Vision 2019.10.08

裏赤坂の大人の隠れ家『炭火割烹 白坂』井伊秀樹氏、その料理の神髄に迫る

『Art of Taste』は、人々の五感を揺さぶるアルファ ロメオの美学を、食をモチーフに“味わう”プロジェクトだ。その第3弾として、『炭火割烹 白坂』の井伊秀樹氏が登場。11月に行われる、井伊氏の料理を写真家のAlfonso Catalano氏がアートに仕立てる“食のアートイベント”を前に、井伊氏にインタビューを敢行。料理人を目指した経緯とこれまでの歩み、そして、今回のコラボレーション企画に対する意気込みを伺った。

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炭火割烹 白坂』は、千代田線の赤坂駅の出口を出て、ゆっくり歩いても2、3分足らずの場所にある。メイン通りから一本入っただけにも関わらず、都会の喧騒から離れた静謐な佇まいの一軒家で、足灯篭が灯る石畳からのアプローチにも心が躍る。白い暖簾の向こうには、カウンター9席、個室1つの楚々とした空間が広がっている。ここが井伊秀樹氏の“舞台”だ。隠れ家という、少し使い古された言葉がしっくりとくる。

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井伊氏は、世界のベストレストラン50で、世界ランク第4位に輝いたこともあるシドニーのレストラン『Tetsuya’s』で副料理長を務めたのち、ニューヨークで国連大使の専属公邸料理人を拝命するなど、華麗な経歴を持つ。その井伊氏が、帰国後、2014年11月にオープンしたのが、この『炭火割烹 白坂』だ。まもなく5年目を迎える同店は、ミシュランガイド東京2019で1つ星を獲得した。

井伊氏は1976年、東京・世田谷区に生を受ける。そもそもなぜ料理の世界に足を踏み入れたのだろうか。

「両親が街の中華料理店を営んでいたんです。お客さんが落ちつくまでは自分たちは食事をすることができませんから、自然に自分で料理を作るようになっていました。料理人になろうと思ったのは、高校生くらいのときだったと思います。ちょうど『料理の鉄人』が盛り上がっていた頃で、道場六三郎さんがとてもかっこよくて。また、毎日、食べ続けられるものがいいなと思ったのも、和食の料理人を志したきっかけのひとつです」

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▲井伊秀樹氏

都内和食店で研鑽を積んだあと、20歳半ばで『Tetsuya’s』の和久田哲也氏と出会い、シドニーへ渡ることを決意する。

「初めて『Tetsuya’s』の料理をいただいたとき、大きな衝撃を受けました。自分が体験したことのない料理でした。僕の料理人生、この店で働かなければ始まらないと強く思いました」

『Tetsuya’s』の料理は、“モダンオーストラリアン”“ジャパニーズ・フレンチ”、さらには“モダン・ジャパニーズ”などさまざまに評される。それだけ懐が深く、また個性的ということだろう。その店で、井伊氏は副料理長まで上り詰めた。

今回の『Art of Taste』では、イタリアの飲料メーカー『サンペレグリノ』がサポートに加わる。サンペレグリノについて尋ねると『Tetsuya’s』での微笑ましいエピソードが飛び出した。

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「僕がオーストラリアに行った頃は、まだ日本人の間で炭酸の水を飲む習慣がなく、『Tetsuya’s』で初めて『サンペレグリノ』を飲み、なんて美味しいんだろうと思いました。『Tetsuya’s』では、当時、シェフとスーシェフ(副料理長)だけが仕事中にボトルでサンペグリノを飲むことができたんです。“選ばれしものが飲める水”という印象で、自分が飲めるようになったときはうれしかったですね(笑)」

その後、井伊氏はニューヨークで、国連大使の専属公邸料理人として腕を振るうこととなる。

「専属公邸料理人は、“食の外交官”とも言われる存在。日本人の大使の日々の食事や各国の大使との会食の料理を担当し日本の文化を伝える役割を担っています。国連の大使の専属ということもあり、本当にいろいろな国の方に料理を作らせていただきました。とても勉強になりました」

ニューヨークには3年弱滞在し、任期満了につき帰国。2014年11月に、『炭火割烹 白坂』のオープンに至った。

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「海外に出て痛感したのは、日本ほど、いい食材が入手しやすい場所はないということです。そんな恵まれた環境で、自分の料理を作りたいと考えました」

『白坂』という店名は、赤坂という地名にちなんだ遊び心から。「なんとなくおめでたい感じがするじゃないですか」。“炭火割烹”というスタイルを選んだのは、「何かに特化したほうがいいかなと(笑)」と井伊氏。炭火について、とくに詳しいわけではなかったのだが、「炭火を取り扱ってみたかったんです」。また、「肩肘をはったカウンター懐石ではなく、気楽に楽しんでいただきたい」という思いもあったという。

「楽しいですよ、炭火は。車で例えるとオートマティック車はガス火、マニュアル車は炭火といったところでしょうか。炭の配置を変えただけで料理の仕上がりも変わってくるので、そこをコントロールするのも面白いです」

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たしかに“炭火割烹”という言葉はわくわくする。しかし、いったいどんな料理が出てくるのだろうか。なかなか想像がしづらい。

「ひたすら焼き物が出てくると思って来店される方もいらっしゃいますが(笑)、炭で香りをつけたり、スモークしたり、炭に藁を加えたりと、いろいろなかたちで炭を使っています。店をオープンしてもうすぐ5年になりますが、毎日が新鮮です」

オーストラリア、アメリカでの経験を持つ井伊氏は、和の伝統を大切にしながら、洋の調理法を用いることも少なくない。たとえば、低温でゆっくり火を入れ仕上げる真空調理はフレンチでよく用いられる手法だ。しかし、目指しているのは、あくまでも、「素材の持ち味をいかした和食」だという。

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「僕が日々、大切にしているのは、お客様がその時期、いちばん食べたいものを、その食材が最も美味しく食べられる方法で提供すること、そして、伝統を踏まえながら、もう一度、食材を見つめなおしたいということです。奇をてらうことは考えていませんが、その食材を食べ飽きている人にも、新鮮味を感じてもらえるような料理を心掛けています。基本的に、去年と同じ料理はお出ししません」

提供するメニューはおまかせコースのみ。潔い。これに、ワインや日本酒のペアリングをつけることもできる。サービスを取り仕切る“番頭”の海東高太氏と井伊氏はソムリエの資格も持っており、安心しておまかせできる。

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なお、今回の『Art of Taste』第3弾では、イタリア大使館によるイタリア料理週間のオープニングイベントのひとつとして実施される“COLORTASTE”という国際的なアートプロジェクトにも参画する。井伊氏は『Alfa Rome Giulia(アルファ ロメオ ジュリア)』とともに新潟に食材選びの旅にでかけ、その食材を用い、料理を製作。これを写真家のアルフォンソ・カタラーノ氏がアートに仕立てる。

「新潟は両親の出身地。ゆかりのある場所です。ただ、いつも決まった場所にしか行かないので、今回の旅が新しい食材との出会いのきっかけになればうれしいですね。実は免許をとったばかりの頃、早速、新潟まで車を走らせたんですよ。車の運転は好きですね。外界から守られた安全な空間のなか、どこまでも行くことができます。普段はオートマティック車に乗っているのですが、それこそ新潟の田舎などで、マニュアル車を運転するのもわくわくします。ガスと炭火の違いのように、不自由さが楽しいといいますか(笑)」

あわせて、『Art of Taste』プロジェクトへの意気込みを尋ねた。

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「今回、“イタリア”という宿題をいただきました。イタリア料理は、世界でいちばん親しまれている料理というイメージがあります。イタリアとコラボレーションするプロセスも楽しみたいですね。イベントの企画を聞いたとき、アートの世界は、自分の感覚を駆使し、イメージをお皿に乗せる料理人の仕事に似ているのかもしれないと、親近感も覚えました。アート作品がどう仕上がるかも楽しみです」

「自分が行きたい店を作ろう、自分が美味しいと思う料理を提供しよう」という強い思いで店をオープンさせた井伊氏は、「オープン当初にやっていたことと、今やっていることは確実に違います」と、力強く語る。ミシュランも認めた、注目の和食店は日々進化を遂げている。イベントはもちろん、“イタリア”との邂逅で、井伊氏の料理がどう変化していくかも楽しみだ。

最後は井伊氏の言葉で、この記事をしめたい。

「料理人は食べてくれる人がいてこそ。料理を作り、提供できる舞台があるのは本当にありがたいことです。今回のイベントへの参加が、『炭火割烹 白坂』を知っていただくきっかけになればいいと考えています。美味しいものをお出ししますので、ぜひ白坂にもいらしてください」

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INFORMATION

「世界イタリア料理週間」オープニングイベントへ20組40名様を抽選にてご招待

イタリアの食文化をより多くの方に知っていただく「世界イタリア料理週間」。在日イタリア大使館で開催されるオープニングイベントに、抽選で20組40名様をご招待いたします。 当日は料理を芸術として表現するフォトグラファー、アルフォンソ・カタラーノ氏のパフォーマンスを実施。井伊シェフが生み出す芸術的な日本料理を、どのように写し出すのか。 本イベントでしか見ることのできない「食とアートの融合」を、ぜひご堪能ください。

応募期間 2019年10月8日(火)〜2019年10月15日(火)23:59まで

開催日時 2019年11月8日(金)16:00〜21:00(開場 15:45)

開催場所 在日イタリア大使館公邸

ご応募はこちらから
https://www.alfaromeo-jp.com/info/campaign/2019/art-of-taste/project03/

INFORMATION
炭火割烹 白坂

住所 東京都港区赤坂6-3-9
TEL 03-5797-7066
営業時間 17:30~23:00
定休日 日曜
URL http://shirosaka.jp/

Text:長谷川 あや
Photos:Nozomu Toyoshima

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