vol.01 乗ってみれば、その魅力がわかる

Giulia 1300GTA Junior(1968)オーナー
三宅豪一郎氏

アルファ ロメオでいうところのツインスパークことツインプラグ仕様のエンジン。ジュリア スプリントGTA用の1.6リッターのストロークを縮めて1.3リッターとしたもので、1300GTジュニアやジュリア1300に使われる通常の1.3リッターとはボア/ストロークが異なる別物。最高出力110ps/6000rpm、最大トルク13.3kgm/5000rpmというハイチューンが施されている。

1963年にデビューしたジュリア スプリントGTに始まる通称ジュリア クーペ。ジウジアーロの傑作のひとつに数えられるスタイリッシュな衣をまとった、戦後アルファ ロメオを代表する成功作である。そんなジュリア クーペのなかでも別格扱いなのが、GTA。外板をアルミに替えて大幅な軽量化を果たしたボディに、ツインプラグ化したエンジンを積んだ、希少なコンペティション仕様だ。

そのGTAの1.3リッター版である1968年1300GTAジュニアで参加したのが、三宅豪一郎さん。155ツインスパークに始まり、ジュリアスーパー、RZ、そしてこのGTAジュニアと、四半世紀の間に4台のアルファを乗り継いできた、自称“重度の中毒患者”である。

縁あって1年ほど前に手に入れたGTAジュニアの気に入っているところは、まず俗に“段付き”と呼ばれる顔つき。そして気分を高揚させるサウンドだという。「エンジンを一定の回転数、5500rpmぐらいで回して走っていると、メカニカルサウンドが薄いアルミボディに伝わって、車体全体がまるで管楽器のように共鳴するんですよ。それがなんとも心地よく、特にトンネルの中だと、うっとりしちゃいますね」

そう語る三宅さんは、25年に及ぶアルファ ロメオ歴を通じて、出先で立ち往生してしまうような状況に一度も遭遇したことがないという。「おかげで私はアルファ ロメオに選ばれた人間だと確信しました(笑)。それはさておき、世間で言われているような、壊れやすいクルマとは思いません。そういう噂のせいで、アルファ ロメオを避けてしまう人がいるのは残念ですね。乗ってみれば、その魅力がわかるのに」

現在はマニア垂涎のGTAジュニアの魅力を満喫している三宅さんだが、だからといって乗り倒すようなことはしないつもりだという。「自分の許にあるとはいえ、好き勝手に扱っていいクルマではないと思うんですよ。言うなれば私は現在の担当者のようなもので、いずれ自分が乗れなくなったときには、次の方にちゃんとした状態でバトンタッチしなければいけないと」選ばれし者にふさわしい、立派な心がけである。

Giulia 1300GTA Junior(1968)

GTAの“A”は、イタリア語で「軽量化された」を意味する“alleggerita”の頭文字。その名のとおり軽量なアルミ製ボディを持つレース用のホモロゲーションモデルで、車重はベースとなった1300GTジュニアの990kgに対して850kgと、140kgも軽くなっている。フロントフェンダー後端に描かれたアルファ ロメオのシンボルマークである四つ葉のクローバーとそれに続くサイドストライプは、メーカー標準仕様。ボンネット上にはアルファ ロメオの紋章にある人間を飲み込んだ大蛇も描かれている。