News 2019.02.19

雪上で感じたステルヴィオのアルファ ロメオらしさ──安定性とスポーティーな走りの両立

アルファ ロメオ初のSUV、ステルヴィオの雪上試乗会が北海道で開催された。ステルヴィオに搭載されたアルファ ロメオ独自の4WDシステムは雪道でどのような威力を発揮するのか、モータージャーナリストの嶋田智之氏がレビューする。

Alfa Romeo Stelvio(アルファ ロメオ ステルヴィオ)』に関心をお持ちの方であれば、このクルマが抜群にハンドリングに優れたSUVらしからぬSUVであり、走らせる楽しさや気持ちよさにおいてこれを凌ぐモデルはちょっと見当たらない、というような評価をあちこちから受けていることはとっくに御存知のことでしょう。けれどこれまでの高評価は、基本、乾いた一般道やワインディングロードなどにおけるもの。雪道など滑りやすい路面での評価には、お目にかかったことがありませんでした。ステルヴィオが4WDシステムを備えていて、その一連の仕組みが“曲がる”ことを巧みに支えてくれるスポーツ4WDとでもいうべきものであることは存分に理解できていますが、果たしてそれは日本の“冬の路面”の上ではどんな風に作用するのか、誰も知らなかったのです。

ところが今回、真冬の北海道の雪景色の中でステルヴィオを走らせる機会が巡ってきて、その実力を試すことが叶いました。僕は東京在住で降雪の予報が出たらクルマで外出することは控えるタイプですから雪道や氷結路でのドライビングに自信があるわけでもありませんし、そもそも「ドライ(路面)主体の4WDでしょ」という先入観が出来上がっていたせいか、正直なところ大きな期待感は持ってなかったのですが、結論から申し上げるなら、ステルヴィオはそうした諸々を綺麗サッパリ覆してくれたのでした。それも「ああ、やっぱりアルファ ロメオなんだな」という感慨とともに──。

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アルファ ロメオ独自の最新式4WD、ステルヴィオ

いったいどんなところがアルファ ロメオらしかったのかといえば……と勇み足をする前に、ステルヴィオの4WDシステムについて軽くおさらいをしておくべきでしょうね。Alfa Romeo Q4と呼ばれるこのシステムは、電子制御によるオンデマンド式の一種。エンジンが生み出したチカラは、通常は100%後輪に送られ、必要が生じたときのみ最大50%のチカラが前輪に送られます。つまり普段は後輪駆動らしいレスポンスに優れた気持ちのいい走りを楽しむことができ、いざとなれば全輪駆動ならではの安定性、駆動力、安心感を得ることができる、という仕組みです。

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その“いざ”は、縦方向の加速度(=速度の加減速の度合い)、横方向の加速度(=横Gの強弱の度合い)、それぞれのタイヤの回転速度、ステアリングの蛇角(=操作角の深浅の度合い)、アクセル・ペダルの踏み込み具合、そしてドリフト・アングル(=横滑りしたときの角度)などを連続的にセンシングすることで検知します。そして検知と同時に瞬間的に必要なところに必要なだけの駆動力を送るという対処をし続けます。つまり、スタビリティ・コントロール(横滑り防止)やトラクション・コントロール(駆動力制御)、アンチスリップ・レギュレーション(駆動輪の空転防止)、ブレーキ・フォース・ディストリビューター(制動力配分)を含むインテリジェント・ブレーキング・システムなどの電子デバイス類、さらにはエンジンの特性やトランスミッションの変速スピード、パワーステアリングまでも含めた統合制御システムであるALFA™️ DNAとも密接に作用し合っているわけですね。

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後輪駆動ベースですから、通常、エンジンが生み出したチカラは8速のオートマティック・トランスミッション→カーボン製のリア用プロップシャフト→リアのドライブ・ユニット→後輪という流れで路面に伝達されるわけですが、アルファ ロメオはアクティブ・トランスファー・ケースという機構を開発し、トランスミッションとリア用プロップシャフトの間に置いています。そのアクティブ・トランスファー・ケースにはクラッチが内蔵されていて、それをアクティブ制御することでフロント用プロップシャフトを介して前輪へと駆動力を振り分ける、というのがQ4システムの基本です。この辺りにはまだまだ語るべきこともたくさんあるのですが、今回は割愛。ものすごく複雑な制御を瞬間的かつ連続的に行う機構を持ったアルファ ロメオ独自の最新式4WD、と覚えていただければよろしいかと思います。そうした細かいことを知らなくても、効果は充分に体感できるし、理解できるからです。

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雪上でも安心・快適なドライビングフィール

走ることができたのは、北海道の千歳市から支笏湖を経由して伊達市までのおよそ80kmの一般道、そして新千歳モーターランドの中に設けられた特設コースでした。ちなみに試乗車はファースト・エディションで、20インチ・タイヤの代わりに18インチのスタッドレス・タイヤを履いていました。

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一般道では舗装の上で雪や氷がシャーベット状になっている路面、完全な圧雪路、圧雪路にところどころ氷った部分が散らばるハイブリッド、圧雪路の上に新雪がうっすら積もった路面、そして20cmほどの深さの新雪、といった具合でした。もちろん一般道ですから当たり前といえば当たり前なのですが、交通の流れに沿って注意深くドライブする限り、それらのどの路面においても、ステルヴィオは何ひとつ難を感じることなく走ってくれました。凍結してる部分を踏みつけたときなどに一瞬タイヤが空転した気がすることもありましたが、クルマの姿勢は乱れるわけでもなく、しっかりと安定しきったまま。それはカーブが続く場所でも同様でした。発進加速、コーナリング、ブレーキング。ALFA™️ DNAシステムの3つのドライブ・モードも全て試しましたが、アクセル操作に対してエンジンの回転の上昇がおとなしめになるA(アドバンスド・エフィシェンシー)モードが最もリラックスして走れる感じではあったものの、最も元気なD(ダイナミック)モードを選んでも何の問題もなし。いかなるときも安心感を覚えながら走ることができました。それはもう呆気なかったぐらいに。

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もう一方の特設コースは、冬期以外はカートやジムカーナなどに使われている、クローズド・コース3種類。ここでは最初にNモードやAモードで様子見をしながらゆっくり走ってみた後は、ほとんどDモード固定で、ちょっとばかり元気よく行かせていただきました。基本は圧雪路、ところどころ凍結路といった路面の上でどんな動きを見せてくれるのか、試したかったからです。

静止状態から勢いよくスタートしようとすると、後輪が一瞬だけ空転したかしないかのうちに前輪が駆動を開始するのが判ります。同時に後輪にも制御が入り、空転を抑えながら効率よくスルスルと加速を開始します。いつまでも雪かきをするだけで前には進まない、なんてことにはなりません。多少のラフなアクセル操作は吸収してくれる、というわけですね。

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一般道を走っているときの不測の事態を想定してブレーキ・ペダルをベタ踏みにするフルブレーキングも試してみましたが、タイヤがロックしたまま滑るだけ滑って停まらない、ということもありません。ロックしたかしないかのうちにABS(アンチロック・ブレーキ・システム)が作動して、巧みに速度を削ってくれます。滑りやすい路面でブレーキ・ペダルを踏むことに関する不安感は、全くありません。その際のABSの作動音やペダルに伝わってくる振動も、全く気にならないレベルです。

コーナーではどうか。それが驚いたことに、圧雪路の上であっても、巧みなバランスを感じさせながら、とてもスムーズに気持ちよく曲がってくれるのです。50対50という前後重量配分が、こうしたシチュエーションでも効いているのでしょうね。そういえば、12対1というクイックなステアリング・ギア比がこういう場面ではちょっとした緊張感を生むのではないかと懸念していたのですが、全く気になりませんでした。逆にステアリングの操作量が少なくてすむので──ここは人によって感じ方に違いがあるかも知れませんが──走らせやすかった、と感じたくらいです。2リッター・ターボのエンジンも低回転域から力強いトルクをもたらしてくれるので、ペダルを必要以上に強く踏み込むこともなく、それも走らせやすさに繋がっていました。

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雪上で感じた“アルファ ロメオらしさ”

こうした道では、クルマによっては電子制御がバリバリに効きまくってただひたすらベタベタに安定して前にも横にも思ったように進ませてくれない、というようなこともあるのですが、ステルヴィオは少々違います。もちろんある程度の領域までは──とりわけAモードでは──そうした安心感の高い状態で走ることができるのですが、もう少し元気よくいってみようと試みれば、ちゃんと応えてくれるのです。

いかに路面が滑りやすい雪上であっても、なるほど、クルマの動きはあくまでも後輪駆動ベース。ブレーキングで前輪に荷重を載せた状態でステアリングを切り込むと後輪がツーッと滑ろうとするのは駆動の型式に関わらずほぼ共通といえるものですが、このクルマではコーナーからの脱出のときにアクセルを踏み込むと後輪がアウト側に向かって流れていこうとする動きを見せるのです。それはほとんど一瞬といえる間の出来事で、瞬時に前輪にも駆動が入って引っ張っていってくれるから、そのままだらしなく外側に飛び出しちゃったりすることもスピンしちゃったりすることもなさそうです。

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2〜3周もするととりわけ滑りやすいコーナーというのも解ってくるので、ならば……とばかりに、そのコーナーの脱出時にわざとアクセルをベタ踏みに近く踏み込んでみました。すると一瞬、ズルッ!と見事に後輪が滑り、深めのカウンターステアを強いられたのですが、半分近くスピンしたようになりながらステアリングを深く切り込んでいるその状態だと、いくらアクセルを強く踏んでみてもエンジンはそのとおりにチカラを生み出すことはありません。前輪と後輪に適切なだけの駆動力を与えながら、ステアリングが向いている方向へとゆっくり車体の向きを変え、ステアリングが戻っていくに従って少しずつ速度を上げていく、という動きを見せました。スピン・アウトしたり逆に巻き込むような動きになるのを防ぎ、クルマをドライバーのコントロール下に戻していく、という制御になるのかもしれません。

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逆に路面の滑りやすさ、タイヤの性能、コーナーへのライン取り、アクセルの踏み込み具合、そしてスピードといった諸々のバランスが取れている状態のときには、後輪がツーッと滑りつつ前輪がググッと引っ張ってくれつつ、ステアリング操作は曲がるきっかけだけであとは直進状態に保ったまま──つまりカウンターステアを全くあててない状態で──コーナーを抜けていくのを許してくれたりもしました。いわゆるゼロ・カウンター・ドリフト、というヤツですね。そのスウィートな状態にクルマを持っていこうとしながら走るのはめちゃめちゃ楽しいし、綺麗に決まったときには素晴らしく気持ちいいのです。ちゃんと雪道でもスポーティに走れる領域を作ってくれている辺り、「ああ、これはやっぱりアルファ ロメオなんだな」と強く強く感じられて、おそらく僕は満面の笑みを浮かべていたことと思います。

「ステルヴィオ、やっぱりいいなー!」という気持ちが困るぐらいに強くなった雪上テスト・ドライブでした。

190220_mondo_stelvioonthesnow_15 雪上で感じたステルヴィオのアルファ ロメオらしさ──安定性とスポーティーな走りの両立▲写真協力:FCAジャパン株式会社

今回登場したクルマ

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Alfa Romeo Stelvio

Alfa Contact
0120-779-159

Text:嶋田智之
Photos:安井宏充(weekend.)

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