Experience 2018.09.06

大人の遊び場「ルーフトップバー」への誘い

バー評論家、エッセイストとして活躍中のたまさぶろ氏がおすすめする、世界のルーフトップバーをイスタンブール、シンガポール、ニューヨークからご紹介する。

その街ならではのダイナミックな景色や、宝石箱をひっくり返したような煌びやかな夜景を見ながら、特別な時間が過ごせるルーフトップバーは大人にとっての格好の遊び場であり、手軽に“非日常”が味わえる。今回は、出版社、CNN本社勤務などを経て、現在はバー評論家、エッセイストとして活躍している、たまさぶろ氏に、この世の桃源郷といえる世界のラグジュアリーなルーフトップバーを3つ、ピックアップしてもらった。

東京にはルーフトップバーが少ない印象があるが、「ないことはないのですが、東京の場合、ルーフトップとは謳っておらず、行ってみたらルーフトップバーなんてことも。実際に足を運んでみないとわからなかったりします」と、たまさぶろ氏。

そもそもルーフトップバーの魅力はどこにあるのだろうか。

「やはり圧倒的な開放感、ではないでしょうか。日本人にとってのビアガーデンと一緒です。季節の風を肌で受け止めるのはやはり気持ちがいいものです。そんな心地よい空間で、お酒を飲むことができるのはやはり楽しいものです」

では、世界に目を向け、写真を見ているだけでも心が踊る、そんな珠玉のルーフトップバーへ出かけてみるとしよう。

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Swissotel The Bosphorus Istanbul(スイソテル ザ ボスポラス イスタンブール)

「ここはぜひ、死ぬまでに行きたいバーに入れておきたい場所です。私がこちらを訪れたのは、仕事先の方がホテルを手配してくれ、どんなホテルかまったく知らなかったのですが、現地の友人に会うということになり、『では、私の泊まっているホテルのバーで』ということになりました。

スイソテル ザ ボスポラス イスタンブールは、イスタンブールの新市街・ベシクタシュ地区にある、アジアとヨーロッパの境界線であるボスポラス海峡のパノラマを望む5つ星ホテルだ。

友人との待ち合わせの時間にバーに行ったところ、そこには筆舌には尽くせない景観が広がっていた。

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「ここを紹介せずにどこを紹介するのかという景観です。オスマン帝国の御座所が置かれていたドルマバフチェ宮殿がある丘の上に建ち、ヨーロッパに身を置きながら、海の向こうのアジア大陸を見ながら飲める。世界でもっとも美しいと言われているブルーモスクも見えるシチュエーションで、なにより夕日も目の前に沈んでいきます。誰もいなければ、ずっと泣きながら飲み続けることでしょう(笑)」

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オスマントルコ帝国の栄華を感じさせる風景を眺めながら、美味しいお酒に酔いしれる──。歴史的にも地理的にもさまざまな物語性を含むドラマチックな風景を眼下にいただく美酒は格別だ。

Fullerton Hotel Singapore(フラートンホテル シンガポール)『The Lighthouse Restaurant & Roof Top Bar(ザ ライトハウスレストラン&ルーフトップバー)』

「観光で訪れた日本の方がとても行きやすい場所にあります」

そう言って教えてくれたのが、フラートンホテル シンガポールの『ザ ライトハウスレストラン&ルーフトップバー』だ。

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マリーナ ベイ サンズの対岸にあるこちらのホテルは、シンガポールきっての観光名所・マーライオンから徒歩圏内。シンガポールに礎を築いた、スタンフォード・ラッフルズ卿が上陸した場所からもほど近い場所にある(ラッフルズ卿の銅像も見ることができる)。観光でシンガポールを訪れた人は必ず足を運ぶエリアといっていい。

「ここ最近、シンガポールではルーフトップバーが人気で、高層階に位置するバーもいくつもあります。ただ、ここはあえて歴史に寄せてピックアップしてみました。ホテルの建物は、1928年に建設されたもの。当時イギリスで流行しつつあった、ドーリア式円柱を備えたパラディアン様式建物です」

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大規模な再開発が行われたこのエリアでは、抜群の存在感を放つ。かつては中央郵便局などに利用されたこともあり、2015年12月にシンガポールの国定史跡として認定を受けている。ホテルとして開業したのは2001年。1階のメインバー、ポストバーには現役の真っ赤なポストが鎮座。壁には中央郵便局のイメージが使われ、同ホテルを象徴する場所となっている。

「ポストバーを目当てに足を運んだのですが、ルーフトップがあるということでのぞいてみました。ルーフトップバーはホテルの最上階にあるのですが、高すぎないところもいいんです。林立する摩天楼に囲まれて、お酒が楽しめます。対岸にはマリーナベイサンズも見えます」

mondoalfa_rooftopbar_7 大人の遊び場「ルーフトップバー」への誘い(画像提供:Wayne0216 / Shutterstock.com)

お酒はポストバーと同じものがオーダーできる。ポストバーでは、オリジナルカクテル『マーライオンカクテル』『シンガポール・フラトンスリング』をオーダーするのも一興だ。

「私も一応傘がついた、ファンシーなものをいただきました(笑)。実はホテルのすぐ脇の道路は、F1のシンガポールGPのコースになっているんです。いつかこのバーで、お酒をいただきながらF1を見たいですね」

William Vale(ウィリアム ヴェイル)『Westlight(ウエストライト)』

「私がニューヨークに住んでいた1990年代は、今ほどルーフトップバーはありませんでした。ここ10年ほどで、ずいぶん増えて来た印象があります」

ニューヨークの中心部、マンハッタン島には有名なルーフトップバーがいくつもある。しかし、今回、たまさぶろ氏がピックアップしたのは、マンハッタンの隣、ブルックリンのブティックホテル・ザ ウィリアムズ ヴェイルのルーフトップバー『ウエストライト』だった。

mondoalfa_rooftopbar_8 大人の遊び場「ルーフトップバー」への誘い©Noah Fecks

mondoalfa_rooftopbar_9 大人の遊び場「ルーフトップバー」への誘い©Noah Fecks

「マンハッタンの夜景を見るには、マンハッタンの外から見る必要があります。ニューヨークに住んでいた頃、日本からニューヨークに遊びに来た友人を夜景に案内するときは、(マンハッタン島の西側の)ニュージャージー州に連れていっていました。今回、(マンハッタンの東側の)ブルックリンを選んだのは、イーストリバー越しに、マンハッタン方面に沈む夕日を見ることができるから。ここから見る、独立記念日の花火も最高だと思います」

ウィリアム ヴェイルは2016年9月にオープンしたスタイリッシュなホテルだ。ホテル内のレストラン、ルーフトップバーは、ニューヨークで数多くの人気レストランを展開する有名シェフ、アンドリュー・カルメリーニが手がけていて、週末にはオープン直後から行列ができる。

「かっこいいバーカウンターを持つルーフトップバーは少ないのですが、ここはカウンターも素敵です。ここではぜひマンハッタンを見ながら、マンハッタンをいただいてみてください(笑)」

mondoalfa_rooftopbar_10 大人の遊び場「ルーフトップバー」への誘い©Noah Fecks

ルーフトップバーでのスマートな楽しみ方のヒントを、たまさぶろ氏に求めたところ、“下調べ”という、ちょっと意外な答えが返ってきた。

「Mondo Alfaの読者である男性がルーフトップバーに行く場合、大抵は女性をエスコートするシチュエーションではないでしょうか。女性をエスコートする際に、勝手がわからずまごまごしていたら大きなマイナスです。初めての場所なら、エスコートの前に下調べをしておくといいと思います」

たしかにニューヨークのルーフトップバーでは、バーへのエレベーターを乗る前にI.D.を求められることも少なくない。混雑時には、鈴なりの人のなか、自分の注文を通さなければならないこともある。感性の原泉ともいえる、リュクスなルーフトップバーを堪能するためには、ちょっとした「予習」が不可欠なのだ。

バーをもっとスマートに生活に取り入れることができれば、人生はより彩り豊かになる──といったら少し大げさだろうか。最後に、親から「お前は、酒を呑まなかったら蔵が建つ」とまで言わしめた、バーという文化を愛して止まないたまさぶろ氏に、ルーフトップバーに限らず、どのようにバーを生活に利用しているかについても聞いてみた。

「デートなど、食事前の待ち合わせに利用することは多いですね。外で待つのは暑かったり、寒かったりしますし、バーでなら、相手が多少遅れても飲んでいたらイライラしません(笑)。ひとりゼロ次会的な役割も果たしてくれます。また、会食などのあと、家に戻る前にひとりで寛ぐことも多いです」

バー、とくに今回、取りあげたようなラグジュアリーなルーフトップバーで景色に、美酒に酔いしれる時間を愛しむ時間でもある。

mondoalfa_rooftopbar_11 大人の遊び場「ルーフトップバー」への誘い

INFORMATION
たまさぶろ

たまさぶろのBAR遊記 https://www.bar-times.com/contents/30134/
Twitter @tamasaburau

Text:長谷川 あや

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