Event 2019.10.30

F1日本GPが開催!ライコネンも認めた日本ファンの“情熱”とは?

今年もF1日本グランプリが鈴鹿サーキットで開催された。集まった観戦客は決勝日で8万9000人。動員数だけを見れば、さらに多くの観戦客を集める海外のグランプリもある。しかしサーキットも、その観客の情熱も、日本グランプリは特別。アルファ ロメオ・レーシングのドライバーであるキミ・ライコネンもそれを認める。

サーキット、ファン、天候、全てが特別

日本GPは特別なグランプリだ。世界中を転戦する超豪華なサーカスが、年に1度やってくるイベント。それだけで日本GPを特別だと言っているわけではない。多くの観戦客が訪れ、それぞれが思い思いのチームのウエアを着込み、様々な国やチームの国旗を振る……。プロ顔負けのコスチュームをハンドメイドでこしらえ、それを身に包んでいるファンも少なくない。

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当然、主役はF1マシンやそれを操るドライバー、チームなのだが、日本グランプリではファンの姿を欠かすわけにはいかない。こんなグランプリは、全21戦を見渡しても、ほとんどないと言っていいだろう。

その上、舞台となる鈴鹿サーキットもまた特別。低速・中速・高速全てのコーナーが揃い、半分は時計回り、もう半分は反時計回り。ドライバーたちも諸手を挙げて賞賛するコースなのだ。東洋の島国で行われる1戦、しかし今や開催カレンダーから外せないコースのひとつという地位を確固たるものとした。加えて今年の日本GPは、さらに“特別”な要素が追加された。

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金曜日のフリー走行1回目で、山本尚貴がトロロッソのマシンを駆って走行したことだ。日本人ドライバーがF1の公式セッションで走行するのは、2014年の小林可夢偉以来のこと。日本のF1ファンにとっては、待ち望んだ瞬間だった。そして、チームも大満足の走行を披露。その力量を世界も認めた。今後、日本人ドライバーがF1に挑戦する、その壁をひとつ打ち破ったと言えるだろう。

また、スケジュールの面でも、大型の台風19号が日本列島に接近したことにより、土曜日の走行スケジュールが全てキャンセル。予選と決勝をいずれも日曜日に行うという強行日程となったのだ。日曜日に予選と決勝を行ったのは、今年が初めてではない。2004年と2010年の日本GP、いずれも天候の影響で今回と同様、日曜日の1日で予選と決勝をこなした。

ただ今回は、台風の影響が長く残ったため、土曜・日曜の交通機関は、全国的に乱れた。それにも関わらず鈴鹿サーキットには、多くの観客が詰めかけた。それほどまでに日本のF1ファンは、今年の日本GPを心待ちにしていたのだ。

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アルファ ロメオ予選で躍動。しかし決勝は厳しい戦いに

午前中に行われた予選では、強い風が残る中フェラーリのふたりが速さを発揮。今シーズンを通して強さを見せるメルセデス勢を差し置いて、フロントロウを独占した。しかもコースレコードのおまけ付きだ。

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アルファ ロメオのふたりも予選で躍動した。実に僅差の争いとなる中、特にアントニオ・ジョヴィナッツィが11番手。これで第14戦イタリアGPから4戦連続で、チームメイトのキミ・ライコネンを上回ってみせたのだ。
ジョヴィナッツィは今年がF1フル参戦デビュー1年目。シーズン序盤はなかなか結果を出せず、苦労していた。しかし、ここにきてペースが向上。“大ベテラン”ライコネンを上回る活躍を見せ始めている。

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一方でライコネンは、これまで鈴鹿で好成績を残してきたドライバー。レース中の最速ラップ記録の保持者でもあった。「鈴鹿が特に得意だとは思わない」とは言いつつも、「マシンがしっかり動けば、鈴鹿で勝負するのは楽しい」と事前に語っていたライコネン。ただ今年の予選では、チームメイトの後塵を拝する結果となってしまい13番手だった。

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とはいえ、ジョヴィナッツィもライコネンも、決勝では10位入賞を狙えそう……。そんなポジションをキープすることができた。ただその決勝レース、アルファ ロメオ勢にとってはうまくいかないレースとなってしまった。序盤に装着したミディアムタイヤとハードタイヤがマシンに合わず、2台揃ってペースが伸びなかったのだ。その結果ライコネンが14位、ジョヴィナッツィが16位と、揃って入賞圏外でのフィニッシュとなってしまった(レース後、ルノー勢2台に失格処分が下ったため、ライコネン12位、ジョヴィナッツィ14位に変更となった)。ただ、ライコネンがレース終盤に履いたソフトタイヤとのマッチングは良く、ペースも安定していた。もしソフトタイヤを多用する戦略を立てていれば、より上位でのフィニッシュも可能だったはず。悔しい日本GPとなった。

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なお優勝争いでも、タイヤとのマッチングが勝敗を分ける結果となった。これを優位に進めたのはメルセデス勢。終始安定したペースで52周を走りきり、バルテリ・ボッタスが優勝。ルイス・ハミルトンも3位に入り、2019年のコンストラクターズタイトルを決めた。フェラーリ勢はタイヤをうまく労わることができず、ポールポジションからスタートしたセバスチャン・ベッテルをもってしても、2位が精一杯だった。

「情熱を感じる」ライコネン、日本のF1ファンを語る

この決勝レースを現地で目撃したファンの数は8万9000人。前年よりも10%も多い観客が訪れたということになる。台風の影響が交通機関にも及んでいたことを考えれば、驚くべき結果だとも言えるだろう。

そんなファンについて、ライコネンは次のように語っている。
「レースによって人気のあるドライバーやチームは変わるものだ。理由は分からないけど、日本ではここ数年の間、フィンランドのドライバーが人気みたいだね。」

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「とにかく日本にはファンが多くて、外出するのが難しいくらい。F1に夢中になってくれるのはいいことだよ。日本のファンのコスチュームも良いと思うよ。日本のオリジナルという感じでね。ヨーロッパの各国にも個性があるけど、それとも違った味がある。情熱を感じるよ」

2020年の10月、F1サーカスはまた鈴鹿にやってくる。当然、その中にはアルファ ロメオもいる。戻ってくる彼らに、どんな格好で、どんな声援を送ろうか……。

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Text:田中健一(motorsport.com日本版)
Photos:Hiroaki Matsumoto

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