Event 2019.11.12

生憎の雨の中でも皆笑顔で、ラ フェスタ ミッレミリア 2019レポート

今年も日本を代表するクラシックカーレース、ラ フェスタ ミッレミリア 2019が開催された。参加したアルファ ロメオオーナーへのインタビューを交えながら、出発点となる東京・明治神宮、さらに代官山蔦屋書店T-SITEでの模様をレポート。

アルファ ロメオとミッレミリア

ミッレはイタリア語で1000、ミリアはマイル。つまり1000マイルと命名されたレースがあった。イタリアの古都ブレシアからローマまでを往復する約1000マイル、1600kmのレースとして1927年に初開催。1957年まで途中戦争などで休止したことはあったが、それを除くとほぼ毎年行われていた。アルファ ロメオはここで数多くの戦績を残している。ものの本を紐解くと、初開催翌年の1928年には『6C1500MMS(ミッレミリアスポルト)』が優勝を飾っており、そこから3年連続でトップの座をキープ。特に1930年は1位から4位までを独占する圧倒的な強さを誇っていた。それ以降も常に上位にアルファ ロメオの名は輝いており、ミッレミリアとの関係は非常に深いものとなっていくのだ。

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1980年代にミッレミリアはクラシックカーラリーとしてイタリアで復活。1997年には日本でもラ フェスタ ミッレミリアとして始まった。開催当初は東京をスタートし東北方面を巡るルートだったが、震災により長野方面にルートを変更。しかし昨年から再び東北方面にルートが戻った。地元からの熱い応援や、参加者からの強い要望、そして何よりも主催者の情熱からの復活だった。沿道には待ち望んでいた人たちが数多く出てきて、応援の旗を振る。参加者たちはそういった人たちを見つけると、減速して手を振って応えるという交流が多くの場所で見られた。

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▲スタート地点にはサポートカー『Alfa Romeo STELVIO 2.9 V6 BI-TURBO QUADRIFOGLIO(アルファ ロメオ ステルヴィオ クアドリフォリオ)』の姿も。

今年も一路東北へ

そして2019年も明治神宮をスタートし、一路東北は裏磐梯へ(323.2km)。翌日はそこを起点に福島、米沢、喜多方をめぐり(270.7km)、3日目は那須塩原を経由して成田まで(490.5km)。4日目は再び明治神宮にゴール(231.8km)するという、3泊4日、合計約1300kmを走破するコースとなった。

初日となる10月25日(金)の朝、明治神宮は強い雨に見舞われていた。台風21号の影響だ。しかし、雨だからと参加を見合わせたエントラントは見られず、オープンモデルはしっかりと幌を立てるか、あるいは合羽を着こんで、クーペボディの人たちは曇る窓を拭きながら、これから4日間の旅を楽しみに笑顔で集まってきた。

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今回のエントリーは101台。そのうちアルファ ロメオはジュリエッタのクーペとスパイダーを合わせて6台が参加した。

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本格的な競技が楽しい

そのうちの4組の方々にお話を伺うことが出来たのでご紹介しよう。

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まずゼッケン91番、『ジュリエッタスパイダー750』(1958)の名倉さん。これまで7回程ラ フェスタ ミッレミリアには参加されており、このジュリエッタでは3回目だそう。このイベントの魅力は、「行き先行き先の沿道の方々、その地域の方々との触れ合いですね。それから競技についても他のラリーと比べて本格的なのも楽しいですね。私たちのクルマはラリーの点数(※ハンディキャップがあり、年式が新しくなるほど厳しくなる)が厳しいのですが、その辺りは競技性が高くて楽しいです」とのこと。そして今年は、「雨が酷いので初日は安全運転で何とかゴール。明日以降は天気がなんとか良さそうなので競技に集中できたらいいなと思っています」と笑う。

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また、いまお乗りのジュリエッタの魅力について、「コンパクトで扱いやすいことです。エンジンは1290ccですが、とてもレスポンスが良く、街乗り、会社の通勤にも使うくらい乗りやすいですね。子供もチャイルドシートに乗せて一緒にドライブしています。街乗りでも使えるし、競技でも楽しめる。非常に扱いやすいクルマですね。え、デザインで好きなところですか?お尻ですね(笑)」と愛おしそうにクルマを眺めながら話してくれた。

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地方にお友達ができました

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続いてゼッケン93番の『ジュリエッタスプリントヴェローチェ』(1959)にお乗りの鳥塚さんはご夫婦で参加だ。9回から10回ほど出場経験があるという鳥塚さんも、「行った先の地域の人たちとの触れ合いが嬉しいですね。たくさん見に来ていただけるのが楽しい」。そして奥様は、「一年に一回、一緒にいる時間が最も長いので楽しいですね。このイベントはずっとナビでルートブックを見ていなければなりませんから、過酷ではありますので、義弟とかわりばんこで出ています」とのこと。そして「このイベントをきっかけに地方に友達ができたんです。見に来てくれた方がたまたまネット上でメッセージをくれて、そこからずっと10年位お友達なんです。行った先で待っていてくれたりして」とエピソードを披露してくれた。

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最後に鳥塚さんはアルファ ロメオの魅力について、「エンジン」と言い切る。「エンジンを回したときの痛快感、エンジンを買ったらクルマがついてきたといわれるくらい魅力ですね。デザインはお尻が好きです」とどうやらアルフィスタはお尻好きが多いようだ。

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五感に訴えるバランスの良さ

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次にゼッケン98番の『ジュリエッタスパイダー』(1961)で出場したのは、もうこのイベントではベテランの域に達する成瀬さんだ。「無事故で無事にこの明治神宮に戻って来られるように神様にお祈りしています。もちろんなるべく良い成績は目指すのですが、最終的には完走を目指して頑張ります」と今年の意気込みを語る。成瀬さんはもう13回から14回は出場しており、「地方に行くと沿道の方々がたくさんいて、勇気とパワーをもらいながら走れるというところが一番魅力的ですね」とのことなので、やはり地域との人々との触れ合いが、このイベントの最大の魅力のようだ。

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そしてアルファ ロメオの魅力を、「アクセルを踏んだ時の気持ちよさやその時のエンジンの感覚。人馬一体というか、ハンドリングやアクセルレスポンス、排気音など全てにおいてトータル的にバランスが取れていて気持ち良いクルマだなと感じています。五感に訴えるイメージですね。このイベントは長丁場のラリーです。山も走れば平地も走るし、上り坂もあれば下り坂もある。そういうところに適したクルマだと思います」と語ってくれたあと、「そう、デザインも魅力のひとつです。特に顔。グリル周りとかライト周りに魅力を感じています」と話してくれた。

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初参加でも20位を目指す

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これまで複数回出場経験のある方々に語っていただいたが、最後は今回初出場のゼッケン96番の『ジュリエッタスパイダー』(1960)でエントリーした塚本さんに話を聞いてみよう。実はこのジュリエッタ、“ASI”のエンブレムが取り付けられていた。これはAutomotoclub Storico Italianoの略で、そのクルマの持つヒストリーの認定機関だ。ASIの認証を取得するのは非常に難しく、当然のことながら認証を得られないクルマもある。塚本さんのジュリエッタはその認証を受け、1台ごとに交付されるナンバーが振られたエンブレムが取り付けられていたのだ。

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「このクルマはオランダにあり、本国のミッレミリアなどに出場していたそうです。つい最近知り合いのショップに輸入されてきて、 どうしても欲しくなって今年の6月に購入しました。元々『ジュリエッタスパイダー』が好きで憧れていましたので」と本当に嬉しそうだ。さらに「実は新しい『Alfa Romeo Giulia Veloce(アルファ ロメオ ジュリア ヴェローチェ)』も乗っているんです。シルバーは日本にほとんど入っていないとディーラーにいわれまして。アルファがいつのまにか2台になってしまいました」と、どんどんアルフィスタになっていっているようだ。その魅力について塚本さんは、「スポーツカーしか作らないところです。セダンでもスポーツカー! それからミラノが好きで、建築関係の仕事で毎年ミラノサローネに行っています。そうするとヴィスコンティ家の紋章を目にすることも多く、これがアルファを連想させますよね。そのアルファ ロメオのエンブレムがカッコよくて、デザインが好きなんです」と心底惚れている様子だ。「いまは憧れていたクルマをついに手に入れた感じです。乗ってみて最高。エンジンの音が良いですね、本当にたまらない。全然スピードは出ていないのですが、200 kmくらい出ているような音がしますよね(笑)」と楽しんでいる様子だ。

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今回ラ フェスタ ミッレミリアは初参加だが、「まさかの雨で驚いていますが、幌が付いていて良かった。PC(※PROVE CRONOMETRATE、通称“線踏み”競技と呼ばれ、A地点からB地点までを○○秒で走れというもの)の練習はしたので20位を目指します」と意気込みを語ってくれた。

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まさに土砂降りの中、インタビューに答えていただいた4組を含めた皆が明治神宮をスタートし、代官山蔦屋書店T-SITEを経由して東北へ向けてステアリングを切っていった。インタビュー中の天気予報は翌日以降回復するはずだったが、残念ながら2日目、3日目とも雨に遭遇。特に3日目の日光周辺はゲリラ豪雨に見舞われ、かなり大変だった様子だ。それでも4日目は快晴に恵まれ、夕方遅くに無事にゴール地点である明治神宮に到着していた。

アルファ ロメオ創立110周年の2020年は多くのセレブレーションを

最後に代官山蔦屋書店T-SITEでのチェックポイントで参加者たちを迎えていた、FCAジャパン・マーケティング本部長のティツィアナ・アランプレセ氏にラ フェスタ ミッレミリアの魅力や今後について語っていただいたので、それをご報告して終わりにしたい。「アルファ ロメオのDNAには、ヘリテージやレースがたっぷりと含まれているのはご存じのとおりです。しかもミッレミリアはアルファ ロメオとすごく深い関係のあるレースです。毎回ここに来ると、アットホームな感じがします。だから今日はとても楽しみにしてきました。残念なことに雨の中ですが皆さんの強い“気”で頑張ってほしいですね」とエールを送る。

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▲FCAジャパン・マーケティング本部長 ティツィアナ・アランプレセ氏

そして、「アルフィスタのコミュニティは昔から日本でも強く根付いています。我々もまずはお客様を大事にしていかなければいけません。もちろんいまクラシックのアルファ ロメオを持っていて、新しいクルマは別のブランドかもしれませんし、あるいは逆かもしれません。でも、どちらも同じアルファ ロメオのパッションを持っていますので、大事なコミュニティだと思っています。ですから、我々はアルフィスタの心と心を繋げていくのが大事だと思っているのです」とイベントへの協賛による、人と人との触れ合いの重要性を語る。

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そしてアルファ ロメオは来年110年を迎える。ティツィアナ氏は、「一年中重要なセレブレーションを多く開催していこうと、たくさん考えています。デザイン、パフォーマンス、モータースポーツ、ヘリテージ。これらのキーワードで数々のイベントを開催しますので、ぜひ楽しみにしていてください」とのことなので、2020年はまさにアルファ ロメオ一色に染まる、東京オリンピックに負けない1年になりそうだ。

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Text:内田俊一(Shunichi Uchida)
Photos:安井宏充(weekend.)/加藤 潤

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