episode 7Tipo 33/2 Stradale

STORIE Alfa Romeo Episode 7

− “神の造形” −Tipo 33/2 Stradale(1967)

魅惑的なデザインで名高いTipo 33/2 ストラダーレ(Stradale)。“神の造形”と称されるその美しいフォルムは、60年代のミッドエンジン・スポーツクーペの中でも傑出した存在で、アルファ ロメオの長き歴史にその名を刻んだ代表作の1つである。レーシングカーと多くのコンポーネントを共有しており、時間をかけて1台ずつ手作りで組み上げられたという点でも特別な存在だった。

Tipo 33/2 ストラダーレが作られた理由は、レースカー開発にかかる多額の費用を償却するためだった。栄冠を掴んだレーシングマシン、Tipo 33/2をベースに当初50台が生産される計画だったが、1967年11月から1969年3月までに作られたシャシーの数は18台分だった。デザインを手掛けたのはフランコ・スカリオーネで、ミラノのカロッツェリア・マラッツィがボディの製造を担当。製造現場では生産工員が不足していたことから、スカリオーネは1台1台入念に仕上がりを確認しなければならなかった。

シャシーはレースカーと同じレイアウトながら、ホイールベースは100mm延長され、2,350mmに設定された。コクピット周囲はスチール板により補強が施され、ロードカーとして必要な装備や仕上げが施された。2リッターV8エンジンもプロトタイプの270hpに対しロードカーは230hpにデチューンされたが、車重がわずか700kgと軽かったため、最高速度は260km/hに達した。

1967年9月にモンツァで行われたプロトタイプの発表は成功裏に終わり、アウトデルタにより組み立てられた車両は、数ヶ月後にラッキーな顧客のもとへ納められた。車両価格は975万リラと当時としては非常に高額だったことと、製造上の問題から、前述のようにシャシー数は18台分が生産されるに留まったが、そのうちボディをまとって個人の顧客の元へ渡った車両は12台程度とみられている。残りのシャシーは、アルファ ロメオ歴史博物館に保存されているプロトタイプ以外では、ベルトーネが手掛けたカラボや、ピニンファリーナの33/2 クーペ スペチアーレとクネオ、イタルデザインのイグアナなどのコンセプトカーへと派生していった。

Tipo 33/2 ストラダーレは、プライベーターによるマイナーレースにも使用され、そのうちのひとつは、映画『さらば恋の日』(1969)に登場している。

エンジン 縦置きミドシップ・V8・挟角90度
構造 軽量合金製・モノブロック
排気量 1995cc
ボア×ストローク 78.0×52.2mm
バルブ形式 ダブルオーバーヘッドカムシャフト
・チェーン駆動
バルブ数 気筒あたり2バルブ
圧縮比 10:1
燃料供給方式 スピカ燃料噴射
イグニッション ツインプラグ
冷却方式 水冷
オイル循環方式 ドライサンプ
最高出力 230hp/8800rpm
最大トルク 21kg-m/7000rpm
トランスミッション 前進6段+後退
クラッチ単板
駆動輪後輪
車体形状 クーペ
シャシー スチール製チューブフレーム
フロントサスペンション独立懸架式、コイルスプリング+ショックアブソー
バー・スタビライザー付き
リアサスペンション独立懸架式、コイルスプリング+ショックアブソー
バー・スタビライザー付き
ブレーキ4輪ディスク
ステアリングラック式
燃料タンク98リットル
タイヤ(前/後)5.25H×13/6.00H×13
ホイールベース2350mm
前後トレッド1350/1445mm
全長3970mm
全幅1710mm
全高990mm
車重700kg
最高速度260km/h
生産台数18台

Tipo 33/2 Stradaleから派生した
コンセプトカーたち

最先端の技術により生み出されたTipo 33/2 ストラダーレ(Stradale)のシャシーは、数多くのコンセプトカーに使用された。その中にはイタルデザインのイグアナ、ベルトーネのカラボなどが含まれている。とりわけカラボについては、後にランボルギーニ カウンタックに採用される、革新的なデザインで注目を集めた。

アルファ ロメオは1968年にTipo 33/2 ストラダーレを発売。デザインはフランコ・スカリオーネによるもの。経済成長に伴い自動車が発展し、華麗なドリームカーが人々の憧れだった時代、燦然と輝く美しさを見せたTipo 33/2 ストラダーレは、デザイナーたちの創作意欲を掻き立てたのである。

Tipo 33/2 ストラダーレのシャシーを使用して最初に登場したコンセプトカーは、1968年のパリ・モーターショーで披露された、カロッツェリア・ベルトーネによるカラボ。マルチェロ・ガンディーニによるその作品は、空に向けて開くシザースドア、美しく光を反射する窓ガラス、そして洗練されたスタイルを特徴とした。その約1ヵ月後のトリノ・モーターショーでは、ピニンファリーナがアルファ ロメオ P33 ロードスターを披露。デザイナーはパオロ・マルティン。オープンレーシングカーを彷彿とさせる大型リアウイングは、アンチロールバーやオイルクーラーとしての機能も兼ねていた。複数のヘッドライトをひとまとまりに内蔵したフロントマスクや、同様の手法でエキゾーストエンドなどを集約したリアデザインが特徴的だった。

翌69年にはピニンファリーナから33/2 クーペ スペチアーレが誕生している。これはピニンファリーナが前年に発表したコンセプトカー、フェラーリ P5に共通するデザインのエッセンスを採り入れた作品だった。同年、イタルデザインからはイグアナが登場。金属感を演出したペイントワークや爬虫類の鱗を思わせるエアベントなど、ユニークな特徴が施されていた。

さらに1971年、ブリュッセル・モーターショーでは、Tipo 33/2 ストラダーレのシャシーを用いたピニンファリーナ最後のプロダクト、クネオが披露された。典型的なウェッジシェイプ(くさび型)のボディを備え、大きく寝かされたウインドウスクリーン、シンプルなロールバーがフォルムに融合していた。

それから5年後の1976年、再びTipo 33/2 ストラダーレのシャシーを使用したコンセプトカーが再びジュネーブ・モーターショーで姿を見せた。イタルデザインが手掛けたナバホである。直線的なラインを用いた近未来的なドリームカーで、人々の目にその姿を焼き付けた。

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