News 2021.08.24

ジュリアGTA、GTAmは110年の集大成だった。カーグラフィック代表・加藤哲也が聞くGiulia GTA/GTAm開発秘話

アルファ ロメオの歴史を語る上で、欠かすことのできない存在である『ジュリア GTA』。1965年に登場し、ツーリングカーレースの世界で無敵を誇った、このアイコニックモデルに敬意を表して開発され、ブランド創立110周年の節目に発表された最新の『ジュリア GTA/GTAm』。その開発秘話を、カーグラフィック代表・加藤哲也氏がイタリア アルファ ロメオ本社のプロダクトマネージャーとチーフエンジニアに聞いた。

あのジュリア クアドリフォリオさえ凌ぐ高性能モデルがついに追加された。その名もGTAとGTAm。60~70年代のレースシーンを席巻したアイコニックなモデル名を戴く2台。その真相に迫るため、開発を指揮したふたりのキーパーソン、プロダクトマネジャーのジョヴァンニ・タリアピエトラと、チーフエンジニアのドメニコ・バニャスコにインタビューを試みた。

まず最初に改めて言っておきたいのは、アルファ ロメオ ジュリアが疑いなく現代最高のスポーツセダンであるという事実だ。それをベースにさらに性能を磨き上げたトップパフォーマーがラインナップに加わるというのだから全貌を知りたい。

アルファ ロメオ プロダクトマネジャー インタビュー

まずはジョヴァンニにGTA/GTAm誕生の背景を聞いてみよう。

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▲写真左:プロダクトマネジャーのジョヴァンニ・タリアピエトラ

ジョヴァンニ・タリアピエトラ(以下GTと記す):今回のGTAプロジェクトは、アルファ ロメオにとってアイコンのひとつである、1965年に生産された初代ジュリアGTAへのトリビュートです。当時のジュリア GTAは、サーキットを舞台にアルファ ロメオが持つスポーティさを強く印象付けましたし、現在まで続いているブランドの柱、“パフォーマンス”“ダイナミックなドライビング”“軽量化”“機能を伴う造形”の4つを体現している車でした。今回のプロジェクトGTAは、この哲学、レシピにインスパイアされたもので、かつての方法論を用いて、同じ延長線上にコンセプトを定めました。すなわちレーストラックで多くの勝利を挙げて歴史に名を刻んだ昔のジュリア GTAと同じように、現代のGTAも、ジュリア クアドリフォリオをかつてのジュリア GTAにとってのベース車両、ジュリア スプリント GTに見立てて、既存のモデルのパフォーマンスを極限まで押し上げるという方法をとりました。したがって、GTAという名前は文脈に沿ったものであるのです。

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実はもうずいぶん前からジュリア シリーズの頂点に位置する高性能モデルが追加されることは、半ば公然の秘密として囁かれ続けてきた。しかしデビューに漕ぎ着けるまでに想像を超える時間を要した。それだけ開発が入念に行われたということだろうか?

GT:おっしゃる通り、ジョルジオ プラットフォームを用いたジュリアとステルヴィオとを投入してから、長い時間が経ってしまいました。この(高性能モデルの)アイディアについても、当時開発拠点であったモデナは『モーターヴァレー』と呼ばれる象徴的なGTを作ってきた土地でもあり、究極のジュリア クアドリフォリオの噂は何年も前からありました。実は社内でも、ジュリア プロジェクトに携わった熱心なエンジニアなどによってアイディアは検討されてきました。しかし当時のアルファ ロメオには他に優先すべきプロジェクトがあったため正式に承認されるには至っていませんでした。

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▲2020年3月に情報解禁されたジュリア GTAmの写真。

我々がこの初期のコンセプトに多少の修正を加えて最適解を見つけ出し、あらためてトップマネジメントにプレゼンテーションできたのは、アルファ ロメオが110周年を迎える節目の時でした。こうしてこのプロジェクトに対する承認をやっと得られたのです。ですから、長い期間プロジェクトが停止していたこともありましたが、実はこの時様々なモディファイが加えられ、さらにアイディアを凝縮させることができました。例えば当時のGTA案は、ジュリア クアドリフォリオを発展させてもっと視覚的にもサーキット指向の強いイメージでした。しかし今回我々は、トラック デイでサーキットを楽しむ一方で、サーキット外でストラダーレとしても使えるように適応できたのです。

なるほどやはり開発が中断されていた時期があったのだ。しかし逆にそれが功を奏したのだろう。GTA/GTAmとも、噂に登ったKERS(エネルギー回収システム)等を備えず、エンジンのパワーアップ、サスペンションのチューニング、軽量化、そしてエアロダイナミクスの追求と、とても伝統的な手法で仕上げられていて好感が持てる。

GT:我々はいま電動化へ向かう進化の真っ只中にいますが、このGTAでは、これまでのノウハウやエンジニアリングを用いて“ラ メッカーニカ デッレ エモツィオーニ(感情の力学)”を究極まで表現したいと考えました。我々は、新しいGTAもまた、アルファ ロメオのアイコンとして歴史に残ると確信しています。ある日、例えば10年後でもいいでしょう、街がEVばかりになったとしても、GTAはその存在価値を保ち続けているはずです。

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なるほどGTAは単なるアニバーサリーモデルでない。これぞアルフィスタに向けたギフト。110年を超えるアルファ ロメオの魂をそのまま具体化した存在に感じられる。

GT:我々はオリジナルのジュリア GTAからインスピレーションを得ました。それは例えばレシピのようなものです。かつてのGTA、ジュリア GTAやGTA 1300 Jr、1750と2000のGTAmは、いずれもサーキットで大成功を収め、歴史を作った車でした。我々が作った新しいGTAにはレースへの参戦計画こそありませんが、オリジナルの精神のもとに新たに作り上げましたので、このあとドメニコがお話ししますが、空力パーツもカーボンファイバー複合材の活用も、見た目を盛り上げるだけでなくパフォーマンスをもたらしています。ですからアルフィスタのみならず、スポーツドライビングを求める人や機能的なデザインを好む人たちにとって、オリジナルのGTAと並ぶアイコンとしての成功を収められることを期待しています。今後、これと似たようなモデルが追加される予定はありませんしね。

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GTAの登場はある意味、想像の範囲内であったけれど、正直GTAmは予想外だった。果たしてどのような差別化が図られているのだろうか?

GT:我々はGTAとGTAmという二つのモデルを、どちらもジュリア クアドリフォリオというクラス随一の高性能セダンをベースとする同じ魂を持ちながら、異なる目的を持った車にしようと考えました。GTAは、家族がいてドライブにも出掛けたいという志向の人向けで、リアに3人が座れるシートがあって、クアドリフォリオが持つ機能をすべて備えています。クアドリフォリオとGTAの違いはパフォーマンスが更に高いことです。

07 ジュリアGTA、GTAmは110年の集大成だった。カーグラフィック代表・加藤哲也が聞くGiulia GTA/GTAm開発秘話
▲ジュリア GTA

一方のGTAmはビポスト(2座)としているとおりGTAとはコンセプトも少し違っていて、よりサーキット志向を強めています。週末を友人たちとサーキットで過ごし、ベストラップに挑む楽しみを求める人向けですね。しかしGTAmもまた、娘を学校へ送っていくために使える車でもあります。

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▲ジュリア GTAm

GTAとGTAmはどちらもストラダーレ、公道向けの車ですから。GTAとGTAmのスペック上の違いは、後者には更なる軽量化が施されていることです。リアシートの代わりに、ヘルメットを置くための特殊な構造物が作られていますし、消化器も備わっています。ロールバーもビルトインされていて、6点式シートベルトのマウントにもなっています。シートもこの車のさらなる軽量化のために、GTAに備わるスパルコ製シートではなく、サベルト製の一体成型フルバケットシートになっています。他にもGTAmだけの特異点があって、インナードアハンドルはドアループ(紐)に置き換えられています。

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▲様々な軽量化が施されたジュリア GTAmの室内。

▼アルファ ロメオ プロダクトマネジャー インタビュー動画はこちらから

アルファ ロメオ チーフエンジニア インタビュー

ここからはアルファ ロメオのエースエンジニア、ドメニコ・バニャスコに、よりテクニカルな質問をぶつけていこう。ドメニコと話すのは8C、4Cの発表試乗会に続き3度目のこと。言い逃れや質問をはぐらかすことの一切ない正直で真っ直ぐな技術者。そんな彼にまずはGTA/GTAmの開発責任者を命じられた時の気持ちを教えてもらった。

ドメニコ(以下DB):最初の気持ちは、「大変な責任だな」というものでした。なぜなら、ジュリア クアドリフォリオという、すでに非常に高い性能を備えているモデルをベースにして更に高度な開発をしなければいけない上、アルファ ロメオのアイコンである60年代のジュリア GTA神話を現代に甦らせなければならない役割だからです。大いに心配しましたが、最初のテスト用プロトタイプが完成して、それを運転した時に、自分たちが正しい道筋に乗っているとわかりました。それでようやく、この仕事が“喜び”へと変わりました。

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▲写真左:チーフエンジニアのドメニコ・バニャスコ

GTAを名乗るからには軽量化は必須だ。かつて60年代はボディ外皮をアルミに替えることで軽量化を図ったが、現代はフロントのスプリッター、リアのディフューザー等目に見える部分はもちろん、フロントのフェイシア、フェンダー、エンジンフードまですべてカーボンファイバーが用いられている。しかもリアウィンドーはレキサン、フロントのガラスは他のジュリアよりも薄いと聞いた。

DB:その通りです。軽量化にはまずカーボンを活用しましたが、これにはプリプレグという、モータースポーツから派生した高機能の素材を使っています。我々はこの素材をフロントのバンパー、フェンダー、リアディフューザーに活用しました。GTAmではシートまでカーボン製になっています。

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▲カーボンプリプレグをいたるところに採用し、軽量化を施している。

軽量化に貢献したのはこれだけではなく、ブレーキディスクにはカーボンセラミック素材を採用しましたし(注:これはクアドリフォリオも同じ)、GTAmではリアシートを外しています。さらに、細かいディテールも見逃すことなく、例えば(GTAmでは)ドアハンドルにまで軽量化の意識を徹底しました。また、先ほどおっしゃった通りガラス類も軽量化を図っていまして、リアウィンドウにはポリカーボネート(レキサン)を採用しています。

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▲ポリカーボネート(レキサン)でリアウィンドウを軽量化。

ジュリア クアドリフォリオ比で、GTAが75kg、GTAmに至っては100kgの軽量化に成功。その一方で、エンジンは540馬力。これは素晴らしいドライビングセンセーションが得られそうだ。

DB:GTAとGTAmの2台はともにサーキットで生まれました。それを公道でも使えるように作られた車です。一般的に、パフォーマンスとコンフォートはトレードオフの関係ですが、この2台はどちらも両立しています。充分に快適でありながら、公道でもサーキットでもしっかりとタイヤが路面をとらえる車になっています。ドライブフィールは最高に楽しいものですし、パフォーマンスについては、我々がジュリア クアドリフォリオで記録したラップタイムをことごとく更新したことからもお分かりいただけるでしょう。一例を挙げると、我々の基準となっているテストコースのバロッコにおいて、GTAmはクアドリフォリオのラップタイムを4秒も短縮することに成功しています。

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▲写真左:ジュリア GTA 写真右:ジュリア GTAm

普通の生活の中の4秒といえば大した時間ではないが、レーストラックでは違う。まさに大差というに相応しい。開発にはザウバーF1チームが加わったというが、その最大のメリットはエアロダイナミクスの改善だったのだろうか?

DB:F1チームとのコラボレーションは我々にたくさんの成果をもたらしました。最たるものはエアロダイナミクスです。空力については、クアドリフォリオでもアクティブエアロスプリッターやリアスポイラーを採用していましたが、さらに細かいところまで掘り下げられました。例えば、我々はフロントにカナードをつけてダウンフォースを増やしましたし、空気の通るスロットを追加してエアフローを整え、車体周りのタービュランスを抑えました。

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▲『アルファ ロメオの聖地』バロッコのコースで行われたテストにはF1アルファ ロメオ レーシング/ザウバー エンジニアリングが参加。また、GTA/GTAmのカーボンファイバー製エアロパーツの開発・製造はザウバー エンジニアリングが主導している。

また、レーキと呼ばれますが、フロントからリアにかけて地上高を変えてアンダーフロアに角度をつけて床下を流れる空気を見直し、それにリアディフューザーを加えることでダウンフォースを増やしました。またF1流という意味では、ホイールの取り付け方法にもその影響が表れています。20インチのホイールはセンターロックのシングルナットで、この方法を採用した市販高性能セダンというのは世界でも唯一です。

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▲専用の20インチアルミホイールにはセンターロック式のシングルナットを採用。

ビデオで見るとライコネンもジョヴィナッツィも、非常に真摯に、かつ楽しそうにドライブしている姿が印象的だった。

DB:先程お話ししたF1とのコラボレーションで参考になったことの中には、アルファロメオ・レーシングのアントニオ・ジョヴィナッツィとキミ・ライコネンがもたらしてくれた意見も含まれます。彼らのサポートは疑う余地もなく有益でした。サーキットで車両を限界付近で走らせた際の運動特性について、その評価の仕方などでとても力になりました。

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▲アントニオ・ジョヴィナッツィ(左)とキミ・ライコネン(右)

GTAとGTAm。この2台の違いを、具体的に聞いてみよう。

DB:外観上の主な違いはエアロダイナミクスの構成です。GTAmには可変式のフロントスプリッターとリアウィングが追加されています。この空力キットはGTAに装着することもできます。サスペンションのチューニングとエンジンは共通です。もうひとつの大きな違いは軽量化ということになります。

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▲ジュリア GTAm

サスペンションの設定、スプリングレート、ダンピングレート、スタビライザーは同一なのだろうか?

DB:はい、サスペンションはどちらの仕様も同じです。ただし、スプリングについてはプリロードの値が異なります。これは車重が異なるので当然ですね。

GTAmは大幅にトラック フォーカスなサスペンションを持つに違いないと思っていただけに、基本セットが共通なことは意外だった。と同時に重量差によってプリロードの変更を律儀につけ加えてくれるとことがドメニコの律儀さを端的に物語っている。だから彼は技術者として信頼できるのだ。トレッドがEU諸元でフロント25mm、リア50mm拡大された効果は大きいのだろうか?

DB:トレッドの拡大は、クアドリフォリオとの比較において、運動性能向上に影響のあったパラメータのひとつです。トレッドをフロントで25mm、リアで50mm拡大したら、サスペンションのセッティングは当然見直されます。さらにステアリング、トルクベクタリング、新しいホイールなどに合わせて全体のチューニングが変更されました。これによって、もともと高かったクアドリフォリオのダイナミック性能を、GTAでさらに高められました。

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▲ジュリア クアドリフォリオ比でフロント25mm、リア50mmのトレッドを拡大。

質問の鉾先をパワーユニットに変えよう。エンジンの出力が540馬力にアップされているが、具体的には何をどう変更したのだろう? 異なるターボやECUが採用されているのだろうか?

DB:エンジンの出力を高めるためにはいろいろと手を加えました。まず過給圧を高めています。そのためにはピストンの冷却性能を高める必要があるので、ピントンの潤滑、具体的にはオイルジェットを1本から2本に倍化して対処しています。さらに、エンジンオイルの冷却を改善しました。またターボは20万回転まで回るように調整してあります。もちろん、ECUにも手を加えましたよ。

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▲キミ・ライコネン(左)とドメニコ・バニャスコ(右)

ただ闇雲にパワーだけを絞り出すのではなく、理路整然と高性能化を図るドメニコの手法は、このジュリア GTA/GTAmでも不変だ。そんな彼が仕上げているのだから心配はないが、栄光の名前を戴くからにはラップタイムやパフォーマンスの向上だけでなく、やはりドライバーエンゲージメント、あるいはドライビングプレジャーが得られないとアルファのアイコンとはなりえない。最後にその点を聞いた。

DB:実際のところ“ピアチェーレ ディ グイーダ(ドライビングプレジャー)”なくしてアルファ ロメオは語れません。これは操縦・操作に対して車がリニアに、一貫性を持って反応し、動いたときにこそ得られるものです。これまでにお話しした通り、シャシーについてはトレッドを拡大してサスペンションにチューニングを施しましたし、タイヤについては、最高のステアリングフィールというとても大切な要素を得るために、ミシュランとともにパイロット スポーツ カップ2コネクトを選びました。他にも、例えばリアの挙動などを挙げてみると、デフのロッキングレートやトルクベクタリングを見直して、コーナーで最適なラインをトレースできるように調整しました。そのコーナーの立ち上がりでは、エンジンがスロットルの操作に対していかに反応するかがポイントになります。こういった要素をすべて組み合わせて、GTAらしい“ピアチェーレ ディ グイーダ”を作り上げたつもりです。

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これによって、すでにハンドリングで定評をいただいているクアドリフォリオと比べても、更にステアリング操作への依存度を低くできました。この成果はラップタイムにも表れていています。我々がテストした全てのサーキットで、クアドリフォリオのタイムを更新しているのです。

聞けば聞くほど素晴らしいスポーツサルーンだという予想が確信に変わる。アルファ ロメオのスポーティネス、強いブランド力は、ジョヴァンニやドメニコのような開発最前線にいる人々が、営々と培ってきたからこそ得られたものだ。
 ミラノに生まれたメーカーが刻んできた110年の歴史。新型GTAとGTAmはその集大成とも言える手法で作り上げられた傑作に違いない。

▼アルファ ロメオ チーフエンジニア インタビュー動画はこちらから

PROFILE

加藤 哲也(かとう・てつや)

1959年2月20日生まれ 東京都出身
玉川大学文学部卒業。テレビ番組制作会社に勤務後、二玄社に入社。自動車雑誌『CAR GRAPHIC』に配属され、副編集長、編集長を務めてきた。2010年4月に二玄社から『CAR GRAPHIC』の発行を引き継ぎ、株式会社カーグラフィックを設立。現在は代表取締役社長として活躍している。

Text:加藤哲也(カーグラフィック代表)

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