Diversity 2019.10.09

健常者と障がい者が当たり前に混ざり合う社会を目指してーー『超福祉展 2019』レポート

展示やシンポジウム、ワークショップなど、さまざまなコンテンツを通じて福祉に対する意識のイノベーションを目指す『超福祉展』。このイベントを2014年のスタート時から協賛するアルファ ロメオの取り組みを、9月3日のオープニングセレモニーや、別日のこちらもアルファ ロメオがサポートする日本ブラインドサッカー協会によるシンポジウムの模様などから紹介する。

“テクノロジー”から“人”へ。超福祉展が発信するメッセージ

9月3日(火)から9日(月)にかけて、東京・渋谷ヒカリエ8階の通称「8/(ハチ)」で開催された『超福祉展』。2014年にスタートしたこのイベントは、福祉に対する意識のイノベーションを目指して、展示やシンポジウム、ワークショップ、コンペティションといったさまざまなコンテンツを毎年実施してきた。

その正式名称は、『2020年、渋谷。超福祉の日常を体験しよう展』。健常者も障がい者もLGBTも外国人もないーーあらゆる“ちがい”が混ざり合った2020年の渋谷を目指して始まったプロジェクトで、正式名称にある2020年まであとわずか1年となり、今年も新たな取り組みが数多く行われた。

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そもそも“超福祉”とは? それに対して同イベントは以下のように定義している。

一人ひとりの心の中に存在する、障がい者をはじめとしたマイノリティや福祉に対する負い目にも似た“意識のバリア”。 “超福祉”の視点では、従来の福祉のイメージ、“ゼロ以下のマイナスである“かわいそうな人たち”をゼロに引き上げようとする“のではなく、全員がゼロ以上の地点にいて、混ざり合っていることを当たり前と考えます。ハンディキャップがある人=障害者が、健常者よりも“カッコイイ”“カワイイ”“ヤバイ”と憧れられるような未来を目指し、“意識のバリア”を“憧れ”へ転換させる心のバリアフリー、意識のイノベーションを“超福祉”と定義します。
超福祉展公式HPより)

そして、超福祉展を主催するNPO法人ピープルデザイン研究所の代表理事・須藤シンジ氏は、9月3日(火)のオープニングセッションで、今年のテーマについてこう語った。

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▲NPO法人ピープルデザイン研究所 代表理事 須藤シンジ氏

「今年で6回目を迎えるにあたって、関わってくださる会社が本年度だけで100社を超えました。そして、超福祉展を一緒に盛り上げてくださる店舗・施設のみなさま、通称“ビジョンシェアリングショップ”も100を超えました。昨年まではテクノロジーを前面に出していたのですが、今年は大きく“人”に舵を取っています。ダイバーシティの社会や街を作る、それは最終的に人だろうーーそれが今年、そして来年に向けて私たちが発信する、新しい、強いメッセージです」

サポートするアルファ ロメオのアイデンティティは“Be Yourself”

アルファ ロメオは、日本におけるダイバーシティ(多様性)の重要性を広く知ってもらうため、2011年から“Be Yourself”プロジェクトを通して、さまざまなNPO団体の活動をサポートしてきた。そしてその一環として、この超福祉展も渋谷ヒカリエ以前で開催していたころから支援を続けている。FCAジャパン株式会社マーケティング本部長のティツィアナ・アランプレセ氏は、イベント初日のオープニングセレモニーで、アルファ ロメオが大事にしているアイデンティティについて語った

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▲FCAジャパン株式会社マーケティング本部長・ティツィアナ・アランプレセ氏

「アルファロメオは“Be yourself”をアイデンティティにさまざまな活動をしてきました。また同時に、私たちが大事にしている言葉としてダイバーシティに加えて、インクルーシビティ(排他的になるのではなく、社会の誰でもが参加できるようになっていること)があります。私たちのブランドにおいて、クリエイティビティとインクルーシビティは同じ意味を持っています」

続いて、写真家レスリー・キーが現代を生きる人々のダイバーシティの輝きを伝える“Under One Sun”のムービーや、ブラインドサッカー日本代表が岩手県遠野市でブラジル代表との親善試合を行ったときの映像を使ったコラボムービーなど、アルファ ロメオが取り組む活動を描いた映像を上映。さらに“Be Yourself”の今年のプロジェクトムービーも流れ、最後はその映像の中にある言葉をティツィアナ氏が引用し、「みなさんも自分の人生をドライブしてください」というメッセージで締めくくった。

例年通り今年も、期間中にはアルファ ロメオ横浜町田店の協力のもと、欧州で身障者用手動運転補助装置として使用されているグイドシンプレックスを展示した。このグイドシンプレックスは、ステアリングに装着したアクセルリングを左右にスライドすることで、ステアリングとアクセル操作をすることができるというもので、障がいによりブレーキやアクセルなどのフットペダルを利用できない人向けの装置。その利便性の高さに体験者からは驚きの声が上がっている光景を見て、もっと日本でも認知されていい商品のように感じた。その点、アルファ ロメオも横浜町田店も、継続して露出を図ることでこの機材の普及を目指している。

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ブラインドサッカーのメッセージと、体験プログラムで得た発見

9日(月)には、<Alfa Romeo presents ブラインドサッカーというパラスポーツを通して混ざり合う社会を体感する>というシンポジウムを開催。このシンポジウムの前半は、日本ブラインドサッカー協会の取り組みについて、協会のD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)事業部長・剣持雅俊氏、そしてスペシャルゲストとしてブラインドサッカー男子日本代表の加藤健人選手が登壇してメッセージを届けた。

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▲日本ブラインドサッカー協会 D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)事業部長・剣持雅俊氏

「私たちはブラインドサッカーを通じて、障がい者も健常者も当たり前に混ざり合う社会を作ることを目的として活動しています。パラリンピックを目指す代表選手が強くなっていくこと、勝っていくこと、競技として見せられる場所を増やしていくことなど競技面の向上はもちろん大事ですが、一方で健常者に対してどんな取り組みを進めていくのかも大事にしています。そのために2010年から“スポ育”と名付けて日本各地の学校、または企業の研修などで体験プログラムを実施しています」(剣持氏)

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▲ブラインドサッカー男子日本代表・加藤健人選手

「ブラインドサッカーと出会って、視覚に障がいがあってもできることはたくさんあるんだと思えるようになりました。ただそれはやってみなければわからなかったことですし、挑戦する気持ちの大切さや、夢を持つことの大切さもブラインドサッカーを通して学べたと思います。来年のパラリンピックに向けては、まだ出場できるメンバーが決まっているわけではないので、まずは日本代表に選ばれることを目指して頑張っていきたいですし、選ばれたら日本の勝利のためにベストを尽くしてメダルを取りたいです」(加藤氏)

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そして後半では、アイマスクを着用した体験プログラムが実施された。来場者はアイマスクをした状態でガイドの拍手や声に向かって歩いたり、2人1組となり片方の声の指示でストレッチをしたり、チームに別れてコーンに向かってシュートをしたりといったプログラムを体験。参加者は「体験することで目が見えない中で動くことの大変さを実感した」「具体的に声で指示すること、相手の立場を想像してコミュニケーションを取ることの大切さを感じた」といった感想を述べていた。ただし、プログラムが進むにつれて参加者たちの気持ちが一つになっていくことも感じ、最後にはみんなの顔に自然と笑顔が浮かんでいるのが印象的だった。

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シンポジウム後、剣持氏にこの超福祉展に日本ブラインドサッカー協会が参加する意義を改めて伺った。

「障がい者のスポーツをこういった新しい視点で見てもらえることはとても大きなことですし、僕たちの活動が社会に対してどんな価値を与えているのかを発信できることは、僕たちにとってもありがたいことです。今後も日本においてさまざまなやり方でスポ育をもっと広めていきたいですし、一方で世界を見たら3億人の視覚障がい者がいて、そのうち8割は発展途上国にいるそうです。さらにそのうちの6割は日本でしっかりとした治療が受けられれば治せる。つまりブラインドサッカーが広まってそこにコミュニティができれば、もっと幸せになる人が増えていくーーそういった未来は、僕たちが目指すべきところだと考えています」

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2014年のスタートから、日本におけるダイバーシティへの意識を変えるべく、積極的にさまざまな取り組みを進めてきた『超福祉展』。このイベントの最初のゴールとして見定めてきた“2020年”を来年に控え、今年も渋谷ヒカリエの会場内は、自分らしく生きる人々のポジティブなバイブスであふれていた。

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Be yourself すべての人々が、自分らしく生きていける社会のために

Text:ラスカル(NaNo.works)
Photos:宮下祐介

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