Vision 2020.01.24

体に優しいブランドを創った京都の老舗和菓子屋『亀屋良長』の、和える力

アルファ ロメオのバレンタイン試乗キャンペーンで配布されるお菓子を制作している、老舗の和菓子屋『亀屋良長』の八代目ご夫婦が立ち上げた新ブランド『吉村和菓子店』。天然甘味料や自然由来の素材を使用し、伝統を守りつつも、革新的で体に優しい和菓子を生み出している。八代目を継承した当主と老舗に嫁いだ夫人に新ブランドに託した思いや願いについて話を伺った。

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今年のアルファ ロメオ『バレンタイン試乗キャンペーン』でプレゼントされるのは、京都で200年以上の歴史を有する和菓子屋の『亀屋良長』が2016年に設立したブランド、『吉村和菓子店』の『焼き鳳瑞<待ち春>』だ。

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▲『焼き鳳瑞<待ち春>』

その和菓子を含むブランド全体の特徴は、白砂糖の代わりに血糖値の急激な上昇を抑える低GIの天然甘味料やココナッツシュガーなどの自然由来の甘味料を使用したこと。この試みは、伝統を重んじる和菓子屋の革新的な挑戦だっただけに大きな話題となった。

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しかし八代目を継承した当主と老舗に嫁いだ夫人には、時代への追従や話題づくりを越えた、かつてない和菓子づくりに取り組む切実な理由があった。『吉村和菓子店』を立ち上げた夫妻に、新ブランドに託した思いと願いをたずねた。

家業を継ぐ気はまるでなかった

「200年なんて京都にしたら自慢できる古さじゃないですよ」

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▲八代目・吉村良和氏

これは、享和3年(1803年)以来、和菓子づくりに欠かせない良質な水が湧く四条醒ヶ井(さめがい)で店を構え続けてきた老舗に賛辞を贈ったときの、八代目・吉村良和氏の返答だ。
皮肉を口にしたわけではなく、飄々と語るこの方の興味深い経歴があってこそ現在の『亀屋良長』がある。その興味は、伝統ある和菓子屋の長男として生まれながら家業を継ぐ気がまるでなかったという逸話に端を発する。

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「ものをつくるのは得意で、中学時代からは料理好きになりましたけれど、とにかく京都の重苦しい雰囲気が嫌で、大学は自然が豊かな長野に行きました」
それでも結局は、と問えば、その理由も肩透かしを食らうようなものだった。
「就活が始まった頃、友人が言ったんです。実家があるなら俺は継ぐと。そういうものかと思って、まさにサラリーマン気分で実家に就職しました」
初年度は店に出て働き、2年目は営業。3年目に製造へ移ったのは、菓子づくりに直接携わらない『亀屋良長』の当主候補としては異例の人事だったという。

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夫妻を襲った人生を激しく揺さぶる事件

八代目夫人の由依子氏との出会いと結婚も、なかなかにユニークな展開だった。
「この人、長野の大学時代はバイオリンを弾いていたんですよ」それを明かさなかった八代目は、目を逸らして静かに笑っていた。

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▲写真左:八代目夫人・吉村由依子氏

「主人は京都でも弾く機会を探していたらしいんです。それを知った吉村の母と、バイオリンを弾いていた私の母が知り合いだった縁で、主人はよく私の家に出入りしていました。で、いつしか付き合うようになって……」
この時期の由依子氏は、大学で学んだ食物栄養科学を生かし、フランスの料理学校で研修後に帰国。料理関係の仕事に就くことを望んでいた。それで和菓子屋に嫁ぐのも希望の範ちゅうかもしれないが、老舗への嫁入りに抵抗はなかったのだろうか。

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「付き合い始めてから結婚式まで約3ヵ月。親戚も止める暇がなかったですね。実は吉村の母の体調が思わしくなかったのも理由の一つです。また私自身も23歳と若かったので、勢いに任せたところもありました」由依子氏が話し終えたところでわずかな間を取り、良和氏が口を開いた。
「それから、私の母を診てくれた病院の先生が妻の父親でもあったんです」
並んで座る夫妻を見ていて、結ばれるべきご縁というものがあるのだろうと思った。そうして始まった結婚生活が6年目を迎えたとき、二人の人生を激しく揺さぶる事件が起きた。酒宴から戻った良和氏が自宅近くで転倒。頭部の怪我の治療中に脳腫瘍が見つかったのである。

自分のような人にも幸せを感じられる菓子をつくりたい

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完全復帰に要した歳月は2年。その間、良和氏に大きな変化が起きた。肉や魚、乳製品、砂糖と粉の組み合わせなど、多くの食品を体が拒むようになった。そんな変調が疑問を沸き起こした。
「元より和菓子は非日常的な贅沢品なので、精製した砂糖などをふんだんに使い、強いて言えば栄養バランスを無視したものでした。それがしんどくなった自分が伝統的な和菓子を売っていいものかと……」
「主人が幸いだったのは」と由依子氏が言葉を継ぐ。「病気を経て嗅覚が鋭くなったことです。自分の体に負担がかかるものを嗅ぎ分けられるようになりました。それと、リハビリを兼ねて始めたヨガのおかげもあってポジティブな性格に変わったんです」

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それ以前はネガティブだったのかとたずねたら、良和氏は小さく笑ったあと、真顔になってこう話した。
「伝統に縛られたままでいると経営はどんどん苦しくなる。それを打開する突破口も見つからない。私の店はかつて嫌になった雰囲気を変えられずにいたんです。だから自分まで重い気分になっていました。しかし体の変化を受け、自分のような人にも幸せを感じられる菓子をつくりたいと思うようになりました」

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それが新たな挑戦の始まり。直接のきっかけは、百貨店からの新製品依頼だった。そこで夫妻は、『亀屋良長』の定番商品『烏羽玉』(うばたま)を体への負担が少ない材料でつくる『美甘玉』(みかもだま)の試作に取り組んだ。『烏羽玉』で使っていた黒糖の代わりに様々な植物系甘味料をテスト。最終的にココナッツシュガーにたどり着いたが、その頃は業務用の用意がなく、市販の小袋入りでまかなったそうだ。

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▲『烏羽玉』

“体に優しい”という選択肢を増やしたかった

1カ月をかけて新製品が完成。それを披露した百貨店から意外な申し出があった。
「新製品と『烏羽玉』を同じ箱に入れて売りたいと言われたのです。それはどうも違うなと。新製品と並べてしまったら、『烏羽玉』を始めとする『亀屋良長』を否定する形になってしまいます。私たちはそうではなく、体に優しいという選択肢を増やしたかっただけなんですね。となれば『亀屋良長』とは分けたほうがいいと思い、別ブランドを設けました」それが伝統に裏打ちされた革新的ブランド、『吉村和菓子店』誕生の経緯だ。

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「正直なところ、『吉村和菓子店』がどう受け入れられるかは不透明でした」と由依子氏。
「何しろ主人が食べられるという条件自体がレアだと思っていましたし。ところが、これなら糖尿病の人に贈ることができるとよろこんでくれたお客様が現れ、少しずつ広がりを見せていきました。意外だったのは若い方が興味を持ってくれたことです。白砂糖が苦手な人って案外多かったんですね」

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▲『美甘玉』

『美甘玉』に続く干菓子の『鳳瑞』 が生まれたのは、新ブランド立ち上げの翌年だった。「北海道の方が突然店を訪れ、新製品づくりのきっかけになった韃靼そばとカボチャの実をこっそり置いていったんです」。
そんな天使のような人がいるのかと良和氏を問い詰めたら、「農業研究機構の方が京都に来て、いろんな実を試してほしいと歩いて回られたんですよ」と由依子氏がフォローした。

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▲『焼き鳳瑞<種まき>』

低GI値のココナッツシュガーとパラチノースでつくったメレンゲに、有機発芽玄米、韃靼そば、抹茶など多彩な素材を載せ、低温オーブンでじっくりと乾燥焼きした『鳳瑞』。口に入れた途端ベースのメレンゲが優しく溶けていく中で、様々な実の風味がおだやかに主張する味わいは、あるいは和菓子の常識を超えたものと言っていい。この『鳳瑞』を企画したのは由依子氏だ。そしてまた通年商品を『種まき』と命名し、バレンタインデー向け期間限定品に「種を蒔くことで春の訪れを待つ気分を味わってほしい」という思いを込め、『待ち春』と名付けたのも由依子氏のセンスである。

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▲『焼き鳳瑞<待ち春>』

「和菓子の特徴である季節感を大事にしながら、贈る人も贈られた人も笑顔になる商品をつくりたい」これは由依子氏にたずねた『吉村和菓子店』のポリシーだ。

良和氏にも同じ質問を投げた。「和菓子の和は“和える”とも読みますね。まさに日本の文化は、いろんな文化を受け入れ独自に解釈し、和えることで発展してきました。私たちもその伝統に倣いながら、今を生きる人によろこんでもらえる菓子で和の力を発揮していきたいです」

一言でくくられがちな伝統と革新。しかし『吉村和菓子店』を立ち上げたお二人の話を聞いて思いを新たにした。伝統と革新とは、本来交わることのない並行する糸のような別々の要素でありながら、良和氏が最後に語った「今を生きる人によろこんでもらう」ため必死で手繰り寄せ、誰も見たことがない新しい未来を紡いでこそ一つになるものなのだと。

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INFORMATION

ステルヴィオ バレンタイン試乗キャンペーン

キャンペーン期間 2020年2月1日(土)〜2月16日(日)

アルファ ロメオから、粋なバレンタインの贈り物。
期間中、ステルヴィオをご試乗の方へ『焼き鳳瑞<待ち春>』をプレゼントいたします。
※プレゼントは数に限りがございます。予めご了承ください。

https://www.alfaromeo-jp.com/info/campaign/2020/stelvio-testdrive/

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INFORMATION
吉村和菓子店

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住所 京都府京都市下京区四条通油小路西入柏屋町17-19 亀屋良長本店内
TEL 075-221-2005
営業時間 9:00〜18:00
定休日 年中無休(1/1,2を除く)
URL https://kameya-yoshinaga.com/

Interview&Text:田村十七男
Photos:濱上英翔

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