpo2018_09 「Be yourself.」を掲げてアルファ ロメオが支援し続ける<超福祉展>リポート▲公演終了後、会場に展示されていたアクティブムーブチェア「Weltz-self」を使って即興でダンスを披露してくれた。

最後に、超福祉展の主催団体であるNPO法人ピープルデザイン研究所の代表理事、須藤シンジ氏に、アルファロメオの「Be yourself.」についてたずねた。須藤氏は、次男が重度の障害を持って生まれたことを機会に福祉の現実に直面し、誰もに根付きがちな心のバリアを外す活動を行ってきた。

1122_mondo_superwelfareexpo2018_12 「Be yourself.」を掲げてアルファ ロメオが支援し続ける<超福祉展>リポート▲NPO法人ピープルデザイン研究所の代表理事 須藤シンジ氏。

「協賛していただく側としては実におこがましい話ですが、一度きりの打ち上げ花火ではなく、長い年月に渡ってその意志を示し続けることが何より素晴らしいです。今の時代、特に社会と密接な関係を持つクルマは、メーカーやブランドの思想や哲学が購買意欲に直結します。ちょっと些末な例ですが、FCAジャパンが我々の活動に興味を示されなかったら、僕の奥さんはフィアットのかわいらしさに、あるいは僕自身がアルファ ロメオの魅力に生涯気づけなかったんじゃないかと。だからこそ継続は大事。それは僕らにとっても同じです。ですから“Be yourself.”は、アルファ ロメオが世の中に向けて発信するメッセージであるとともに、アルファ ロメオ自身を表しているものだと思います。ステキな言葉ですよね。僕も年初の挨拶で使わせてもらっています」

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Text:田村十七男
Photos:宮下祐介

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