Experience 2019.03.22

伝統と革新を内包し進化する。現代の京都を体現する町家ホテル・四季十楽へ。

築100年近い長屋を現代の感性でリノベーションし、2016年にオープンした京町家ホテル「四季十楽」。京町家を一棟貸しするそのスタイルは京都滞在の新たなトレンドとなっている。四季十楽のサロンと門扉のデザインを手がけた建築家・田根剛氏のコメントを交えながら、その魅力に迫る。

長屋スタイルの京町家ホテル「四季十楽」にはこだわりが詰まっている。ここ数年で、瞬く間に京都ステイの代表的なスタイルとなった町家一棟貸し。その町家の趣きを、ホテルや旅館のおもてなしのなかで楽しめるのも、四季十楽の特長だ。オープンから2年、国内外問わず、多くの人を魅了し続けているのはなぜなのか。その秘密を探るべく、四季十楽を訪ねた。

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国内外の観光客から人気の宿泊スタイル、京町家一棟貸し

ここ数年、京都では、京町家を改装した宿泊施設が人気だ。古都・京都を体感しながら、ステイできると、特に外国人観光客の支持を得ている。

四季十楽は、急増している京町家スタイルの宿のなかでも異色の存在だ。時代の先端を行くクリエイターの協力のもと、築100年近い長屋スタイルの京町家をリノベーション。京都御所の西に位置する閑静な住宅街に2016年12月、10棟の客室、バー、サロンなどの設備を備える四季十楽をオープンした。

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門扉のデザイン、公共スペースや客室に配されたアンティークの家具のセレクションなどは、それぞれの分野のクリエイターが担当。路地と両側の両側に並ぶ10室の客室は、広さ、スタイル、インテリアなど、すべて誂えが異なる。

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たとえば、フロント・サロン棟の2階に位置する「一号室」は、京町家をそのままいかした、ミニキッチンと檜風呂を備えた部屋。窓からは、庭や路地の景色を愛でることができる。

190318_mondo_shikijuraku_020 伝統と革新を内包し進化する。現代の京都を体現する町家ホテル・四季十楽へ。▲一号室

190318_mondo_shikijuraku_01 伝統と革新を内包し進化する。現代の京都を体現する町家ホテル・四季十楽へ。▲一号室

「七号室」の1階は土間の空間になっていて、2階にはワイドダブルサイズのベッドと、部屋にはアンティークのテーブルを配した。「四号室」は、京町家の雰囲気を味わえる1階と、さわやかで開放感のあるモダンスタイルの2階のコントラストがおもしろい。

190318_mondo_shikijuraku_022 伝統と革新を内包し進化する。現代の京都を体現する町家ホテル・四季十楽へ。▲七号室

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▲四号室

なお、各部屋のインテリアは、生活用品のセレクトショップ、Roundabout(ラウンダバウト)を営む小林和人氏が担当。国、時空にこだわらない、大胆なセレクトが楽しい。

路地に植えられた木性シダは、プラントハンターの西畠清順氏のセレクトだ。最奥にある、実際に使われていた井戸の手前には、化石化した珊瑚に自生した、推定樹齢150年の蘇鉄を石ごと配した。

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幹が太く、背の高い木性シダを用いたのには、入口から奥までが一目で見渡せないようにする意味もあるのだとか。決して派手ではないが、木性シダ、蘇鉄、苔など古い起源を持つ植物たちは、京町家が持つロマンと、不思議とマッチする。シンボルツリーともいえる、沖縄から運んできた蘇鉄は、大きな盆栽のようにも思えた。

建築家・田根剛が挑んだ、和文化を表す美の表現

客室の間に続く路地の入口にある門扉と真っ赤なサロンは、パリを拠点に国内外で活躍する新進気鋭の建築家・田根剛氏がデザインした。田根氏は依頼を受けたときの第一印象を、「最も京都らしい、四季の彩りを感じ、多彩な彩りを与える宿と思いました」と語っている。

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曲面のくぼみを持つ門扉は、「見えがくれする京都の文化から、路地へと誘う“門”と屋号を示すような“紋”を重ねました」(田根氏)。

幾何学的な美しさを持つ門扉はブロンズ製で、別の時空へと誘われるような存在感を放っている。

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「シンプルな門扉ですが、構造的には一点支持で回転し、中央の穴のみが筒抜けで、この紋のくぼみを製作するのは高度な技術力が必要でした。唐突ながらも古い町並みに馴染んだ存在感を示し、技術的にも非常に精度の高い世界でも類をみない扉となったと感じています」(田根氏)

小さなフロントを抜けて通されるサロンは、朱赤を基調としており、初めて通された時には多くの人が驚きの表情を浮かべるそうだ。

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「京都の町家の妖艶なる設えとして、古代色の赤を用いて床壁天井を赤で設えました。実はサロンはオープンの3ヶ月ほど前に、現場視察の際に依頼された案件なのですが、その場で“赤く塗る”ことを決断し、一気に仕上げました。京都の文化には“わび・さび”のような渋みを極める文化がありますが、一方で江戸期“かび・みやび(華美・雅)”もまた、和文化を表す美の表現として重要だと思っています。そこで赤といっても、深みある古代色の赤、妖艶なる赤、庭に植えられた濃い緑との補色になる赤にしたいと何度もテストを繰り返しました。真っ赤な空間が想像した以上に居心地が良く驚きました」(田根氏)

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またこのサロンは、朝は朝食会場、昼はカフェ、夜はバーと、時間に応じて姿を変える。まずは、チェックインの後、ゲストはここでウェルカムドリンクとお菓子をいただくことになるのだが、そのお茶菓子、そして、朝食は、料理家の冷水希三子氏がディレクションを担当した。お茶菓子には、菓子屋ここのつの最中を用意。朝食には京都の“おいしいもの”を積極的に使用した。起きがけの身体に沁み渡る旬の野菜を組み合わせたメニューに、体の喜ぶ声が聞こえてきそうだ。

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紅色の空間とアンティークの家具が調和するこのサロンには、京都の伝統や文化、芸術を紹介する書籍が並ぶ。また、お茶を飲みながらゆったりサロンを見まわしてみると、壁が木目になっていることに気づく。ポップでありながらあたたかみを感じるのはそのせいだろうか。

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現代的な感性で進化を続ける古都・京都を体現した空間

案内してくれたスタッフさんによれば、「一棟貸しの町家スタイルと、旅館のいいところ取りを実現したいと思っているんです」とのこと。さらに、町家一棟貸しにはフロントがないのが一般的だが、四季十楽にはフロントもサロンもあり、「お部屋の外でも快適に過ごしていただけるよう、どんどんスタッフと会話をしていただきたいです」と語っていた。

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夕食の用意はないが、フロントにオリジナルの周辺マップが用意されている。部屋やサロンで寛ぎながら、街歩きの計画を練るのも楽しそうだ。

最後に、田根氏にも、四季十楽でのおすすめの過ごし方を聞いてみた。
「夕暮れ時に訪れ、サロンでゆっくりお茶を飲んでから部屋でくつろぎ、夜は街に出て食事を嗜み、夜のサロンでひと時を過ごし、戻って風呂に入る。朝は朝日の光で目覚め、ゆっくりと朝食をとり、そして街へ出る。自分ではまだ実現できていないのですが、それが最も四季十楽を楽しめる過ごし方に思えます」(田根氏)

田根氏は続ける。
「何度も足を運び、違う部屋、違う季節に訪れることで、さまざまな発見や移ろいが感じられることが、古き良き文化の継承にのみ可能だと思っています」

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▲京都の花屋「みたて」主人・西山隼人氏による花の設え

なるほど、四季十楽は、古都としての矜持を守りながら、現代的な感性のもと発展し続ける、京都という街そのものを体現した空間なのかもしれない。

「オープンから2年が経過し、私たちの取り組みも周知されてきました。今後も新たなクリエイターとのコラボレーションを行っていきたいと考えています」(スタッフ)

古き良き京都、現在進行形の京都、その両方の粋を有する四季十楽は、京都の街同様、さらなる進化を続けていく。

INFORMATION

四季十楽 宿泊プレゼントキャンペーン

応募期間:2019年3月22日(金)〜4月10日(水)23:59

宿泊可能期間:2019年5月13日(月)~6月16日(日)の間の1泊2日

1組2名様に京都の町家ホテル「四季十楽」の宿泊(1泊2日朝食付き)をプレゼントいたします。
詳細や応募方法につきましては、下記キャンペーンURLをご覧ください。

MondoAlfa 四季十楽宿泊プレゼントキャンペーン

INFORMATION
四季十楽

住所 京都市上京区油小路通下立売上ル近衛町165
TEL 075-417-0210
URL http://shikijuraku.com/

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Text:長谷川あや
Photos:大石隼土

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