F1 / Alfa Romeo Racing 2022.03.16

まもなく開幕する2022年『フォーミュラ1』! シーズンを戦うニューマシン 『C42』 がついに公開

2月27日(日)、『Alfa Romeo F1 Team ORLEN』の新マシンである『C42』が正式公開された。今回は、まもなく始まる2022年のF1シーズンに先駆けて、今シーズンから大きく変更されたテクニカルレギュレーションの解説と、ニューマシンの『C42』、新たに加入した2人のドライバーについて紹介する。

2022年F1シーズンが開幕

2022_01_23_SBM_C42_Teaser_Production_StillRendering_Endscreen_002_Presentation_16-9 まもなく開幕する2022年『フォーミュラ1』! シーズンを戦うニューマシン 『C42』 がついに公開

まもなく2022年のF1シーズンが開幕を迎える。今シーズンのF1は、70年以上の歴史の中でも最大規模のレギュレーション変更が実施され、勢力図が一変する可能性も秘めている。
F1マシンは、超高速でサーキットを駆け回る“モンスター”である。当然、エンジン+ハイブリッドシステムが発生するパワーも強大だが、そのパワーを活かすために強力なグリップ力を兼ね備えており、信じられないような速さでコーナーを通過することができる。

このグリップを生み出す上で欠かせないのが、“ダウンフォース”である。ダウンフォースとは、空気を活かしてマシンを路面に押さえつけるため力のこと。昨年までのマシンは、このダウンフォースの多くを、マシンに取り付けられたウイングなどの空力パーツで生み出してきた。飛行機はその羽を使って浮力を生み出すが、それを逆に取り付けることで路面に沈み込むような格好になる……と想像していただければ分かりやすいだろうか。

しかし今季は、マシンの前後に取り付けられるウイングの形が制限され、昨年まではそれを補佐する形でマシンの各所に取り付けられていた小さな空力パーツも使用が制限された。つまり、マシンの“上”で発生できるダウンフォース量が著しく減ったわけだ。

しかしその一方で、マシンの下、つまりマシンの床と路面の間で大きなダウンフォースを生み出すことができるようになった。これが、グラウンド・エフェクト効果と言われるモノだ。

F1マシンの床下の気流速度を上げ、気圧を下げることができれば、当然マシンは路面に吸い付けられる。低気圧である台風に向かって、強い風が吹くのと同じ考え方であり、これもダウンフォースを生む要素である。

昨年までのF1も、床下の空気をリヤエンドに取り付けられたディフューザーを用いて後方に引き抜くことで気圧を下げ、ダウンフォースを生んでいた。しかし床下は平らにしなければならず、そこを流れる空気の量は限られていたのだ。

Alfa-Romeo-Racing-ORLEN-C41-1 まもなく開幕する2022年『フォーミュラ1』! シーズンを戦うニューマシン 『C42』 がついに公開
▲2021年のマシン『C41』

ただ今季からはそこに“ベンチュリ・トンネル”という空気の通り道が設けられ、より多くのダウンフォースを発生させることができるようになった。つまり簡単に言えば、昨年までのF1マシンはマシンの“上”でダウンフォースを発生させていたのに対し、今年はマシンの“下”でダウンフォースの大半を発生させる……そういうコンセプトになったわけだ。

これにより各チームともコンセプトを根本的に変更する必要に迫られたため、勢力図が大きく変わる可能性が生じているわけだ。

ここまで合同テストも行なわれたが、まだまだ勢力図は見えてこず、例年にもまして開幕戦が楽しみ……そんな2022年のF1となっている。

今シーズンのF1を戦うニューマシン『C42』

その新シーズンにチームが登場させたニューマシンが、『C42』である。赤と白で塗り分けられたカラーリングは、アルファ ロメオのデザイン部門“チェントロ スティーレ”が手がけたといい、ドライバーたちも絶賛。メインスポンサーにはポーランドのエネルギー企業『PKN ORLEN』がついた。

08_Alfa-Romeo-F1-team-ORLEN-C42 まもなく開幕する2022年『フォーミュラ1』! シーズンを戦うニューマシン 『C42』 がついに公開
▲『C42』

この『C42』はカラーリングだけでなく、その形状にも意欲的に見える部分がいくつもある。その中でも特筆すべきは、サイドポンツーン(マシンの横に膨らむ部分)の形状である。

今シーズン、このサイドポンツーンのデザインは、チームによって様々。そんな中アルファ ロメオは、膨らみが前後に長い形状を採用してきた。これにより、サイドポンツーン上面を流れる気流でリヤウイングを、サイドポンツーン下の抉られた部分を通る気流でディフューザーを、それぞれ活かそうと考えているものとみられる。

18_Alfa-Romeo-F1-team-ORLEN-C42 まもなく開幕する2022年『フォーミュラ1』! シーズンを戦うニューマシン 『C42』 がついに公開

04_Alfa-Romeo-F1-team-ORLEN-C42 まもなく開幕する2022年『フォーミュラ1』! シーズンを戦うニューマシン 『C42』 がついに公開

中でも特筆すべきは、サイドポンツーンの上に設けられた、おろし金のような部分。これはルーバーと呼ばれ、サイドポンツーンの中にレイアウトされているラジエーターやエンジンの熱を放出するための開口部となっている。ただこのルーバーは、冷却のためだけのモノとは到底考えにくい。ルーバーのギザギザを活かしてサイドポンツーンの上を流れる気流をうまくコントロールし、マシンのパフォーマンス向上に活かそうとしているのは間違いないだろう。

30_Alfa-Romeo-F1-team-ORLEN-C42 まもなく開幕する2022年『フォーミュラ1』! シーズンを戦うニューマシン 『C42』 がついに公開
▲『C42』のルーバー

『C42』は、スペインのカタルニア・サーキットで行なわれたテストでは信頼性の問題に苦しむ場面もあったが、今後どのようなパフォーマンスを発揮していくのか、注目の1台であるのは間違いない。

新たに加入した2人のドライバー

この『C42』をドライブするのは、バルテリ・ボッタス選手と周冠宇(ジョウ・グアンユー)選手のふたりだ。

06_Drivers まもなく開幕する2022年『フォーミュラ1』! シーズンを戦うニューマシン 『C42』 がついに公開
▲周冠宇選手とバルテリ・ボッタス選手

ボッタス選手は昨シーズンまで最強チームの一角であるメルセデスに在籍。2017年から昨年までの5年間で、F1通算10勝を挙げた。2019年と2020年には、チームメイトのルイス・ハミルトン選手に次ぐランキング2位となっている。

ただメルセデスは、ハミルトン選手中心のチーム。ボッタス選手としてはなかなか自由に戦うことはできず、サポート役を命じられることも多々あった。そして、伸び伸びと活躍できる環境を求めていた中、アルファ ロメオ入りが決定した。

07_Valtteri-Bottas まもなく開幕する2022年『フォーミュラ1』! シーズンを戦うニューマシン 『C42』 がついに公開

▲バルテリ・ボッタス選手

ボッタス選手はメルセデスに加入する前には、ウイリアムズで4シーズンを過ごした。当時のウイリアムズは既にトップチームではなかったが、安定した走りを披露。度々表彰台も獲得するなど、印象的な活躍を見せていた。そんなボッタス選手が新天地アルファ ロメオでどんな活躍をするか? 本人も「表彰台を目指したい」と語っており、その走りが今から楽しみである。

そんなボッタス選手のチームメイトが、ルーキーの周冠宇選手である。周選手は、中国人初のF1ドライバー。彼の活躍によって、中国でのF1人気が左右されると言っても過言ではないだろう。
上海生まれの周選手は、幼少期に家族と共にイギリスに移住し、レースキャリアをスタート。フェラーリ・ドライバー・アカデミー入りを果たすと、2015年にはイタリアF4でランキング2位になった。2019年からはルノーのドライバーアカデミーに移籍してFIA F2に参戦。ルノーF1のテストドライバーも務めた。F2での1年目はランキング7位、2年目は6位、そして2021年には4勝を挙げてランキング3位に入り、F1参戦に必要なスーパーライセンスを獲得することに成功した。

07_Zhou-Guanyu まもなく開幕する2022年『フォーミュラ1』! シーズンを戦うニューマシン 『C42』 がついに公開

▲周冠宇選手

近年のF1では、シーズン開幕前のテスト走行の機会が著しく限られており、新人ドライバーが活躍するのは至難の業。特にシーズン序盤は、周選手にとっては厳しいレースが続くだろうことは間違いない。しかしそんな中でも光るところを見せれば、来シーズン以降のシートもついてくるはず。その2年目こそが勝負と言える。

まもなく開幕する2022年のF1。ここ数年、激しい戦いが繰り広げられているF1だが、今シーズンはそれ以上に、目を離せない1年となるだろう。そしてそんな激戦の中で、アルファ ロメオのふたりが輝きを放つレースが訪れるか? お見逃しなく!

16_Alfa-Romeo-F1-team-ORLEN-C42 まもなく開幕する2022年『フォーミュラ1』! シーズンを戦うニューマシン 『C42』 がついに公開

Text:田中健一(motorsport.com日本版)

POPULAR